小説『魔法少女リリカルなのは 悪魔も泣き出す転生者』
作者:トンボ()

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これまでの内容や言い回しを少し修正しました。
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5、これからの方針とデビルハンターの入学


あの後、家に帰った俺は公園で泣きそうになっていた少女が『原作』の主人公、高町なのはであることを知った。

「それで、これからどうするの?」

みんなで、夕食をとっているとガイアがそう聞いてきた。

「どうって?」

「あなたは高町なのはちゃんと親しくなったみたいだから『原作』に介入するのかな〜と思って」

「私もガイアと同じことを考えていたわ。性格にはイリスもだけどね」

全員が同じことを考えていたなんてすごいな。
そんなに俺はわかりやすい人間なのか?

「『原作』に介入するかどうかはまだ断定はしない。が、少なくとも今は介入しようとは思っていない」

「どうして?兄さんなら絶対に介入すると思った」

イリスがそう聞いてきた。どうやら完全に敬語はやめたらしい。
だが、家族として過ごす以上そっちの方が自然だし俺もそっちの方がいいな。

「確かに、ミネルバからさっき聞いた『原作』はあんな少女が経験するべきことではないと思っているさ」

「そう思っているということはやっぱり管理局のことを気にしているの?」

「ああ。はっきり言って閻魔刀とかの魔具は明らかにロストロギアだし、デバイスの不正所持や魔法のあいつらが言う管理外世界での使用も犯罪らしいから確実に面倒なことになる。もっとも魔具は古代の文明のものじゃないから言い逃れは出来るかもしれないがな」

「申し訳ありません。マスター」

「気にするなホークアイ」

謝ってきたホークアイにそう、声をかけると

「ちょっといいかしら?」

と、ミネルバが言ってきた。

「何だ?」

「実はあなたの魔力はちょっと特殊なのよ」

「……いったいどういうことだ?」

「あなたはスパーダの力を強く受けた存在。つまりダンテやバージルたち悪魔と人間のハーフと体の機能は同じなの」

「それは神に言われた気がするし、ダンテとの修行やこれまでの悪魔との戦いで感じていたがそれがどうかしたのか?」

じつは修行中に神にそんなことを言われた気がするし、はっきり言って今さら過ぎる気がする。

「前にあなたはリンカーコアがないけど魔力を作り出せるということは話したと思うんだけど、あなたが生み出す魔力はこの世界の住人のものと同じ人の魔力と悪魔の魔力のハイブリットなの。しかも、どちらかというと悪魔の魔力の方がやや割合的には多いから使用しても管理局のシステムには一切反応が無いの」

「なるほど。ずいぶん便利な体になったもんだ」

魔力が反応しないというのはかなり便利だ。管理局に目を付けられたら余計なことに気をつかわなくてはいけなくなる。

「それで、あなたは今の私の話を聞いても介入しないの?」

「私たちは兄さんがどんな判断をしてもついていくけど」

「……いや。悪魔退治が優先だ。管理局に気づかれないようにしながら他の次元世界でも悪魔狩りをする」

ミネルバに聞いたが、悪魔の戦闘能力は下級なら十分にこの世界の人間でも倒せるようだが中級では強い人間が何人か力を合わせても苦戦し、人語を理解する上級悪魔はとても手におえないレベルらしい。
なら俺にしかできないことをするべきだろう。

「克也くんが決めたのなら私たちは何も言わないわ。みんなで力を合わせて頑張りましょう」

ガイアがそう言うと、ミネルバとイリスも頷いた。

「ありがとう」

そうしてこの話は終わり、俺たちは夕食を続けた。





「克也くんには学校に行ってもらうから」

「は?」

高町との出会いから数年たち俺はこの世界の戸籍と肉体年齢上9歳になるとき、ガイアから急にそんなことを言われた。
ミネルバとガイアは面白そうにしているのでこのことを知っていたらしい。

「だって今まで便利屋の依頼を大人の姿になって受けていたけど、あなたはこの世界では今年9歳よ。普通学校に行っていないと不自然じゃない」

「いや。確かにそうだけどさ精神年齢は小学生じゃないんだぜ。そんな俺が学校に行っても絶対になじめないだろ」

「大丈夫よ。なじめる学校だから」

ガイアの発言が少し気になったが今、俺が置かれている状況に比べれば些細なことだと思い聞き流す。今さら小学生の授業なんて受けたくないし、受ける意味もないだろう。
なんせ、この世界に転生する前に小学校はとっくに卒業しているしこの前とある次元世界に現れたデビルメイクライ3に登場したテメンニグルを封印したときに誰かが意図的につれてこない限り悪魔はしばらく出現しないと神と交信できるガイアが言っていたがそのときに、もう一つ悪魔がいる世界とこの世界を繋ぐものがまだ開いていないとはいえ存在することも聞かされた。
つまり、学校に通っている暇なんて俺にはない。

「まだ開いていないとはいえ、もう一つこの世界と悪魔のいる世界を結ぶゲートがあるんだ。学校なんかに行っている暇なんてないさ」

「大丈夫よ。依頼が来たときは学校を休んでいいし、私たちが処理できる内容なら処理するし」

「それにガイアに交信してもらって聞いたんだけど、ああいうゲートがまだ開いていない場合もう一つのゲートを封印もしくは破壊するまで自然に出現する悪魔は強い力を持った原作キャラや存在するかもしれない他の転生者のもとに現れることが多いって聞いたからこの町からあまり離れない方がいいと思うわよ」

そう言ってミネルバが援護射撃をしてくる。

「……わかったよ。行けばいいんだろ、行けば」

若干やけになって俺はそう言った。彼女たちが悪魔関係のことで俺に嘘をつくとは思えないので、さっきの情報が確かならこの町にいた方がいいし確かに今の俺の外見で学校に行かないと色々と面倒になりそうだ。
ちなみにミネルバは黒崎はるかという名前で現在中学に通っており、イリスは黒崎柚(くろさきゆず)という名前で小学校に通っている。ミネルバが現在中学二年生でイリスが小学一年生だ。また、ガイアは黒崎玲子(くろさきれいこ)という名前で何故か、翠屋で働いている。

「よかった。明日編入試験があるから。結果発表が楽しみね」

「私も同じ学校に通っているからがんばってね。お兄ちゃん」

この数年で俺の呼び方を「兄さん」から「お兄ちゃん」に変えたイリスがそう言った。イリスはこの数年で俺の呼び方だけでなく性格も少し変わりやや小悪魔的な性格になりつつある。
全くあのころの純粋なイリスはどこへやら、なんてことを考えているうちに夜は更けていった。だが、俺は忘れていた。ガイアが言ったことで聞き流した部分を。
そしてこの決断がとんでもないことになるなど、この時の俺には知る由もなかった。





「どうしてこうなった……」

俺の目の前を歩く担任の先生に聞こえない大きさで俺はこう呟いた。思えば編入試験を受けに来た時に気づけばよかったのだ。ここが高町をはじめとした数多の原作キャラが通う「私立聖祥大付属小学校」だと。
くそ、ガイアが言っていた「馴染める学校」とはこういう意味か。確かに高町とは知り合いだしそうなると確実に高町の友達とは知り合いになるだろうからな。はっきり言ってあの時に恭也さんに強く言い過ぎたから家族の高町に会いづらい。
だがまだ同じクラスになるとは限らないからそれに望みを託すことにしよう。

「じゃあ。私が呼んだら入ってきてね」

そう言った先生の背中の見送りながら俺はそう思った。





「はぁ〜」

「どうかしたの?なのはちゃん」

「何か様子が変よ」

「にゃはは……何でもないの」

私、高町なのはは親友の月村すずかちゃんとアリサ・バニングスちゃんにそう言う。本当はウソだ。本当はあの男の子のことを考えていた。あの黒い髪に青い目を持った男の子のことを。

「もしかしてまたあの男の子のことを考えてたの?」

「ふええ!!ア、アリサちゃん、なな何を言ってるの」

「図星みたいね。なのはちゃん」

アリサちゃんにあっさり見抜かれてしまい思わず変な声が出てしまった。あれからあの男の子、黒崎克也くんには一回も会えていないの。う
ちで働いている黒崎玲子さんは克也くんのお母さんらしいので克也くんに会えないか聞いてみたら「もうちょっと待ってね」っていわれたの。早く会いたいな。

「みんな、席に着きなさい」

先生が来たので私たちは席に着くことにした。





「じゃあ黒崎くん、入ってきて」

「はい」

さて、クラスメイトはどんなやつかね。そう思いながら俺は教室に入り教卓の前に立った。

「ふええ!!」

俺が教卓に立った時、そんな大声が教室に響いた。
しかし、予想道理というかなんというか。
やはり同じクラスか、高町。


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更新です。内容の修正でご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした。
今回は、なのはと接触した主人公がこれからどうするのかを決断する話と主人公の入学の話です。
さすがにこの世界ではなのはたちと同じ歳なのに学校に行かないのはまずいと思いこうしました。

感想やアドバイス、ご指摘などのコメントをいただくと作者のモチベーションが上がりますのでよろしくお願いします。

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