小説『魔法少女リリカルなのは 悪魔も泣き出す転生者』
作者:トンボ()

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6、新しい出会いと再会

高町が大声を上げたことで一悶着あったが、なんとか自己紹介を終えた俺は席に着く。
俺はやや怖い顔つきなので第一印象はあまりよくないようだが、それでも転校生というのはいつでも注目の的になるようで休み時間は質問攻めにされた。
特に高町との関係を。

「久しぶりなの。克也くん」

ある程度の質問に答え、俺の席から人が離れて行ったとき高町がそう言ってきた。

「久しぶりだな。高町」

「覚えててくれたの?」

「公園であんなに泣かれたら忘れるわけないだろ」

はっきり言って出会って少しであそこまで泣かれたらそう忘れることは無いだろう。

「にゃはは……」

俺にそう言われた高町は苦笑いしていた。

「ちょっと、アンタ!!なのはを泣かせたの?」

「アリサちゃん、落ち着いて」

急に大声で金髪の少女が俺にそう言ってきた。
そして、紫の髪の少女が金髪の少女をなだめている。
会話の流れから俺が昔に高町を泣かせたことがあると勘違いをしたんだろう。

「何か勘違いしているようだから言っておくが、俺が高町を泣かせたわけではないからな」

「そうなのアリサちゃん。克也くんのせいじゃないの」

「そ、そうなの……ごめんなさい勘違いしていたみたい」

「いいさ。別に気にしていない」

高町の援護のおかげで面倒なことにならずに済んだ。
さすがに転校初日からそんなに悪い印象は持たれたくない。


「アリサちゃん、私たちも挨拶しよう」

「そうね、アタシはアリサ・バニングスよ。よろしく」

「私の名前は月村すずかです。よろしくね黒崎くん」

「ああ、よろしくな。月村、バーニング」

挨拶されたので俺はそう返した。
だが俺が挨拶を返した瞬間、高町たち三人の空気が凍りついた。

「ちょっとアンタ!!!バーニングじゃなくてバニングスよ!!!」

「あ…… 悪い。素で間違えた」

ちょっと間違えたか。
しかし、現在進行形で烈火のごとく怒っているバニングスを見ているとバーニングでも全く違和感がないと思う。
もしこれから何かあったらこのネタでからかってみるか。

「……まぁいいわ。本当にわざとじゃないみたいだし」

バニングスはそう言って思ったよりあっさり許してくれた。

「んじゃあ改めてよろしくな月村、バニングス。俺のことは好きに呼んでくれて構わない」

改めて挨拶し、この休み時間を終えた。





「ねえ克也くん一緒に帰ろう」

授業が終わり、下校しようとしたときに高町が俺にそう言ってきた。
はっきり言って一人で帰りたい。
転校初日にも関わらず、高町に下の名前で呼ばれ、親しそうにしている俺には周りの男子から嫉妬と殺意となぜここまで親しいんだという疑問などが入り混じった視線が休み時間でのやり取り以来しょっちゅう向けられてくる。さて、どうするかな。

「……克也くん、私と一緒に帰るのイヤなの?」

「うっ!」

どう断わろうか考えていたところ高町が若干涙目になりそう尋ねてきた。
本人に自覚はないのかもしれないが、そんな顔でお願いされて断れる男はこの世にそういないだろう。
男にとってはある意味恐ろしい技を無意識に身に着けたのか。

「わかったよ。一緒に帰ればいいんだな?」

結局、俺は半ばやけになってそう言った。はっきり言ってあれは断れない。
だが今、俺の目の前で花が咲いたような笑顔をしている高町を見るとこれも悪くないと思ってしまった。

「なのはちゃん、帰ろう」

「はやくしなさいよ」

「うん。すずかちゃん、アリサちゃん」

結局、高町を待っていた二人を含めて四人で帰ることになった。
後に知ることになるのだがこの三人は聖祥小の三大美少女と呼ばれるほど人気があったのだ。
つまり俺はさらに男子から射抜くような視線を浴びせられることになってしまった。





(……来たくなかったんだけどな)

目の前にある喫茶店が今の俺の目には何人たりとも生きては出られない罠だらけの屋敷に思えた。
なぜこうなったのかを俺は思い出す。
それは四人で様々な雑談をしながら下校していて、用事があると言っていた月村とバニングスと別れた時だった。

「ねえ克也くん。今日はこのまま家に来ない?」

不意に高町が俺にそう言ってきた。

「……翠屋にか?」

「うん。克也くんのお母さんに会えるよ」

さも当然のように高町は返した。
正直に言うと俺は行きたくない。
というのもあの時に恭也さんに強く言ってしまったし、何よりも他人である俺が人の家庭の事情に首を突っ込んだのだ。高町家の人が俺に良い印象を持っているとはとても思えない。
あの後にガイアがいいと言ったので彼女に頼み、翠屋で働いてもらうことにしたのだが、そんなことを当然高町家は知らない。
本当なら彼女がこの世界での俺の母親代わりだということもしゃべって欲しくは無かったのだが……

「……わかった。今日は久しぶりに翠屋に行くか」

少し考え、俺はそう言った。俺が高町と同じ学校に転入したという情報はまず間違いなく高町が話すだろうしそれがなかったとしてもガイアが話すだろう。
そうなると結局俺は何時か翠屋に行くことになるのだ。だったら早い方がいいだろうと思い翠屋に行くことにした。





(やっぱり結論を急ぎすぎたか?)

情けないことにそんなことを考えてしまったが高町がドアを開けたので俺も覚悟を決めて入っていく。

「ただいまー」

「あら、なのはちゃんお帰りなさい」

「おかえり。なのは」

そう言って高町を出迎えたのは俺の親代わりのガイアこと黒崎玲子と彼女の言葉に反応した黒髪の男性だ。
今はちょうど休憩時間だったらしく、店内にはガイアと黒髪の男性しかいなかった。
しかし、黒髪の人は誰だ?恭也さんかと思ったが雰囲気が違う気がする。

「ただいま。玲子さん、お父さん」

なるほどこの人は高町の父親か。普通はもっと驚くのだろうがすでに桃子さんを見ているせいかあまり驚かなかった。
逆に高町の父親が普通のおっさんだったら桃子さんと歩いているときに、ものすぐ浮くだろうからな。

「克也もお帰り」

ガイアが俺にそう声をかけてきた。

「ただいま。母さん」

なんか、少し気恥ずかしかったがそう返した。

「もしかして君が黒崎克也くんかい?はじめまして。僕はなのはの父親の高町士郎だよ」

「はじめまして。黒崎克也です」

「早速だけど克也くんにはお礼を言わなくちゃね。本当にありがとう」

「お礼……ですか?」

「うん。なのはのことは本当にありがとう。僕がいない間、君がみんなに言ってくれたおかげで家族の仲が悪くならずに済んだよ」

「……別に俺は何もしていませんよ。ただ生意気なことを言っただけですよ」

そう。別に俺は礼を言われるようなことはしていない。

「たとえそうだとしてもお礼を言いたいんだ。改めてありがとう」

「わかりました。どういたしまして」

そこまで言ってくれるんだったら一応受け取っておこう。

「「「ただいま」」」

俺と士郎さんがそんなやり取りをしていると、そんな三人の男女の声が聞こえた。

「お帰り。桃子、恭也、美由紀」

「お帰りなさい」

「ただいま。お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん」

声の主は桃子さんと高町の兄の恭也さんと姉の美由紀さんだった。買い出しに行ったのかみんな手に買い物袋を持っていた。

「あら?あなたは……」

「お久しぶりです。桃子さん」

桃子さんが俺に気づいたので挨拶をする。

「え、克也くん?ひさしぶり!玲子さんからよく聞いていたけど元気だった?」

「見ての通り元気ですよ。美由紀さん」

「……克也」

「何ですか?恭也さん」

「あの時は本当にありがとう」

「気にしないでください。ただ俺が思ったことを言っただけですから」

「……それでもだ」

親子そろって似たようなことを言ってきた。

「ふう…… わかりました。どういたしまして」

そんなことをしていると、ガイアが言った。

「このまま立ち話もあれだからみんなで座ってお話ししない?克也となのはちゃんのケーキは私が奢るから」

「イヤ、玲子さん今日はお礼もかねて克也くんの分はタダにするよ」

士郎さんがそう言った。それから俺と高町と恭也さんと美由紀さんの四人でテーブル席に座り、途中から店の準備やあと片付けを終えたガイアや士郎さん、桃子さんを交えていろいろな話をした。

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久しぶりの更新です。
これからはより更新速度が遅くなるかもしれませんが、
作者が完結できない状況にならない限り更新はしていきます。
無断で1か月以上更新がストップしたら完結できない状況に
なったと思ってください。
何らかの理由により長期の休載をする場合は書き込みます。

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