(風鈴)「嘘をつく男は嫌われるぞ。」
(鈴白)「嘘じゃない。俺は本気なんだ。」
鈴白のまっすぐな瞳に嘘という文字は浮かんでいなかった。
(風鈴)「だがな、許婚というものは、家の事情で勝手に結びあわされた2人のことなのだぞ。」
(鈴白)「母上から聞いた。俺と風鈴は許婚だったんだと。」
そうなのか?!
(鈴白)「でも許婚で愛しあえなければ悲しいからと、母上が俺たちの代からやめたらしい。」
そうか・・・。
(風鈴)「こうなる運命だったのやも知れぬな・・・。」
(鈴白)「そうだな・・・。」
2人の沈黙が小鳥のさえずりと春の陽をいっそう盛り上げるようだった。
・・・ちょっとまて。
(風鈴)「俺たちの代からと申したな。」
(鈴白)「あぁ、どうかしたか?」
(風鈴)「・・・親戚だったのか?!」
(鈴白)「・・・今更か!?」
(風鈴)「え、ちょ、そんなんしらんしらんしらんってほんましらん。」
(鈴白)「とりあえず落ち着け。」
深呼吸をした。もういちど。もういちど・・・でも落ち着けない・・・。
まず許婚になること以前に親戚だったことを知らなかった。
(鈴白)「風鈴?」
鈴白が私の顔を覗き込む。
さっきの告白があってから顔を見るだけではずかしゅうなる。
(風鈴)「みっ・・・みるなっ!」
(鈴白)「おんならしくなったな。」
(風鈴)「喧しいわ!」