……が、テントのチャックを開けてみると、テントに引っ付いて必死に俺らの会話を聞こうとしている悠太の
姿があった。
「おい、悠太?こんなとこで何してる?」
「か、か、楓ッ!!?」
「おいおい何でそんなに驚いてんだッ!?」
「くっ。へらへらした面しやがって……」
「はへ?」
「くっそ〜、俺は別に楓が二人の女子に奪い合われてて、羨ましいなんて思ってないんだらなっ!……うわぁ〜ん!楓のバッカぁ〜〜」
結局悠太のテントに引っ付く行為の意味合いは一切掴めなかった。てか、かなりひねくれていたようだが……
まったく意味がわからん。
とりあえず、森の茂みでしょこんと座っていた悠太のところに行って謝りに言った。なんか、ものすごい負の
オーラを全身から迸らせてて、かなり近づきにくかったが……
「おい、悠太。なんだか知らないけど落ち込むなよ。な?」
「けっ、いい子ぶりやがって!てか、お前が原因だってのっ!」
「なにっそうなのか。もしかして、女子に関することですねてる?」
「ま、そういうこったな。」
「じゃ、俺にいい考えがある。耳かせ」
「なに?」
「あのな俺が、こしょこしょこしょ。で、翠にこしょこしょ。……どうだ?」
「おい、楓」
「いっ!?怖い顔すんな……やっぱしだめか」
「おまえは最高だ!よし、乗った!んじゃがんばろうッ!」
「お、おう」
俺らは結局、交渉成立して、口論の終わった二人のもとへ向かった。どうやら今日の朝食は『サンドウイッチ』らしい。
「うし、じゃ今日こそ俺らも手伝うよ!サンドウイッチくらい俺らでも作れるッ!」
「そうそう。昨日は咲夢ちゃんがものすごいがんばったから、今度は俺の番だッ!」
「じゃうちも手伝うよ。もちろん、料理くらい余裕にできるっしょ!」
「うーん。ま、一応やってもらおうかなぁ〜」
俺らは雪乃の指示に従い、サンドウイッチにおのおのの好みの食材を入れていく。
俺は、大好きなスクランブルエッグにスライストマトを入れてマヨネーズを。
悠太は、購買のおばちゃんのところで買ってきた、フライドチキンとレタスを入れた、マック風のサンドウイッチに。
そして、問題の翠は……
なんと、サンドウイッチに……イカの塩辛、チョコレート、ハバネロ、蜂蜜、とろろ、などなど。
驚くほどの種類かつ、ミステイクな具材をめいいっぱい入れた。というよりも、調合した。
恐るべき、瑞音翠。まさに、科学料理……
その、危険な科学者、ミス翠は俺にそのサンドウイッチ否、調合品を俺に差し出してきた!
「じゃじゃじゃ〜〜ん!特製翠サンドぉ!を楓にプレゼントフォーユー!」
「え、ええ!俺にか……。じゃあさ……」
「ん?」
「……そうだ!おまえの友達にあげてきなよ!絶対喜ぶって!な?」
「そっか。ま、それもありかなぁ〜!てことで、みんなにあげてきまっす♪」
といって、翠は仲間の元へ。爆弾投下をしに……
爆撃を受けた皆さん。悪気や恨みは一切ございません。お許しを
そして俺らはおいしい、サンドウイッチをたらふく食べて、『7つの課題』に取り組むことにした。
……途中で、「きゃぁあ!先生ぃ!翠の差し入れを食べたみんなが、全員吐き気を訴えています!お助けを〜
〜」と聞こえた。気がしたがたぶん空耳だろう。うん空耳だ。
そう信じたい……