小説『Realheart+Reader』
作者:藍堂イト()

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俺らは各々好きなように作った、サンドウイッチを食べてこの自然教室の目的である『7つの課題』を取り組

むことにした。(翠だけは自分の作ったものではなく、雪乃が作ったものを)

その課題はほとんどが協力しないとできない、ものだった。


まずは、4人で騎馬を組んで記念撮影というものだった。ちなみにこれは体育として行う。


騎馬の構造は、三人が下で上に一人乗るというもので行った。一番背の高い俺が一番前。そして俺の後ろに悠

太と翠が行き、上に乗るのは一番小柄な雪乃を配置。

そして、俺が三人よりも背が圧倒的に高かったため、ものすごいぐらぐらしながらも、記念撮影を成功して、

一つ目の課題はなんとかクリア。

が、俺らはこの騎馬の崩し方を知らなかった。なんというか、もし騎馬の崩し方を誤って、雪乃が怪我をする

のが怖かった。


そのため、俺らは撮影が終わったというのにその場から動かずにいた。

と、悠太がなにかいい方法を思いついたのか、隣にいた翠とこしょこしょ話。くっ。声が小さすぎてなんて言

ってるか想像もつかん!


「おい翠。いいこと思いついた。一気に……で、こいつらが……。……最終的に……こしょこしょ。」

「……こしょこしょ。……で、……こうすると?」

「そうだ。んじゃいくぞッ!」


なにやら、翠と悠太は作戦会議は終わったらしい。そして……二人は俺の肩から腕を引き抜いたッ!?

二人の腕に雪乃のお尻が乗っかっていたため、雪乃は地面に落ちないようにするには……俺におぶってもらう

形になるしかなかった。


「くそっ悠太めッ!図ったな!」

「ふっふっ。咲夢ちゃんの靴はこの50メートルくらい先だ。もしここで咲夢ちゃんをおっことしたら……。

咲夢ちゃんのためにもがんばりたまえ!ハハハッ!」

「くっ仕方ない。急いで靴のところまで行かなければ……」



俺は雪乃をしょって、全速力で靴のところへ向かった。もう無我夢中に。

すると、後ろで雪乃が何かを訴えかけてきた。


「楓クン。ゆ、揺れすぎッ!も、もう少し、ゆっくり……。はうぅ」

「あぁ。すまん。」

「あと……。楓クンあったかい!」

「ッ!?」



俺は驚いた。雪乃はあったかいと言って、俺の背中にピトッとくっついた!や、やわらかいッ!というか、あ

ったかい上に、鼓動伝わってきたなんか言葉に表せない感じにやばいッ!心臓が口から出てきそうだ!

しかも、その時によぎった感情はこの前のような『喜び』というよりは『安心』といった感じだった。


そして、ゆっくり歩きながらなんとか雪乃のスニーカーのところに到着した。

靴を履いた雪乃は俺ににこっと笑顔にしてしゃべりかけてきた。


「これで、もし私の身になんかあっても、楓クンがこんな感じで運んでくれるよねっ?」

「っ!?あ、ああ。……俺に任せろッ!」

「ふふっ」


マジでびびった。雪乃が上目遣いに懇願してきたときはホントにやばかった。下手したら、さっきのおんぶよ

り心臓のドキドキがやばかったかもしれない……

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