『ばじぃいん!!!』
俺は内ポケットに入れておいた、二丁の『秘密兵器』をスッと手にとり、一丁ずつ不良のがら空きの脇に当てる。
そして、ためらいなく発動。
その轟音と共に、二人の不良は白目を向いて倒れる。何か言う間もなく、気絶した。
雪乃は「へっ?」っと言って、状況を理解できていないようだ。
須賀島にいたっては、自慢の下っ端があっさり倒されてしまったことに、口をあんぐりと開けて言葉を失っている。
俺はにやぁっと笑って、両手に秘密兵器を持ちながら、歩み寄る。
須賀島はひぃいっと言って、後ずさりしている。腰を抜かしたのか、尻もちをつきながら。
「ふっ。これが俺の最終兵器(リーザルウェポン)だっ!その名は、えっと……『宗学公認、ダブルスタンガ
ン』だぁ!ってそのまんまじゃん」
「……」
「だめだ。超スベった。惨め過ぎる。ちょいイラっと来たから、ぶっ飛んでもらう」
「ひぃい!お許しおぉ!」
「だめかなぁ?これが雪乃が今までずっと背負ってたもんだぁ!!!」
『ばじじぃいん!!!!』
さっきの不良二人組みのように、白目を向いて須賀島はその場に倒れて気絶。……よしっ
そして、にこっと笑顔を作って雪乃のところに向かった。
「勇気を出して俺を守ろうとしてくれてありがとな」
「え?」
雪乃は「だいじょうぶか?」とか、心配されると思ったのか、俺の発言に意外そうな顔をしている。
そして、俺は続けた。
「勇気をだしたお礼に……仇敵をぶっ飛ばしてやった!」
「ふふっ」
「???なにがおかしいんだよ?」
「もう……私たちはてきなしだねぇ〜〜〜!まっさにム・テ・キだねっ!」
「ふっ。あぁ!」
雪乃は俺の手を取ってきて、ぎゅうっと握ってきた。俺は、いつもの雪乃に戻ったのと、須賀島を倒したのが
うれしかったので、振り払うのではなく、つよくつよく握り返した。
すると、一瞬顔を赤らめて、その後ににこっと笑顔を見せた。
「んじゃ今日も楽しく、二人で家に帰ろうっ!とゆうか、今日は二次会ってことで私のアパートで、ぱーてぃ!」
「ふっ。たく、しゃない。んじゃ二次会会場に行こうか?過去を乗り越えあった、『相棒』ッ!」
「……え?う、うんっ!」
雪乃は俺の返答に驚いている。
そして雪乃から『ありがとね。これが、ずっと続くといいなぁ』、という心の声がぶわっと聞こえてきた。
その心の声は、うれしくて、はずかしくて、くすぐったかった。
こうして、俺らは幼稚園児のようには、つなぎあう手同士をぶんぶんと振りながら、帰路を進んで言った。
その後には予定通り、楽しく二次会をした。今日の須賀島の一件や、遊園地で遊んだ疲れが嘘のように
さらに翌日、雪乃が言いふらした俺の武勇伝により、俺は1−b内で二つ名がついてしまった……
その名は『雷電の近衛騎士』……
なんかここだけ見るとファンタジー物の物語の主人公みたいだが。
俺は一般的な高校生……はずである。