小説『Realheart+Reader』
作者:藍堂イト()

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番外編+悠太と雪乃の開かずの間の休日


「ふんふっふふーん」


俺、星崎悠太は見慣れた商店街を一人で歩いている。

まったく世の女性は俺をほったらかしにして、どれだけメイクに時間を費やしているんだ。俺は別にすっぴん

な女の子もありだぜ?


と、悠太が自惚れながら行きつけの本屋に入っていく。すると、雑誌のコーナーで立ち読みをしている見覚え

のある一人の女性がいた。


「やぁ雪乃ちゃん。こんなところでどうしたの?」

「ゆ、ゆうたクンっ!?な、なんでここに!?」


雪乃は顔を赤らめてしどろもどろしている。明らかに様子がおかしい。そして、悠太は雪乃が手に持っていた

本を覗いてみる。


「これ……手作りチョコの本?」

「あ、あの……こ、これはその……」

「んん?」

「……」

「わかった!!これは俺のための!」

「ちがう」

「ひぅう!そんな即答しなくても!」

「翠ちゃん悠太には手を出さないほうがいい。冗談でも調子に乗ってしつこくべたべたしてくるから。ってい

ってたし……」

「ん?小さくて聞こえなかった……」

「何にもいってないよ」


さっきの焦りが嘘のように冷たい目であしらわれる。うっそこまで、即答されるとショックがでかい……

そして、雪乃はそんなショックを受ける悠太お構いなしに、手をぽんとさせて何かをひらめかせる。


「そうだ!悠太クン暇?」

「うぇ?う、うんひまだけど……」

「よっし!じゃちょっときて!」

「うわわ!なんだってば!……ん?」


悠太はふとあることを想像する。

俺は家に連れて行かれて、雪乃ちゃんとむふふな展開に……


「雪乃ちゃん。もしかして……」

「変なこと想像しないでよ。顔がにやけてるからね」

「う!」

「変なこと考えないでいいからついてきて!」


雪乃はまじめな顔で怒鳴る。

むふふなことがないと察した悠太は落ち込みながらも、雪乃についていった。

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