小説『Realheart+Reader』
作者:藍堂イト()

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誰だと思って本を読みつつ誰が来るかを気にしていると、ドアの前に独りの女子高生が現れた。その女子高生

は今までに見たことない人物だった。髪はいまどき珍しい真っ黒い色でロングヘアーをツインテールでまとめ

ている。肌は真っ白くてきめ細かくて、ノーメイクのわりに目がくりくりしていてとても大きく見える。なん

かおどおどしていて、「私はなんにも邪なことは知りません!」といった感じの様子がクラスの男子に、儚い

とか清純系だとかいわれそうな感じである。そのほかは一般的な女子高生といった感じだ。するとその女子高

生は俺を見つけたらしくハッとした様子でこちらに話しかけてきた。


「あの……ここって1−b組みであってます……よね?」

「ええ。」

「よかった〜。ここが、新しい教室かぁ〜」


といって朝日の差し込む教室をその大きな瞳を輝かせてきょろきょろと見わたし、さっきと同じようにハッと

して後ろにくるりと向いて俯き独り言をぶつぶつと呟きだした。が、独り言の割りになにを言っているのかよ

くわかる。まったくお前に独り言の真髄を骨の髄まで叩き込んでやろうか?


「やっぱり第一印象って大切よね、そうよね……とゆうか見た感じあの人物静かそうな人だしいきなり襲って
こないよね。うんそうよ!勇気を出しなさい、私!さくらぁファイ!」


まったく聞いていられない。てか、見た目だけで「物静かな人」と決めつけないでいただきたい。ま、事実は

事実だけどね。


そしてごたごた女子高生はこっちにクルッと振り向いてキッと表情を変えてた、たたたっとこちらに向かって

きた。が、女子高生は見事に宗学指定のうち履きの無駄に長い紐に引っかかってズベッと転んでしまった。さ

らに女子高生の短いスカートは転がった衝動でめくれ上がり、白地にウサギさんがこちらを向いてニコッとし

ていた。これが何なのかを言うのは自粛させていただく。大体見当つけていただきたい。


そのかなりおっちょこちょいな女子高生を直視できない俺は後ろを向き腕で目を隠しながら、俺は女子高生に

呼びかけた。


「お、おいお前!だ、誰だか知らねえが、そのえとあれだ!とにかく起き上がりなちゃい!」


俺はこんなごたごた野郎の前でも上がりまくって、しかも噛んじまうのか……。俺は俺の非力さ、カス度に憎

しみすら覚えてしまった。


そんな俺に対してテンションは駄々下がりしながら俯いていると、謎の女子高生は立ち上がってぱっぱっと埃

を払っている。

そして驚いたことに、そいつは面白がって笑い出したのだ。


「ふふふっ。君って面白いね。この学校に君みたい面白い人がいてよかった!」


といっておちょこちょい女子高生は満面の笑みでこちらに微笑んできた。それに対して俺はついニヤっとなっ

てしまい顔がカーッとなって火照ってきた。おいおいどういうことだよ?俺は中2の時にこういう感情はすてた

はずだろ?


俺は目を瞑って耳を澄まして女子高生の心の声を聞こうとした。すると女子高生の驚きの声が頭をよぎった。


「このひとなんかいいなぁ。他の人もこんなならいいのになぁ〜」


ほんとにその言葉に驚いた。今までだったら俺に対する心の声はマイナスでグサグサと刺さる感じだった。

が、今の言葉は刺さるどころなんかあたたかくて心に、全身にジワーッとしみ行く感じだった。なんでか、俺

はあったかいかんじになった。


おい俺勘違いするな!お前にそんな感情抱くわけないだろ!きっとこれは偶然。幻想だ。お前はこれが裏切り

になったときに今まで以上に深く傷つくはずだ!!俺は心の俺にそういいかけた。その直後さらに女子高生は

俺に声を掛けてきた。


「じゃ私は校長室行かなきゃだから。それじゃあね!あっ、君名前は?私は雪乃咲夢(ゆきのさくら)っ。よろしくね」

「俺は雨那楓。」

「楓クンってゆうんだ……かっこいい名前。じゃ楓くんまたあとでね」


と言って走り去ろうとしている。そんな雪乃とかいうやつに何か引っかかりを感じた。そして俺はあろうこと

か俺のコントロール領域を逸脱して無意識に雪乃に呼び止めてた。


「お、おいお前。ゆ、雪乃だっけ……ちょとまてよ」

「え!?なに……」


雪乃は不意をつれたように驚きの様子だった。ま、それは無理もない。

そして俺は言葉にすると噛みそうだったので、手でクイクイっとやってこっちに来いとジェスチャーをした。

雪乃は驚いた様子でこちらに来た。雪乃が俺の前に来たところで俺はしゃがみこみ、雪乃の靴紐を結びなおし

た。その当本人は「ふえぇ?」とかすっとんきょうな声を出して驚いている。雪乃は驚いて足をだだっ広げし

たため、上を向くともう一回うさぎさんが見えそうだったので、俯きながら紐を結んだ。


「うちの靴は無駄に紐が長い。で、普通の結び方だとぜってー引っ掛かって転ぶ、さっきみたいにだ。だから俺らはこうやって結ぶんだ」


俺は両方の靴紐を蝶結びにした後にもう一回それを丸結びにした。すると雪乃はちょっと驚きながら俺に話し

かけてきた。


「えと……こんどからこうするね。……じゃあね」


といって俯いむきながらさささっーっと教室を出て行こうとした。どうやら今の行き過ぎた行動が逆にひかれ

てしまったのだろう。ま、こういうオチになるのは大体予想がついてたし、慣れっこである。俺は自分の席に

戻り再び読書を再開した。


そして雪乃はドアのところにさしかかると俺の予想を圧倒的に凌駕したを驚きの行動に出た。


「楓クン優しいんだねっ!ありがとねっ!」


一見聞いた感じさっきと同じような言葉だったが、押し寄せてくる温かい波のような何かが俺をのけぞらせ

た。そして俺はこれは今までの女性とは違う何かを雪乃は感じているんだ。と改めて実感した。


そして雪乃が教室を出てから入れ替えになるように俺の幼馴染で俺の対になるように超プレーボーイ男、星崎

悠太(ほしざきゆうた)が教室に入ってきた。ここだけ見れば大体いつもと同じ感じだ。俺が最初にここに来

て次の悠太がだれか女性一人と必ず登校してくる。というリズムなのである。


そしてそのイケメンプレイボーイ悠太が俺に驚いたように疑問を投げかけてきた。


「今の娘たしか転校生の桜ちゃんだろ?ま、おれのプレイデータに対しては嘘や隠しはできないのさ!」


とかいってフンと胸を張っている。ちなみに悠太いわく『プレイデータ』とはゲームのセーブデータではな

く、『プレイボーイゴッドデータ』という、悠太の情報網の略である。ほんとにくだらない。

その悠太がさらに顔をしかめて俺に疑問を投げかけてきた。


「てかさ、さくらちゃんここの教室で叫んでなかった。てかこの教室にいたのお前だけだったろ……てことは……」


悠太がまた顔をしかめて、俺の顔を見て、ひらめいたっといわんばかりに手をポンっとやって、にたぁーっと

妖艶ににやけて、俺と笑いながらガッと俺にのしかかって来た。


「お前まさかあんな可愛い女の子と仲良かったのか!いやいや楓さんも「女子嫌いだ」とか言ってるくせになぁ。隅におけませんなぁ」

「そんなんじゃねーから!ただ……」

「ただ?」

「ちょと人助けをしただけだ……。」

「人助けで女の子を落とそうとわ、楓さんも!」


悠太は俺をからかう様に誘導尋問してから、廊下を通った女子を見つけとととっーっとその女子のところへ向

かった。


この出会いをきっかけに俺の大きな変化ストーリは始動のである……

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