小説『Realheart+Reader』
作者:藍堂イト()

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4+四結散り行く先は


昨日降り注いだ雨露が路面の氷結になり朝日の照らされきらきらと輝いている。そんな寒空のした俺はいつも

どおり一人で学校に登校する。

はずなのに家の前に、一人の女性が俺の家の塀におっかかっていた。

その女子高生は俺に気づいたらしく、白い息を吐きながらにこっと笑顔を見せこちらに近づいてきた。


「おっはよー楓クンっ!」

「雪乃っ!?何でここが?」

「うーん昨日の朝、車で学校に行ってるときに楓クんがここ出るとこみたんだよね!」

「どんだけ、観察力あんだよ……怖いから……」

「そんなことより、はやくいこ〜!遅刻しちゃうよ?」


雪乃は俺の手を取って早足で歩き出した。

なんか雪乃の手はあったかくて柔らかくてちょっと汗ばんでいた。


こうして俺はいつもとは違い二人で登校した……


今日の授業はいつもの通りの授業だけでなく、一ヵ月後にある『自然教室』に向けての事前計画があった。

『自然教室』とは宗学独自の一、二年が楽しみにしているイベントのうちのひとつであった。これはキャンプ

場に行って、限られたもので(最低限生きていくためのものは支給される)自炊をし1泊2日過ごすというも

のである。

またこのグループ配分は学校の教室の4人班で構成されている。このイベントの趣旨はこの4人班の団結を深

めるというもので、ワンマンプレイではとてもじゃないが歯がたたない『7つの課題』をクリアしていく。


その『7つの課題』をクリアできなくても、別に罰などはない。が、逆にクリアすると映画一本分無料券か、

学校によく来る揚げパン屋の揚げパン一本分無料券のどちらかをもらことができる。


揚げパンは外はカリカリ中はもちもちの俺の好みの超ストライクだし、映画なんか見ないし見るとしても、テ

レビでやる再放送に頼っている。ということで俺は揚げパンを狙っていた。


だが俺の中でこの景品の狙いにはある食い違いが起きていた。俺は誰とも関わりたくないから映画を見ない。

そんな奴がどうやって人と協力して景品を手にするのだろうか?


「よーし。今日は当日の役割分担を決めてもらう。まだやることは山済みだから、これが終わった班から次の

計画に入れ。早いに越したことない!」


がん黒玉郷はそう告げて、人数分のしおりを配りだした。

班員全員にプリントが行ったことを確認した、班長の悠太は久しぶりに班長らしく計画を進めようとしている。


ま、悠太のことだから本心は『こんなこと早く終わらして放課後の居残りはなしにしてやるぜ!そのあと

は……ぐっへっへ♪』といった感じだろう。


「んじゃまずは役割だ!役割は『班長』、『調理』、『タイムキーパー』、『チェック』があるな。俺は自動

的に『班長』。んじゃまず『調理』はだれやる?」

「わたしに、調理やらせて〜?」

「じゃあ『調理』担当は咲夢ちゃん!咲夢ちゃんのおいしい料理たのしみにしてるよっ!!」

「うん。料理ならわたしにお任せっ!!」

「んし、じゃ『タイムキーパー』やるやつは?」

「俺やるよ。おれができるのなんかスケジュールくらいだしな。」

「んし。ま、楓ができることなんかこれくらいしかないもんな?」

「なんか俺からからかわれてるよな……」

「じゃ残りの「チェック」は消去法でおまえな。」

「えぇ?ま、べつになんでもいいしね。この班なんてうちに関係ないし。ねぇ?」


翠は悠太の指示に対して適当にあしらって、また後ろのチャラ系の女子とトークを再開しだした。

瑞音翠(みずねみどり)。俺の班の班員だがいつも隣の班にいる女子(もちろん普通じゃない女子)と話して

いて班には無関心。初期の制服を違反にアレンジした改造制服。脱色して髪の毛の芯まで染まてある金髪でロ

ールをかけたロングヘアー。もう素顔が想像できないほどにメイクされた顔。どれをとってもピュアな雪乃の

ついといった感じである。


そんな翠は今回のイベントでもあまり関心がなく、計画にも参加しないため仕方なく三人で計画を進めていった。


そして計画を進めていくうちにあっという間に自然教室当日になった。

この自然教室をきっかけにさらに俺らの運命の歯車は動き始めていく。

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