第15話
side 平沢 唯
ギターを買って、うきうきと我が家に帰宅して、自分の部屋に行き、ギターを見つめる。
「わー・・・よろしくねー。ギー太。や、やっぱコレは無いわ。ギー太って・・・」
早速、名前を付けたのだが、いかんせんセンスがいまいちなので、却下した。
で、適当に弾いてみるが・・・
ーー♪♪♪
「うーん、やっぱ難しいなー・・・」
所詮、素人なのである。ビギナーコードと言われる初心者向けのコードさえも手間取っているのだ。
「ふんすっ!自分に負けるな!自分に勝て!」
自分に闘魂注入して、時折『ダァァァ!』と顎をしゃくらせ気合を入れまくる俺に対して、憂は何事かと、俺の部屋に入って俺の様子を見に来たのだ。
「ど、どうしたの?お姉ちゃん。って、ギターだっ!買ったんだ!」
憂は俺が持っているギターに目を光らせ何かと興味津々なようだ。
「・・・はっ、ご飯だよー。リビングに、おいでよー」
俺がギターを持っている姿にトリップした憂は、ようやく意識を取り戻し、飯が出来た事を報告。
というか、もうそんな時間か・・・何かに熱中したら時間が進むのは早いのな。
ーーーー
「お姉ちゃん。ギター頑張ってるねー。」
「うん。憂もやってみる?」
「うん!」
ささやかな食事兼家族相談が行われているが、それまじか。
まぁ、憂は飲み込みが早いので俺より成長するのだろうな。なんだか、くやしいな。
俺のギターライフが始まり、バンド練習も始まるのだろうな。