小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第19話

軽音楽部に顧問が出来て、数日がったある日。


「あなたたち、演奏してみて」


と山中先生は言って俺達はいそいそと準備をして・・・


「ワン!ツー!スリー!フォー」


律はスティックをカッカッ、と鳴らし・・・


ー♪♪♪♪ー


俺のギター、澪のベース、律のドラム、紬のキーボードの音色が音楽室に響く。


ーーーーーーー


何とか演奏が終わり・・・


「うん。だいたい、いい感じなんだけど・・・ボーカルいないの?」

そう、俺達にはボーカルがいない。今までずっと曲だけをやっていたのだ。おいおい『あっ・・・』みたいな顔はやめろ。


「後、歌詞も見せてくれないかしら?」


生憎、それはまだ存在しないんだな。山中先生は、溜め息を吐く。

ーーーーー

歌詞は各自考えておくように、と宿題がでた。


我が家のリビングでテレビとか本とか読んでいくのだが、思い付かない。俺は『U&I』は、最後の学園祭で発表しようかな、と思っている。俺は人の真似事は少し嫌いだな。


「お姉ちゃん。何唸っているの?」

憂はこてん、と首を傾げて尋ねる。ちくしょう可愛い。


「あー。歌詞だよー。憂もアイデア出してくれないかな?」


憂は、うーん。と右手をグーにし、額に付ける。それ考えるポーズなのか?初めて見たのだが・・・

「ごめんね。お姉ちゃん。役に立てなくて・・・」


とても、しょんぼりしている。俺は憂に依存していた。何かあれば憂を頼ってしまう癖がある。俺は悲しそうな憂は、もう見たくないのに・・・


「い、いいよいいよ!気にしないで!私がちゃんとしないといけないのに。ありがとうね。憂」


すると憂は、ぱぁぁと笑顔を出し頷く。俺は、その顔が見たかったんだよ。憂。


自分の部屋に戻り一生懸命、歌詞を考えていた。友達曰く、澪が『ふわふわタイム』を考えてくれるからいいや、なんて事は微塵(みじん)も思っていない。俺は努力を放棄したくない性格なのだ。

「頑張れ。平沢唯」

俺は、そうつぶやいた・・・


ーーーーー

学校で授業を適当に聞き流し、放課後になった。


俺は和と世間話をし、部室へと行く。行くなと言われても行くだろうな。


ドアノブを手にかけ、律、澪、紬、山中先生を目にする。来るの早いな。


「よーし。唯も来たことだし、各自作った歌詞を見せろー。出来てないとか言ったら、許さないからな」


律は、楽しそうにみんなを見渡す。


「まず、ムギから!はいっ。どうぞ!」


「え、えーと。家政婦は見たっ!」


「「は?」」


律と澪は同時に声を出す。そりゃそうだ。抜けた事、ほざいているからな。


「え、え、犯人はヤスっ!」


「も、もういいよ?ムギ。個性的だったぞ?」


律は紬の暴走を止める。ナイスだ。後で、弁当によくある緑のギザギザを与えよう。


律も歌詞を考えることは出来なかったそうだ。次は俺か・・・


「じ、じゃ。唯。どうぞっ!」


律もこう言っているんだし、見せますかね。


歌詞   『カゲのアシアト』

君といたあの時間はなんなんでしょうか

幻想?そんなつまらない物は僕は信じない


現状?僕と君のカンケイはなんでしょうか


愛情?僕は君のことが忘れられないだけなのです


もうすぐ会えなくなる?君の突然コトバを僕は君のアシアトを頼っていくだけなんだよ

ーーーー

「・・・・」

みんな無言だ。果たして、どうなることなのやら。
「澪しだいまで、ほ、保留で・・・」


律は、少し引きついた顔でいいやがる・・・だめなのかな?


「は、はい。次、澪」

「あ、あぁ。ちょっといい感じに仕上がっているんだ!私も結構好きなんだ!」


ーーーーー

歌詞 澪 『ふわふわタイム』

いつも君を見ているといつもハートDOKI☆DOKI


揺れる想いはマシュマロみたいにHU☆WA☆HU☆WA

ーーーーー

「・・・」

律は絶句である。それはそうだ。なんかこう・・・ぞわぞわするのだが・・・俺には何だかファンシーすぎるんだが・・・


「ど、どうかな!私は後の歌詞のお気に入りのうさちゃんって所がいいと思うんだ!うん」


澪・・・お前ってやつは・・・


そして、また職権濫用を使った山中先生により、『ふわふわタイム』、『カゲのアシアト』が使われる事を認められた・・・あぁ、いいんだ?それで。



それはそうとボーカルを決めていくのだが・・・


「え!?こんな恥ずかしいのを歌うの?」

「おい!作者!」


澪を『ふわふわタイム』のボーカルに、と決めているが恥ずかし屋の澪は拒否している。俺は『カゲのアシアト』のボーカルやらさせられるのだぞ。まぁ、別にいいんだけど・・・

山中先生は、『唯ちゃん。頑張れる?』と俺に二曲のボーカルを押しつけられた。はぁ、やれやれ・・・



ーーーーーーーーー

「へー!二曲も歌うんだ!すごいよ!お姉ちゃん!」

「いやー。えへへー」

俺は我が家にて、憂に絶賛褒められ中である。すごく、照れる。

「あ、ご飯作ろうか。憂」

「あ、うん!」


何とか、話をすり替え、飯を憂と作る。はぁ、憂よ。俺を褒めすぎだ・・・


ーーーーー

夕飯を食べ、風呂に入り、自分の部屋のベットで、ゴロンと寝ている。


すると、メールが届いた。澪からだ。

『学園祭まであと少し。みんな頑張ろう  by 放課後ティータイム』


澪は軽音楽部に一斉送信し、みんなを励ます。ま、頑張るとしますかね。



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