第20話
学園祭が近いことから、みんな熱心に練習をしていた。俺もその一人だ。
紬がお菓子で休憩をいれよう、と提案したが、律は、後一曲な。と珍しい事を言う。いつもは、休憩を入れたがるけどな。
俺は喉を潰さない程度に練習をする。歌えないボーカルなんて、あり得ないからな。
学園祭当日。本番が来たな。俺はというと・・・
「いらっしゃいませー」
緑のアフロのカツラを被り、焼きそばを焼き、接客している。俺のクラスは、焼きそば喫茶店を企画していたからだ。
すると、澪が来たようだ。澪が言うには、もっと練習をしょうと、最後の合わせをしたいようだが ・・・
「ごめんね。私、当番で抜け出せないんだよ」
そうか、と澪は悲しそうに、とぼとぼと喫茶店を出ていく。俺だって練習したいのだがな。
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俺のクラスの喫茶店は、大繁盛だ。客は、後を絶えない。すると律と紬が来て、練習をしよう。と言ってくる。まだ俺は抜け出せないと思ってたが・・・
「唯。行ってあげなよ」
クラスのみんなが、俺にそう言ってくる。ありがとよ・・・
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俺達は、音楽室へと行き練習をする。
本番前の最後の練習だ。とてもいい感じだ。
本番もこれなら大成功だろう。
「みんなー。頑張ってるー?今日は張り切って衣装を作ってみたのー。これ絶対着てよね」
山中先生が突如と現れ、何やらゴスロリ風な衣装が見える。断りたいのだが、いかんせん、教師の職権濫用を使い無理やり着せる。
さて、ライブをするため、俺達はそそくさと、講堂へと向かい、和に準備が出来たことを報告する。
「ほら。次はあなた達よ。頑張りなさい」
和の激励に俺達は力強く頷く。さぁ、本番だ。
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「『放課後ティータイムです。最初の曲、『カゲのアシアト』!』」
俺がMCを軽く済ませ、律はみんなの準備をした事を確認し、スティックを鳴らした。
ー♪
君といたあの時間はなんなんでしょうか
幻想?そんなつまらない物は僕は信じない
現状?僕と君のカンケイはなんでしょうか
愛情?僕は君のことが忘れられないだけなのです
もうすぐ会えなくなる?君の突然コトバを僕は君のアシアトを頼っていくだけなんだよ
僕と居たあの時間はなんだったんでしょうか
矛盾?そんなコトバは僕には届かないよ
異常?僕はそんな君の世界なんて知らないよ
運命?そう僕は君のことを信じていたいのです
もう会えない?そんな君の突然のコトバを君のアシアトを辿り着けるだけだよ
ーー♪♪♪
ジャー・・・ン・・・♪♪
ワァァァと歓声を浴びた俺達は、すぐさま『ふわふわタイム』も演奏し、これもまた、凄い歓声を浴びた。やばい。音楽楽しい。
で、舞台から立ち去ろうとしたのだが・・・
「きゃっ!」
澪はコードに引っ掛かり、倒れかける。俺はすぐさま、澪に抱きつき澪を助ける。
「大丈夫かい?澪ちゃん。」
「あ、ありがとう。唯。」
澪の手をしっかりと繋ぎ、舞台を降りる。こうして、俺達の学園祭は終わった。
余談であるが、この俺の行動により、俺が知らない所で新たな部活が出来た事は、この時はまだ知らなかった。その部の名前とは・・・
『平沢唯ファンクラブ』