第22話
憂は高校受験の為の勉強をしている。受ける高校は、もちろん俺が通っている『私立桜が丘高等学校』だ。
憂は分からない所があるのか、たまに、うーんうーんと唸っている。俺は、そんな憂を助けようとして教えようとするが、何だか遠慮しているようだ。気にしなくてもいいのにな。
「大丈夫だから、憂は私に頼っていいからね。私は憂に頼りっぱなしなんだから、ね?」
「う、うん!ありがとう!お姉ちゃん!でね、ここの問題のーー」
「どれどれ?」
ーーーーーー
試験日当日まで、俺は憂に勉強を教え続け、あれよあれよと時間が過ぎ、合格発表の為、俺達は高校に来ている。
「えーと・・・!あったよ!お姉ちゃん!私合格だよ!お姉ちゃんと一緒に同じ高校に行けるんだ!えへへ」
「よかったね。憂」
憂の学力なら、合格は当たり前だろうな。俺も、ほっとしている。
ーーーーーー
俺、律、澪、紬は今、クラス表をみている。俺、律、紬は一緒のクラスに。澪は和と一緒のクラスだそうだ。
次の日の放課後。数日後の新歓ライブを控えているため、音楽室に集まり、俺達軽音楽部は、何の曲をするのかを決めている。なんと五曲まで歌っていいそうだ。
澪のいつ書いたか 知らないが、歌詞を三つ用意している。これらもファンシーな歌詞だった。
ミーティングの末、演奏する曲の順番が決まり、練習をしていく。もちろん全て俺がボーカルだ。やれやれ。
新歓ライブ当日。俺達軽音楽部は入学生を歓迎するため、入学生を講堂へと集める。この時、俺が密かに作った軽音楽部についてのパンフレットやチラシを入学生に渡すのは忘れない。変な着ぐるみを着てチラシを配るのは嫌だからな。
「『ご入学おめでとうございます。私達は軽音楽部です。私達はご入学された皆様を心より歓迎したいと思います。まず最初の曲『カゲのアシアト』!』」
俺が軽くMCをし、律はみんなの準備したことを確認し、スティックを鳴らし・・・
俺のギター、澪のベース、律のドラム、紬のキーボードが講堂に響き・・・
ーーー♪♪♪♪ー
ーーーーーーーー
新歓ライブが終わり、俺達は疲れにより、ぐたっとした。お疲れさん。
『カゲのアシアト』の後に『ふわふわタイム』、『カレーのちライス』、『わたしの恋はホッチキス』、『ふでペン、ボールペン』という順番のおかげか、ライブは大成功だ。俺達は満足だな。
で、ライブの次の日。俺達は音楽室で新入部員を今か今かとそわそわしている。ええい、落ち着け。
すると・・・
「お姉ちゃーん」
憂が入ってきた。突然なんだろうか。というか、何故ギターケースを持っている?
「なんだ憂ち ゃんか。新入部員かと思ったのに・・・でも、どうしてギターケース持っているの?」
律のナイスな質問に俺も興味津々だ。
「私、入部希望に来ました。で、このギターは、私の友達がこのギターを持ってまして、その友達がジャズ研のクラブ見学を見まして、何だか違うな。使わないから私にあげる。という訳で貰いました。」
憂はギターケースから薄茶のアコースティックギター。通称『アコギ』を手に取り、俺達に見せる。が、そんな事はどうでもいい。憂は軽音楽部に入るとも聞いていない。俺が入れとも言っていない。
「にゅ、入部希望!?本当に!?」
「本当なのか!?」
「憂ちゃん!歓迎するわ!」
律、澪、紬のリアクションを起こす。こうして憂の軽音楽部の入部が決まり、俺達軽音楽部は賑やかになった。