小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第24話

俺達軽音楽部は、またまたミーティングという名の雑談をしている中、山中先生は・・・


「梓ちゃんにプレゼントがあります!」


「え!?何ですか!?」


プレゼントと聞くと梓は目をキラキラさせ、山中先生は懐から


「じゃーん!猫耳でーす!」


「えっ・・・」


黒い猫耳だ。山中先生は嫌がる梓を目をくれず、梓に押しつける。

「じ、じゃ・・・」


「「「おー」」」


「可愛いよ!梓ちゃん!」


本当に似合っている。猫の親戚だろうか?梓が猫に見える。


「にゃーって言ってみて!」


律は面白がって言うのだが、後輩をいじめるなよ。


「に、にゃー」


両手を猫手にして、律の要望に答える。ノリがいいのな。


ーーーーーー


山中先生は職員会議があるからと職員室へと向かった。俺達はお菓子を食べる為、休憩をとる。練習はまだしていないがな。


「ち、ちょ。練習しましょうよ。憂も何か言ってよ」


「ご、ごめんね?梓ちゃん。癖になっちゃって。えへへ」


憂は悪気は無い。悪いのは俺達だ。先輩なのに練習をする気力が無い。

そんな俺達を見兼ねたのか、梓は急にぱたり、と部活に来なくなった。


「今日も梓は休みか・・・憂ちゃん、何か知ってる?」


「い、いえ。でも、いつも学校が終わってギター持って真剣な顔でどこかに行っているようなんですが・・・」


「それが分からないと・・・」


「はい・・・すみません。律さん。澪さん。ムギさん」


あまり、いい雰囲気では無い。俺はその状況を打破する為に


「梓ちゃんが戻ってくるまで練習しよう!きっと来るから!絶対に!梓ちゃんは『放課後ティータイム』の一員だから!」


「唯・・・そうだよ!練習だ!」

ーーーーーーーー


俺達は無我夢中に練習をする。お菓子なんて食べず、必死に、憂も何とか演奏を出来るようになった。梓の為に俺は・・・


「梓ちゃんの為に『翼をください』をやろうよ!ロックバージョンで!」



「何でまた・・・でも、唯に何か考えがあると思うんだけど・・・」


律は俺の必死の言葉に納得する。梓のクラスでは、今『翼をください』をやっている事を憂から聞いていて、俺達のオリジナルの曲では無く梓に想いを伝えるため、練習に励んでいる。今日も梓は来なかった・・・

我が家に帰り、部屋着に着替え、梓が来なくなってからやっている事がある。『放課後ティータイム』の全ての曲を梓に覚えさせる為に梓にあげる原曲を書いている。すでに、四曲は完成した。それは何故かというと・・・

ー♪「これがソ」ー♪「これがーー」
俺は絶対音感の持ち主である為、出来る手段だ。待ってろよ。梓。

ーーーーーー


数日後、梓は来た。だが、元気は無く俯いている。


「「梓!」」


「「梓ちゃん!」」


「ぐすっ・・・私・・・ヒック・・・ヒック・・・わが、分がらぐで・・・ヒック」


梓の目に大きな涙がボロボロと零れている。俺達はそっと見守る。

「な、何で・・・ヒック・・・ヒック・・・新歓ライブで・・・ヒック・・・感動したんだろうて・・・ヒック・・・わだじ分がらない・・・ヒック」

「梓ちゃん・・・」

憂はたまらず、梓に駆け寄るが梓は泣き止まない。この状況を打破するには演奏しかないと思い、俺は口を開く。

「みんな!練習した曲梓ちゃんに届けるよ!今!ここで!」


「え?」


俺の発言により、梓は俺を見る。

「私達は梓の為にいっぱい、練習したんだ。梓」


「律先輩・・・」


「そうだぞ?梓」


「澪先輩・・・」


「 梓ちゃん。私達練習している間、お菓子食べずに頑張ったんだからね」


「ムギ先輩・・・」


「そうだよ?梓ちゃん。私も初心者だけど、頑張ったんだよ?」


「憂・・・」


「さぁ、やろうみんな!練習の成果を梓ちゃんに!」


「唯先輩・・・」


俺達は、各自準備し、律はそれが終わったことを確認し、スティックを鳴らしカウントをとる。


「ワン!ツー!スリー!フォー!」


ー♪

「あ、この曲・・・私のクラスの・・・」

前から決めていたボーカルは俺、澪、憂だ。二人とも、梓の為にやりたいようだったので俺は快く引き受けた。

『翼をください』を終え、澪は


「確かにお菓子で休憩をとるのは良くないと思うんだけど、私達はこれでここまで来たんだ。」


「澪先輩・・・」


「ごめんね梓ちゃん。で、私達の軽音楽部にまた来てくれる?いつでも歓迎するから。ね?」


「唯先輩・・・はい!私、やっぱりこの軽音楽部がいいです!お菓子も、たまにはいいかな、なんて・・・」


ーーーーーーーー

梓の退部を何とか防いだ俺は


「はい梓ちゃん。プレゼントだよ」


「え、これって・・・」


「『放課後ティータイム』の曲だよ。梓ちゃんバージョンだよ!」

「いつの間にそんなものを・・・」


俺はこれまで書いていた梓の為の曲を梓に渡す。梓は貰いとても嬉しそうで、笑顔で


「ありがとうございます!唯先輩!」


はいはい。どういたしまして。

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