小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第27話


side 平沢 唯

梓を何とか軽音楽部を続けさせた。よかったな。律、澪、紬、憂。

そして休日。
我が家のリビングにて憂と共にだらっとしていると・・・

「ところで、梓ちゃんにあげたあの曲は、いつ書いたの?お姉ちゃん」


「それはね、憂。梓ちゃんが来なくなった日からずっとやっていたんだよ。梓ちゃんが来るのを信じてね」


「へー!そうだったんだー!すごーい!」


憂の褒めに俺は、


「いやー。でへへへ」


照れくさそうに頭を掻き、俺は弾ける笑顔で憂を見る。という感じで雑談を交わしていく。


「あ、そういえば。憂。何で軽音楽部に入ろうとしたの?私、何も聞いていないけど」


今、思い付いた事を話す。


「あ、それはね。お姉ちゃんがいつも嬉しそうにギターをするから私も何だかやりたいなーって。えへへ。ダメだった?」


「へ!?いや、少し気になっただけだから。気にしないでね。一緒に頑張ろうね。憂」


俺のフォローにより、憂は、ぱあぁと弾ける笑顔で


「うん!頑張るよ!お姉ちゃん!」


ーーーーーーー



次の日の放課後。俺達軽音楽部は音楽室にて、緊急ミーティングだそうで、何か事件だろうか?と俺は不安だったが、澪が言うには


「今度の連休、合宿をします!ムギに頼んで別荘を用意させたから!今度こそ練習を朝から晩までみっちりします」


「へー!合宿ですか!本格的ですね澪先輩!でも、今度こそって?」


梓は去年の合宿の内容を知らないので、首を傾げる。


「去年やったけど、練習をしなかったからな。私達は遊んでいたからな」


「え、えー・・・意味ないじゃないですか・・・」


うむ、全くその通りである。


「し、仕方ないだろ!律やムギや唯だって遊んだんだ!」


「の、割には澪だって楽しそうだったじゃん」


律の発言の言う通り確かに俺達が遊んでいるのを見て、『私も遊ぶ』なんて言うからな。


「だ、だから今度こそ練習をするんだ!だから日程は空けとけよ!みんな!」


こうして俺達の軽音楽部の合宿が決まった。憂も、何だか楽しみのようだった。



合宿の日当日になった。俺と憂はしっかりと家の戸締まりを確認し、集合場所へと向かった。


「楽しみだねー。お姉ちゃん」

「うん。そうだね。きっといい思い出になるよ。憂」


憂は、はしゃぐように笑い俺も笑う。うん、いい姉妹だ。


集合場所に到着し、律、澪、紬、梓がいる。待っていたのだろうか?


「ごめん!待った!?」


「あ、私達は今さっき着いたから。憂ちゃんも悲しそうな顔しないで」


「あ、すみません!先輩方!」


憂は深々と頭を下げる。さっき許すと言ったのにな。


ーーーーーーーー


紬の先導で、俺達は紬が用意した別荘に着いた。


「はー。今年も大きいなームギ」


「ううん。今年もダメだったの。ここの別荘狭いの。りっちゃん」


全然そんなことは無い。まだ大人数でも入れるようだ。とても大きい。


「さ、練習する「よーし遊ぼう!」」


澪の言葉を遮って、律は前代未聞な事を言いだす。馬鹿なのか?


「お、おい。練習する為合宿に来たんだろうが!」


「え、だって近くに海があるんだぜ?泳ごうよ。練習は晩でいいじゃん」


はぁ、いくらなんでも部長の発言とは思えないな。律は多数決をすると、提案。勝負は見え見えだがな。


「じゃ 、今から遊んで晩に練習の人!」


「「「はい!」」」

律、紬、憂が手を挙げた。おいおいなんでだよ。


「え!?何でだ憂ちゃん!律とムギならともかく・・・」


澪の発言。確かに、何故だろう。憂は真面目な子なのに・・・


「はい。例えば今から練習したとします」


ふむふむ、とみんなはリアクションをとる。


「それで夜までかかり、海に遊べない、というストレスが演奏に乱れると思うんです。その乱れによって、私達は成長が出来ない、と考えています。澪さん。ダメですか?」


な、なるほど。考えている。俺はそこまで考えもしなかった。


「た、確かに。夜の海は危ないし、そういうストレスで、演奏に乱れが起こるかもな・・・。」


憂の説得により、梓も驚きの表情だ。賢いな憂。


で、水着に着替え、キャッキャッとみんなと遊び続け・・・


ーーーーーーーー


「あー。遊んだ遊んだ」


夕方まで遊び尽くした。澪は、たまに『練習だ』と言うのだが、澪はミイラ取りがミイラになり、澪も、遊んだ。


で、夕飯。俺達がバーベキューを作っているのだが・・・


「梓ちゃん・・・身体焼けたね・・・」


梓は真っ黒である。黒梓と命名しようか。


「ええ・・・日焼け止めクリーム塗りましたが・・・ご覧の通りです・・・」

黒 梓はしょんぼりとしている。一体どういう体質なのだろうか。


夕飯を終え、夜になり律は再び本末転倒な事を言う。


「肝試しやろうぜ!」


はぁ、またかよ。


「え!?肝試しですか!?」


憂は嬉しそうに聞く。憂は、こういった怖い物が大好物だ。怪談とかな。


「お、憂ちゃん。反応してるじゃん。澪ー。本当は怖いんじゃないのー?」


「な、何が肝試しだ。練習するぞ律」


「へー。逃げるんだ。澪」


「な、そこまで言うならやってやろうじゃないか!その肝試し!」


「え、えー・・・澪先輩。練習は?」


「それは後からだ!梓!」


こうして、肝試しが始まろうとしていた。やれやれ。

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