第29話
俺の怪談話が大いに盛り上がり、みんなと一緒に風呂に入った。
「うーん。メガネ外していると、澪ちゃんと梓ちゃんが見分けつかないわ」
山中先生は視力が悪いのか、目を細めている。
「でも、胸はどうかなー!?」
山中先生は手を澪、梓の胸へと近づくが・・・澪は山中先生を拳骨で殴り、山中先生は風呂にぷかぷかと浮いた。コントだな。
「うふふ、憂ー。私も憂の成長が気になるなー」
「え、えー。恥ずかしいよ。お姉ちゃん・・・」
憂は、ぽっと顔に朱を浮かばせるが、俺は我慢の限界だった。理性がとんだ。
「うりうりうりー」
「ひゃっ・・・お、お姉ちゃんくすぐったいよー」
憂の胸の感触を楽しんだが・・・
「お前はオヤジかっ!!」
澪の拳骨により、俺は山中先生と一緒に風呂にぷかぷかと浮いた。やりすぎたな。
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夜。みんな疲れ果てていたのか、眠っていた。今度こそみんなを起こさないように、そろりそろりと別荘のベランダに着いた。俺がやる事は、もちろん夜空を見ることだ。
「はー、風が気持ちー」
そよそよと風が吹いて、心を落ち着かせる。別に、苛立っていないけどな。
「くすっ。本当ですね。唯先輩」
梓だ。昨年も誰かが俺の時間を奪うように、今年もかと、少し残念がる。
「あー・・・起こしちゃった?ごめんね梓ちゃん」
「いいえ、私はお手洗いに行きまして、それでベランダに唯先輩がいましたからどうしたのかな?と思いここに来ました。」
「へぇー。」
ただそれだけの理由なのだろうか?梓は俺の隣に来て、夜空を見る。何だか寂しそうな顔で気になり俺は
「何かあった?何か苦しそうだよ?梓ちゃん」
「はい・・・今日。練習しませんでしたよね。だから私・・・今後どうなるのかなって・・・」
確かに俺達は遊んでいた。でも、梓もキャッキャッと遊んでいたのは俺の気のせいか?
「うんそうだよね。ごめんね。でもね、梓ちゃんにこういった思い出を作ってあげたかったんだよ」
「唯先輩・・・」
「で、演奏の事だけどね、梓ちゃんは私達の演奏を信じて、梓ちゃんなりに梓ちゃんのギターを弾いて欲しいんだ」
「私なりに・・・?」
「そう!梓ちゃんのギター、とても上手いから私達は信用出来て、いい演奏ができるんだよ!」
「信用が出来る・・・私のギターが・・・」
「だから・・・梓ちゃん。前だけ見ててよ。後は私達先輩に任せていいんだから、おもいっきり弾いてね」
俺は梓の頭に、ぽんと手を置き、寝るため、そそくさと部屋へと帰る為、振り返った。すると、後ろから梓の『はいっ!』と元気な声がしたので、後ろ姿のまま、手をふらふらと振った。
また、語ってしまった。やれやれだな。
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合宿最終日、朝から練習する為に、俺達はそれぞれ、準備しているのだが、梓は、なにやらギターに『何か』をはめて、ギターをいじっている。気になり俺は
「ね、それ何?梓ちゃん」
「え、何って、チューナーですよ。これでチューニングするのですが、唯先輩ってどうやってチューニングするのですか?」
「ん。適当に。ー♪ほらっ」
「え!?絶対音感ですか!?」
「あはは。まあね」
梓の褒めに照れる俺。憂は、絶対音感では無いため、俺がいじっている。
「ほら!昼帰るからさっさとやるぞ!」
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練習は、いい感じに仕上がり、澪も納得だそうだ。俺達はそれぞれに帰路へと帰った。みんなお疲れさん。