第30話
合宿が終わり、学園祭も近いことからみんなはやる気なのだが・・・
「みんなー。お菓子持ってきたよー」
紬の、のほほんとした空気に俺達は引き込まれるようになって、紬が持ってきたお菓子を食べる。
「あー・・・学園祭が近いのに、すぐコレかー・・・」
「ですね。澪先輩・・・」
俺はさっさと食べ終わり、ギターのメンテナンスをする。案外難しいが少しは慣れた。
「あ、そういえば唯先輩。何でそのギター選んだんですか?重いし、ネックは太いし、クセはあるし・・・」
梓はこの俺が持っているギターである『ギブソン・レスポール・スタンダード』が気になるようだ。確かにその通りだが。
「あー・・・うん。でも、一目惚れで買っちゃったんだよねー。こんな理由じゃダメかな?梓ちゃん」
俺は、ただ単にこのギターがいい、と思わされただけだ。
「い、いえ!人の個性は人それぞれです!気にしなくっていいですから」
梓は手をブンブン振って慌てている。すると、梓は憂のギターについても聞く。
「憂は、何でアコギなの?」
「ん?コレのこと、アコギっていうんだー。へぇー。」
憂は自分が持っているギターの名前を知らなかった。本当に賢いのか、抜けているのか、いまいちよく分からん。憂は、アコギを友達から譲り受けたという話をして、梓は、『なるほど』と納得した。
まだ、梓は俺達の事を知りたいのか、質問をする。
「澪先輩は何故、ベースやっていますか?」
「だ、だって。ギター恥ずかしいんだ。目立って・・・」
「え、えー・・・どこでも一緒だと思うんですが・・・」
確かに。やる以上、舞台に上がるのだ。嫌でも目立つ。
「で、では律先輩は?」
「私か?私はなー。ギターとか、ちまちました動きが・・・キィーっ!となるんだよ。」
「な、なるほど。よく分かりました。律先輩の性格・・・」
「な、何をー!私が、おおざっぱとでも、言いたいのかー!?」
律は梓にちょっかいを出すが、梓はまだ質問したがっている。探偵にでもなりたいのだろうか。
「ひぃっ!で、ではムギ先輩は?」
「私、四歳の頃からピアノ弾いていたからよー。梓ちゃん」
「よ、四歳から!?す、すごいです」
「えへへー。褒められちゃった」
紬は両手を頬に当て、くねくねと動く。照れ方、可愛いのな。
すると・・・
ガチャ
俺の親友である和がやって来た。
「盛り上がっている所、悪いんだけど、学園祭の講堂使用届が来ていないんだけど」
和は、やれやれといった表情で俺達を見る。また、律は忘れ物をしたらしい。やれやれ。