小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第31話


次の放課後、俺、憂、梓は仲良く長イスに座り、ギターをいじったりする。梓は憂にギターを教えている。


「で、ここで、ー♪♪出来ない時はスローテンポで弾くといいよ」


「「なるほどー」」


「って、唯先輩まで納得してどうするんですか・・・」


梓はジト目で見ているが、俺はまだ上手では無いのだ。梓の教えは分かりやすい。

「あ、そうだ。和ちゃんとお茶するんだった。澪ちゃんもどう?」

「え!?和と!?」


和という発言で澪は嬉しく反応する。


「うん!行く行く!」


「憂も呼ばれているから、一緒に行こうねー」


「うん!」

ーーーーーーー

side 田井中 律

唯がお茶会に澪を誘って、澪は私が見たことが無い程、笑顔になっている事に私は何か違和感を感じた。
澪、唯、憂ちゃんは早速、和を連れて近くの喫茶店に行くという話を聞いた私は・・・

「ムギ、梓、尾行しようぜ!」

「ええ!?尾行!?行く行くーっ!」

「え!?ちょ、いいんですか!?」

ムギは尾行という単語に目を光らせていたのでムギは賛成という事が分かったんだけど、梓は何かと反対している。だけど、私は

「部長命令だっ!」

「ひ、ひどい・・・」

ここぞとばかりに部長命令を強調して梓を渋々納得させた。よしっ!後は尾行だ!

澪達が喫茶店に入って行く事を確認し私は『GO!』と喫茶店に突入の合図をしてムギは『ラジャー♪』と元気よく敬礼して私の後に続いた。

「ほ、本当に大丈夫ですか?律先輩・・・」


「大丈夫だってー」

梓はおずおずとしているけど、そんな事は気にしないで澪達を見張れる場所へ移動。

「うふふ♪探偵さんみたーい」

ムギは大喜びで、はしゃいでいたけど、私はそんな気持ちにはなれない。いったいどうしたんだろう・・・私。

ーーーーーーー


side 平沢 唯

喫茶店に着いた俺、澪、憂は和と一緒にお茶会をしていた。


「で、どう?唯と憂の調子は?」


「「大丈夫だよー。和ちゃん」」


俺と憂は、のほほんとした声で回答する。澪は


「頑張っているけど、この通り、のんびりとしているよ」


和は、ため息をした。何でだよ。

「唯。あまり無茶しないでね。憂も」


「「わかってるよー。和ちゃん」」

俺と憂はまた、のほほんとした感じで答える。


「憂。いつもは、それでいいんだけど、学校では、ちゃんとするように」


「はっ!ご、ごめんね。和ちゃ・・・和さん」


和は、ため息。出来の悪い娘を見るかのような顔はやめろ。


「へーい!みんなやっとるかねー」

律の突然の乱入。澪は驚き

「え、何で律が?」


「私だけじゃないよー。ほらー」

律が手を伸ばす先には、梓、紬がいた。梓、紬は


「す、すみません。尾行してました」

「面白かったわー。まるで探偵さんだったみたいでー」



一人は申し訳無いように、一人は楽しそうに、リアクションしていた。


「こ、こら律!何でまた私達を尾行するんだよ!」


「ごめんねー。澪。気になって、いてもたってもなれなくってー」


律は、笑いながら 澪を見て、謝罪する。
お茶会は済み、各自の帰路へと帰っていく。楽しかったよ。みんな。


この時、まだ俺は、軽音楽部の、乱れを、気付いていなかった。気付けなかったんだ。軽音楽部の、廃部の危機となる、乱れが。

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