小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第33話


俺が怒った日の放課後、律は来なかったそうだ。やはり、律も俺の事で考えていたのだろうか?


次の日の朝、学校には律が来なかった。何故だろうか?担任に聞いてみる。ホールルームだからな。


「先生何故、律ちゃんは休みなんですか?」


「ん?田井中か?風邪だそうだ。それより、平沢。次、早退する時は、ストレスで円形脱毛症ってのは無しな」


担任が律の事を言うのだが、俺の事の必要の無い情報をクラス全員に言い渡すんだから、みんなは


「え、円形脱毛症!?」


「ぷっ、ぷぷ。唯って面白い子?」


まぁ、笑われて当然だがな。


ーーーーーー

昼休み。律を心配した澪は、俺のクラスに来たようだ。

「あ、唯、ムギ。律は?」


「風邪らしいよ」


「朝から休んでいたの」


俺達は放課後、音楽室に集まり、律のお見舞いをする話をしていた。でも俺は、みんなにやる事がある。それは


「みんなごめん!!勝手に怒って出ていって、練習も来なくて!!」


俺は、腰を90度に曲げ、頭を下げる。


「あ、その件、いいって言っただろ?唯」


「澪ちゃん・・・」


「そうよ。唯ちゃん。でも、怒った唯ちゃん、格好良かったわ〜」

「ムギちゃん・・・」


「私、びっくりしました。ですけど、唯先輩の新たな一面が見れて良かったです!」


「梓ちゃん・・・」


「ほら言ったでしょ?みんなお姉ちゃんが大好きなんだからね」


「憂・・・」


お前達、いい人過ぎるぞ。涙目に、なりがらも俺は


「みんなありがとう!律ちゃんに寄せ書きしょうよ!風邪治りますようにって願いを込めて!」


「「「おー!」」」


ーーーーーー


澪は先に行き、俺達は後から合流する事にした。澪と律は幼なじみらしいので、何かを話すようだ。


で、しばらくして、俺達は律の家に着いた。


「律ちゃん〜」


「しー。今、寝かしている所だ」

律は、寝ていた。律にも、謝罪したかったのだがな。


「・・・きっと治るよ」


俺の言葉に、みんなは、頷いた。何の根拠も、無いのだがな。


ーーーーーー


次の日の朝、律は学校に来た。風邪が治るの早いのな。


「律ちゃん。この前はごめんね」

「何言ってんだよー。唯。許すってー。唯って怒ると男口調になるって知らなかったなー。あははは」


「くすっ。唯ちゃん、格好良かったわよね〜。りっちゃん」


律と紬は俺を見て笑い、そんな2人を見て俺も笑う。


「え、えへへ〜。お恥ずかしい限りで〜」


ーーーーーーーー


放課後、俺達は音楽室にて、雑談をしていた。


すると、大慌てで和がやって来て

「ち、ちょっと!学園祭の講堂使用届が、まだ来ていないんだけど!」


「「「「あ!」」」」


ーーーーーーーー


和と共に、生徒会室に入り、先輩らしき人物に遅れの申し出を頼む。


「お願いします!どうか今日まで!部長が風邪を引いたみたいで、遅れたんです!」


「で、でも。規則だし・・・」


和の申し出に先輩はぐずっている。俺も頼もう。


「私からも、お願いします!先輩!どうかこの通りです!」


腰を90度に曲げ、頭を深々と下げる。みんなは、そんな俺を見て


「「「「お願いします!」」」」


俺の真似をする。


「わ、分かったわ。何とかしてあげるから。ね?みんな、頭を上げて?」


先輩への説得が成功し、みんなは笑顔になった。良かったな。これで学園祭でのライブが出来るのだからな。

ーーーーーーー


学園祭まで後、数週間と迫っていた頃、俺達軽音楽部は音楽室にて、


「ーーで、この公式を使えばいいんだよ」


「あー。そっか。そういう解き方もあるんだ」


教師の無計画による、試験が近いので、俺達は試験勉強をやっている。


「あのー・・・試験期間内は、部室使っては、いけないんじゃないでしょうか」


梓の、困る表情で俺達に問い掛けるが、律は


「大丈夫だって!部活やったらダメなんだろ?やらなきゃいいって事でいいじゃん!」


「澪先輩〜・・・」


「はぁ、ま、いいだろ?ここが落ち着いて勉強できるし、憂ちゃんみたいに分からない所があったら、みんなで協力できるしな」


「た、確かにそうですね。私も家や学校では、少し落ち着かないかもしれません」


梓は、渋々納得し、ため息。


「おー!唯の教え方が上手いぞー。澪ー」


「え!?そうなのか!?」


俺は憂に勉強を教えているのだが、たまに律も『へー。そういう考え方でいいんだ』と言ってくる。これ、高一の問題だぞ。


「ゆ、唯ちゃん。分からない所があるんだけど・・・」


紬は、どこか嬉しそうな表情をするのだが、別にいいか。


「ん?どれ?ムギちゃん」


「え、え、えっとね。ここの問題のーー」


「あぁ、コレね。これはねーー」


紬は俺の答えに『ふ、ふむふむ』とリアクションをとる。


「な、なるほど〜。えへへ〜」


紬は両手を頬に当て、くねくねと動く。だからお前は可愛いのな。俺は気になり


「ど、どうしたの?ムギちゃん?」

「私ね。人に勉強を教えて貰うのが、夢だったの〜」


その夢が達成して良かったな、と紬に呆れる。


「な?言っただろ澪?唯の教え方が分かりやすいんだってー。今、さっきムギが分からなかった事、私も分からなかったんだー。にひひー。儲け儲け」


律も、負けじと俺に質問するのだが、スラスラと俺が丁寧に教えて律は『そっかー』と言ってくれる。勉強を教えるのは、すごく楽しいしな。


「わ、私も!分からない所があるんです!唯先輩!」


「ほぇ?」


自分でも分かるようなアホな声を出した。梓は、『こ、ここなんですが』と問題を指を差し、俺は分かりやすく、丁寧に説明し


「な、なるほどです!スッキリしました!」


梓は、弾ける笑顔で俺を見る。褒められると俺は、


「い、いやー。でへへへ〜」


照れくさそうに頭を掻いて、顔がニヤニヤする。


「あ、お姉ちゃん。ここの問題が分からないんだけどね。教えてくれない?」


「あ、いいよ〜。」


律は『次は私な!』
紬は『その次、私よ!うふふ〜』梓は『あ、その次、私です!』


はぁ、人気者は辛いな。


で、澪は


「わ、私も唯に聞くー!」


澪は一人になったことにより、淋しさを感じ、涙目になって。俺に頼む。はぁ、ゆっくりさせてくれ。


ーーーーーーーー


試験日が終わり、テストが帰ってきた。


「にひひー。唯のおかけで平均88点だー。いつもよりいいぜー」


「良かったね。律ちゃん」


「私も良かったわ〜。平均91点なの〜」


「良かったね。ムギちゃん」


「私もお姉ちゃんのおかげで、いい点数取れたよ〜」


「良かったね。憂」


「私もです!唯先輩!」


「良かったね。梓ちゃん」


「私も、唯の分かりやすい教え方で、いい点数取れたぞ?ありがとう」


「良かったね。澪ちゃん」


みんなはそれぞれいい点数を取れて、俺も安心した。


「でも、お姉ちゃんって私達に教えているばかりで、勉強出来なかったんでしょ?」


憂の発言により、みんなは『はっ』と気づいて、謝罪するのだが俺は


「いいや、私。全教科満点だったから、気にしなくていいよ。ほらっ」


俺は全ての答案用紙をみんなに見せ、みんなびっくりしていた。和は『またなのね』と薄いリアクションをとった。


「「「すごっ!」」」

「また満点だね〜。お姉ちゃん」

「いやー。でへへへ」


俺はみんなの褒めにより照れる。この前のお詫びだよ。みんな。

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