小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第36話

ある冬の日の放課後。


寒さを防ぐ為、マフラーや手袋、コートを着て、音楽室へと行くが、


ぴゅ〜。とすきま風が吹いてくる為、


「さぶっ!!」


と声が出た。手をスリスリしながらも、音楽室へと行く。重度の依存症だな。おい。


「おぃ〜す」


のほほん、とした声で音楽室に入る。律、澪、紬、憂、梓は


「おー。来たなー。唯」


「早くこっちに来い。唯」


「唯ちゃん。温かい紅茶だよ〜」 


「お姉ちゃん。早くおいでよ〜」

「唯先輩。今日も寒いですね」


揃いも揃って・・・まぁ、俺も人の事を言えないけどな。


ーーーーーー


練習をするのだが、手袋を外したく無いので、そのまま出来るのかと澪に聞くと


「なら、手袋のまま、弾いてみなよ」


と、澪が困った表情で言ってくるので、やってみるが


「お〜。ん?ピックが・・・滑る・・・弦に引っ掛かる・・・」


俺は手袋を外し、長イスの上に置き


「君に失望した!!私はこんな子に育てた覚えは無い!」


「や、育てられないだろ・・・」

律のツッコミ。俺はボケ担当なのだろうか?それよりも、 


「あ、ところで、今度の休み鍋パーティーをしようよ〜」


と、提案する。憂も


「あ、それいいね、お姉ちゃん。みなさん、いかがでしょうか?」

と、憂も提案するが、律は


「あ、ごめん。弟と映画なんだ」

なんと。初耳だ。そんなの。


「私も、ちょっと用事があるの〜」


「私もだ。ごめんな。唯。憂ちゃん」


「私も、家から出られそうにありません。すみません」


紬、澪、梓は用事があるそうだ。むぅ、和を誘っても断れたんだがな。


「あっ、そうなんだ〜。みんな忙しいんだね〜」


ーーーーーーーー


休日。みんなを誘う事に失敗した俺、憂は、デパートにて買い物中である。


「あ、そうだ。新しい鍋料理を開発しようよ〜。憂」


「えっ?新しい鍋料理?」


俺は適当に商品を取り、憂に見せ

「牛乳マシュマロ鍋とか、カレー豆乳鍋とか〜」


「え、ええ〜・・・」


憂は、ひどく困っている。なら、鍋といえば・・・


「じゃ、闇鍋は!?」


「え、ええ〜・・・何が来るか分からないし、怖いし・・・」


憂は、怖い物が好きなのだが、さすがに闇鍋はキツいようだ。


「じゃ、お姉ちゃん。イチゴ牛乳買う?」


「あ〜。いいね〜。あ、みんなに何鍋がいいか、メールをするよ」

「あ、それがいいよ〜」


憂は、ほっとしているが、それを気にせず、軽音楽部のみんなにメールを一斉送信をする。


「えへへ〜。みんな何鍋がいいのかな〜。憂」


「さ〜。どうだろうね〜」


ーーーーーーーー


しばらく経ち、携帯が震える。電話相手は梓のようだ。


「あー。もしもし?梓ちゃん?」


『こんな時に、ふざけたメールを送らないでください!!猫が・・・ぐすっ・・・猫が・・・』


「え、ちょっと、梓ちゃん?」


『とにかく、私の家に来てください!住所はーーーーーー』


「わ、分かったよ。憂行くよ!」

「へ?どこに?」


ーーーーーー


憂を連れて梓の家に着いた。梓は友達から猫を預けられ、その猫が、なんらかの異変があるのだそうだ。


その猫は、何かを、いや『毛玉』を吐いているのだが、梓はそれを知らずにオロオロしている。


「梓ちゃん。これ毛玉だよ?」


「へ?」

ーーーーーーーー


猫の事を知らない梓の為に、猫の事を教えて、梓は


「そ、そうだったんですか。知らなかったです。ですけど、助かりました!唯先輩!憂!」


梓は弾ける笑顔で笑っている。本当に嬉しそうだ。


すると、紬からメールが来て、どうやら紬のバイト先にて全員集合だそうだ。


「あ、ムギちゃんがバイトしてるんだって〜。で、そこに集合だって〜」


「え!?ムギ先輩がバイト!?」


「へ〜。すごいね〜。」


ーーーーーー


紬のバイト先に集まり、雑談をした。澪は、どこかに行って歌詞を考えていたらしいのだが、


「あんまり歌詞考えられなかった。環境を変えてまで、考えたのに・・・」


澪は、しょんぼりとしていた。紬も、バイトを終え俺達はさらに雑談で盛り上がり、休日を過ごしていた。

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