小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第38話

大晦日。ライブハウスでライブをする日になった。憂と共に家の戸締まりをしっかりと確認し、集合場所へと、歩を進める。


で、着いてから、律、澪、紬、梓も集まっていた。ライブハウスの重いドアを俺が開けると澪は


「ゆ、唯って根性あるんだ。私は緊張しているんだけど・・・」


何の事やらさっぱりだが、受付に行き、


「すみません。『放課後ティータイム』ですが」


「ああ。あなた達ね。『ラブ・クライシス』の誘いのバンドね。じゃあ、メンバーの確認ね」


事前に登録していたという、メンバー表を受付は見ながら、


「ボーカル&ギター担当、平沢唯」


「はい!!」


「ベース担当、秋山澪」


「は、はい!」


「ギター担当、平沢憂、中野梓」

「「はい!」」


「ドラム担当、田井中律」


「はい!」


「キーボード担当、琴吹紬」


「はい!」


「うん。揃っているね。」



受付の今日のスケジュールを律は聞いていたが・・・


「出演者は13時入り、15時からミーティング、客入れが16時、開演は17時ね」


「は、ハイぃ!」


律がテンパっている。その調子だと何も聞こえていないだろうな。俺は携帯でメモを。他の連中はライブハウスに興味があるのか、きゃっきゃっと興奮しているため、話は聞いていないだろうな。





「後、持ち込み機材だけど、基本何を持ってくるかの事前申告が必要だから注意してね」


「は、ハイぃ!」


はぁ、やれやれ。


ーーーーーー


「なぁ、律。私達は何時に入ればいいんだ?」


「え、えーと。13時だったような〜」


やはり、聞いていないか。俺は、携帯を開き


「出演者は13時入り、15時からミーティング、客入れが16時、開演は17時だよ!律ちゃん!」


「え?唯?何でメモしてたのか?」

「だって、律ちゃんは聞いてなさそうだったしみんな、はしゃいで聞いていないからだよ。澪ちゃん」


「「「「うっ・・・」」」」


他のスタッフと楽屋へと向かい、目の前に大きな鉄の扉が、『どーん』と待ち構えている。が、俺はドアを開く。


「ども〜。『放課後ティータイム』で〜す。」


その楽屋に人がいる。カジュアルな服装の人達やゴスロリの服装の人達や怖いメイクした人達など、様々である。それで澪は怖くなったのか『お疲れ様でした』と逃げるので、『ガッ』と肩を掴む。


「ゆ、唯。離せよー!」




じたばたする澪を見たのか、その人達は俺達に挨拶をしてくれたので、澪は優しい人達なんだな、と納得し、楽屋に入る。すると、オレンジ色の服を着ていた若い女達が俺達の所に来て、


「久しぶり。りっちゃん。澪ちゃん」


「あ、この人が私達をライブハウスに招待してくれた、『ラブ・クライシス』のマキちゃん」


「「「どうも」」」


ーーーーーー


で、楽屋にて、各バンドの曲目や曲順、リハの時間、出番等々・・・の情報があり、紬は


「私達は二番目だって〜。」


のほほん、とした声でみんなは『なるほど』と意思表示。スタッフからバックステージパスを貰い、腕に貼る。


そして、セッティングシートを貰い、それを書く際、澪は『ピンクの照明を』、律は『自分にピンスポを』、梓は『みんなに当ててもらいましょう』、紬は『私のキーボードにも〜』と、賑やかにミーティングをした。律は


「ん?ここの書き方なんだ?」


と、初めての経験なので首を傾げる。俺は『ちょっと待ってて』と言い、適当なバンドメンバーに近づいて、教えて貰う。


「あ、律ちゃん。ここはーーー」

「あ、そうか。ん?ここは何だろう。」


律が首を傾げ、また俺は教えて貰うが、出来たから見本に、と渡された。うん、いい人だ。だが、澪達は、頭を下げて『すみません!』と連呼。そのバンドメンバーに手を振り、そっちも笑顔で振り返した。


ーーーーーー

「はー!緊張する!」


「お茶とお菓子持ってきたよ〜」

「「わ〜い」」


「ムギ!唯!憂ちゃんは落ち着きすぎだ!」


澪は的確にツッコむ。他のバンドメンバーが入ってきて、『いい香り』と言ってきたので、その人達とお茶しながら雑談をしていた。

「私達はプロになりたいんだ」


「だから今日頑張って、将来に繋げたいんだ。」


俺達よりもずっと先の事を考えているのだな。と思っていたらスタッフが『次、放課後ティータイムのリハですよ!』という発言により、舞台に立つ。


「で、では、四曲目の『ふわふわタイム』ワンコーラスで」


律は、スティックをカッカッと鳴らすが、カウントの声が無い為、俺は焦り、マイクに鼻をぶつけた。


「痛っ」


「お姉ちゃん!」「唯ちゃん!」


俺を心配したみんなは、あたふたし、演奏が出来ない状況になった。だが、他のバンドメンバー達に『大丈夫、もう一回、落ち着いて』と励まされ、もう一度演奏をする。


〜〜〜〜♪♪♪♪
上手く、ぴったりと、演奏が出来た。後は本番だ。


ーーーーーー

〜〜〜♪♪♪♪

本番も、上手く演奏が出来た。俺達は本番に強いのだ。


こうして、俺達は、初のライブハウスでのライブを大成功にした。本当にお疲れさん。

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