第40話
年が明けた。そして、律の突然の『初詣しようぜ!』ということで、近所の神社にて、初詣をするのだが、梓はどうしても外せない用事があるそうで、変わりに自分の分も、やってほしい。だそうだ。
俺、憂、律、澪、紬、は近所の神社に着いたのだが、山中先生がいた。おみくじを引いているらしいのだが・・・
「・・・さわ子先生は、なんか必死に祈っているんだけど・・・どうしたのかな?」
手を叩きながら、おみくじをやっている。引いたくじが悪いのか、もう一度引く。そして、がっかりして、近くにいたカップルを悔しそうに睨み、泣きながらどこかへと逃げる。
「・・・山中先生、ファイト・・・」
俺は、そうつぶやいた。
「おーい!おみくじ引いてきたぜ!」
律は、笑顔で人数分おみくじを引いたそうだ。
「おい律!おみくじは自分で引くものだろ!」
澪はツッコミを入れる。でも、手間が省けたな。澪、紬、憂、俺、律の順番で引く。
「私はコレな。」
「私はコレに決めた〜」
「じゃ、私はコレで〜」
「神よっっ!私を祝福しろっっ!」「最後に残ったのは、私な。って唯。何言ってんだ?」
おみくじを開く。澪、紬、憂、俺は『大吉』だった。だが、律は
「・・・凶」
というオチに俺達は大笑いした。
ゾクッ!!
誰かに見られている気配を感じ、振り返った。
だが人、人、人の為、誰が見ているというのが分からない。気のせいだろうか。
「どうしたの?お姉ちゃん?」
「あっ。何でも無いよ〜憂」
気のせいだろう。ふむ、自意識過剰なだけだろうな。
ーーーーーー
時は流れ、2月のある日。
どうも、誰かが俺を見ている。
誰かが俺の後を、尾行している感じがする。何故だろうか?
走ったり、撒こうとしようとしても、しつこく『見てくる』。この視線は何だろうか?律や紬に相談しても、『気のせいでは?』と言っているのだが、絶対に俺を見ている。そういえば今日、和に『生徒会に入っている』という情報を思い出す。和が言うには、1年から生徒会に入ったのだそうだ。
で、生徒会室に行き、ドアを叩く。
コンコン
『どうぞ』
ガチャ、とドアを開き、和に相談をする。
「あ、あのね。和ちゃん。相談があるんだけど・・・いい?」
「いいわよ。珍しいわね。唯が相談事なんて」
「えへへ。でね、冬休みが終わった頃から最近、誰かに見られているんだよ・・・」
俺は、しょんぼりとする。そんな俺を見兼ねた和は
「・・・そう。気のせいって事は無いのね?で、具体的にどんな時から見られているって感じがしたの?」
「え、えと。そうだ!初詣からだ。嫌な視線を感じ始めた日」
「・・・うーん。難しい問題だわ」
和は、メガネをクイッとさせるが、情報が足りないらしい。
「でね。私考えたんだけど、犯人は、この学校の誰かって思うんだ」
「え?どうして?」
和は、首を傾げる。
「だって、初詣と学校でしか感じないもん。という事は、この学校の関係者しかあり得ないもん」
「ストーカーか・・・」
和は、うーんと唸っている。俺の為に、頑張ってくれている事がどれほど嬉しいものだろうか。
すると、コンコンとドアが叩かれる。
「どうぞ」
ガチャ
「しつれ・・・!します」
俺は、今の反応を見逃さなかった。こいつは『何か』を知っている。俺はその『何か』を探る為、こいつの細かい行動は、常に見る。さぁ、どんな事が出るのかね。