第44話
新歓ライブに向けて練習し、当日になった。本番まで後少しだ。
「もう本番だ・・・今回の新歓ライブは去年と比べられない程、失敗は許されないよ・・・」
「唯・・・そうだな。憂ちゃんと梓だけになるからな・・・軽音楽部・・・」
澪は、困った表情をして俯いている。律も、紬も、憂も、梓も、俯いている。
「だから、来年の軽音楽部の為にも、頑張らなきゃ。それが、唯一私達がやれる事だよ」
「そうだな!唯!」
みんなは、それを聞いて元気になった。梓は、携帯を開き
「ぁ、もうすぐ本番ですよ!」
本番が来た。来年以降の軽音楽部の為にも、俺達は動きだす。
「みんな!練習の成果を見せる時だよ!それが、私達が頑張ってきた証だよ!」
『おお!!』
『最後』の新歓ライブが始まる。
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「『こんにちわ。軽音楽部です。入学生のみなさん。御入学おめでとうございます』」
講堂に入学生がずらっ、と並んでいる。澪は、そわそわしているが、気にしない。
「『私達は『放課後ティータイム』というバンド名で一生懸命頑張ってきました』」
入学生達を見渡す。目が輝き、演奏を今か今かと待っているようだ。
「『怒ったり、泣いたり、笑ったり、たくさんの感情が出てきて、とても楽しい軽音楽部です。興味があったら、ぜひ音楽室へ遊びに来てください。いつでも歓迎します!』」
パチパチパチパチ!拍手喝采だ。
「『では、最初の曲『わたしの恋はホッチキス』!』」
律は、スティックを鳴らしカウントをとる。
「ワン・ツー・スリー!」
〜〜♪♪♪♪♪
律のドラム、紬のキーボード、澪のベース、俺、憂、梓のギターが講堂に鳴り響く。俺達の『音』が、重なり見事な演奏を作り出す。
〜〜♪♪♪♪♪
ワァーっ!
パチパチパチパチ!
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新歓ライブが終わり、音楽室にて入部希望者を待つこと一時間は経った。
「・・・誰も来ないですね」
梓はポツリとつぶやく。何故だろうか?ライブは大成功だったはずだ。いや、まさかその『ライブ』そのものか?
「・・・ひょっとして私達の演奏の所為かも・・・」
『え!?』
俺のつぶやきに、みんなが反応する。俺の言葉に、疑問を持った澪は、
「え・・・私達どっか間違えてたのか?唯」
いいや、間違っていない。むしろ、『完璧』なのだ。
「ううん。私達は、誰も間違えていないよ。私達は、『結成』していたから、外から入りにくい、と思われるんだ・・・自分は、あの部に入って足を引っ張らないのか、て不安がると思う・・・」
「それを言われたら、私達はお手上げだぞ!唯!」
澪は怒鳴るが、何も解決法がない。どうする事も出来ない。
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梓がお手洗いに行き、俺、憂、律、澪、紬は、どよーんと重い空気を・・・よし、この状況を打破しよう。
「私、今年は六人でバンドやりたい!」
『え!?』
みんなの反応は当たり前だ。来年以降まで、このままだと廃部になりかねない。
「私は・・・今は梓ちゃん居ないけど、このメンバーで頑張りたいんだ」
「「唯・・・」」「唯ちゃん・・・」「お姉ちゃん・・・」
「六人で、お菓子食べたり、練習したり、演奏したり・・・これが私達の『軽音楽部』だから!」
「唯・・・そうだな!後、一年あるし、頑張るか!」
ガチャ
梓が帰って来た。だが、どこか嬉しそうな表情をしている。
「くすっ。私、今年まで六人で頑張りたいです!」
さっきの話を聞いていたのだろうか?目をキラキラさせ、もう大丈夫ですから、と言っているかのような、堂々とした顔つきである。
「え?いいの?梓ちゃん」
「うん!私はこのまま六人で演奏したいんだ!憂」
それを聞き、全員ほっ、とするが一年以内で、そんなに人が来るのだろうか?すると梓は俺に近づき、なんだろうと思った矢先。
「唯先輩。ギター出してください。憂も」
「「え?」」
「いつもより頑張って貰うだけですから。」
俺と憂は、梓のスパルタによるギター教室を行っていた。
「ぅ・・・ひどいよ・・・」
「何言っているんですか?唯先輩。まだまだですよ。憂もだよ」
「梓ちゃ〜ん・・・疲れたよ〜」
「くすっ。頑張って。憂」
弾ける笑顔で、俺、憂をいじめていた・・・やれやれ。