小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第46話

律、澪、紬、憂と共にホームセンターに行き、ある物を購入しようとしていた。梓には内緒で。


「なぁ、唯。本当にコレでいいのか?」


「うん。私にはちゃんとした理由があるから、コレを買いたいんだ」


「お姉ちゃん、その理由って?」


理由については、梓に見せてからという事で、みんなは納得した。


ーーーーーーーーーー


放課後。音楽室にて、俺、律、澪、紬、憂は、ある準備をする為、部屋の片隅を徹底的に掃除し、ホームセンターにて、購入した物を・・・亀、『スッポンモドキ』を水槽に入れ、梓を待つこと数分後。


「こんにちは・・・って、え!?」

梓は驚きの表情を見せる。それはそうだろう。昨日まで無かった物がいきなり現れたのだ。


「紹介しましょう。新入部員の『トンちゃん』です!」


「・・・へぇー・・・」


「あれ?唯。梓の反応が薄いぞ!」

律の言う事はごもっともである。『スッポンモドキ』が新入部員なんて笑えない冗談だ。


「ごめんね。梓ちゃん。後輩欲しいかなって思って・・・せめて、この『トンちゃん』を梓ちゃんの後輩として可愛がってくれたらなって思って・・・」


俺は、しゅんと俯いた。だが、梓は、ふっと笑い。


「ふふ。早とちりで飼われたら迷惑だよね」


水槽を見て、話すと


「あっ。頷いた!」


「か、可愛い♪」


亀らしからぬファンサービスで、頷いた。紬、憂は惚けていた。
大絶賛の好評で軽音楽部に新入部員、人では無いが、一匹入部させることに成功させた。


ーーーーーー


「わぁ♪可愛い♪」


「本当だね♪あれ?澪ちゃん怖いの?」


「え、あの・・・可愛いという境地にはまだ・・・」


「唯先輩。唯先輩が飼ったんだから、ちゃんとお世話しましょうね!」


「は、はいっ!」


俺達はいまだに、亀を見て惚けている。練習しろよ。律はノートパソコンで俺達のライブ映像を見ているが、なんだか、イラついて見ている。すると、律からとんでもない発言を耳にする。

「ドラム嫌だー!やりたくなーい!」


なんというワガママだろうか。ドラムがいなければ俺達の演奏に響くじゃないか。


「え?それは何故ですか?律さん」

「よくぞ聞いた憂ちゃん!涙ちょうだいの私の武勇伝をーっ!」


「普通に言えっ!」


ガツンと澪の拳骨により、律はボケるのをやめた。律は涙目で『コレを見ろ』と言う。俺達は律の周りに集まり、ノートパソコンの画面を見る。


「ぁ、これ今年の新歓ライブの映像だね。」


紬の言う通り、ライブの映像だ。これが何だというのだろうか。


「ドラムの・・・いや、私の部分を見てみろ」


律は、後ろ側でドラムを叩いていた。後ろ辺りの律の映像を見ると


「・・・暗いね」


暗くて律の表情は見えない程だ。だが、


「でも、おでこが輝いているわ♪りっちゃんらしいわ♪」


「こらっ!ムギ!どういう意味だ!」


律と紬が戯(たわむ)れているのを気にせず。律が言う事は分かる。つまりこういう事だろうか?


「律ちゃん。ドラムは暗いから嫌なの?」


「その通りなのだよ!ワトソン君!」


俺はいつからホームズになったのだろうか。そんな事はどうでもいい。律は、『他の楽器やりたい』と言うので、仕方なく俺、憂、梓のギターや紬のキーボードを触らせる。が、ものの数分で飽きてしまった。すげぇ飽き性なのな。


ーーーーーー


次の日の放課後。俺は掃除当番で少し遅れながらも、なんとか音楽室に着く。真面目だな俺、と自分に呆れる。すると、律は弾ける笑顔で


「なぁなぁ!練習しようぜ!私、ドラムが無性に叩きたくなってさー!」


昨日だだっ子の律はどこに吹き飛んだか知らないが、練習がしたくてか、そわそわしている。
それに応えるように、練習をした。


ーー♪♪♪♪♪♪


ーーーーーーーー


「はーっ!やっぱドラムだわ!」


「私も、律のドラムが一番落ち着くよ。律」


「い、いやー。澪。褒めんなってー。にひひー。」
軽音楽部の結束がまとまった気がする。紬、憂、梓もそれを感じてか、笑顔だった。また一つ成長したんだと俺は思いたいーーーー。

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