小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第49話

俺達は清水寺までバスで向かい、近くに着いて歩く距離が約一キロメートル程だろうか?そこまでして清水寺を見なければならないのか。不思議でたまらん。


歩きにくい石畳を踏みしめて、途中で土産屋や飲食店の店が見え、律は『ちょっと休もうぜ』と言うので、従う。


「はぁー・・・疲れたなー・・・」


「少ししか歩いていないだろ?」

そう、俺達はまだ歩いて数分しか経っていない。体力が無いな。俺も疲れたけど。


「ぁ、美味しそうなお菓子があるわ〜」


「えっ!?どこだムギ!」


紬のいらない発言により、律は興奮して周りを見渡す。飲食店で試食が出来るので、律は食べ比べをしていた。
行儀が悪いぞ。


「お、これうまっ。澪、食べてみろよ」


「え、ちょ・・・少しだけだぞ・・・」


澪は照れながらも試食をするのだが、紬も試食をしている。食べ終わったのか、ようやく歩を進める。五分くらい経ったぞ。


歩くこと数分後。澪は石畳に躓(つまず)いてコケかける。


「きやっ!」


俺は咄嗟(とっさ)に澪に抱きついて、助ける。


「大丈夫かい?澪ちゃん」


「ぁ、ありがとう唯。って一年の学園祭の時もこうやって助けてもらったな・・・」


それは懐かしい話だな。紬はそんな俺達を見て『ぽ〜・・・』と自分の世界にトリップする。一体どうしたのだろうか。


「む、ムギちゃん?」

俺は紬の頬をツンツンして、紬は『はっ!』と気がつき。無邪気に笑顔で


「うふふ。唯ちゃんと澪ちゃんのお陰でいいものを見せてもらったわ〜♪」


両手を頬に当てくねくねと動く。久しぶりに見たな紬の照れ方。


そして、清水寺に到着。境内に入るが、人、人、人である。なんとか怯(ひる)まずに清水寺の舞台へと進む。


「いくぞ。せーので見るぞ」


律は同時に見ようと提案。俺達は頷いて、清水寺の舞台の下を見る。


「わっ!高いなー!」


「ひぃ・・・なんだか怖いな・・・」


「引き込まれそうだわ〜♪」


舞台の下を覗くと俺は足が震えた。少しばかり怖いな。
舞台の下の景色を見終わり、近くにあった縁結びの神社があった。何となく嫌な予感がするのだが。

「みんなーっ!おみくじしようぜー!」


律の溌剌(はつらつ)とした声で、仕方なく付き合う事に。
俺、澪、紬は『大吉』だったが。律は


「・・・大凶・・・」


という予想を超えたオチで俺達は爆笑だ。


ーーーーーーーー


次の目的地である北野天満宮へと向かい、到着した。


「なぁ澪。ここって有名なのか?」


「うん。だけどよく知らないんだよなー・・・」


澪、律のやりとりを気にせず、北野天満宮を見ていた。すると、和達の班が見えた。


「ぁ、和ちゃん」


「あら唯。やっと合流できたわね」

和達が俺達の近くに集まった。
合流できて良かったね、ときゃっきゃっとはしゃいでいた。


「なぁ、ここの神社って有名なのか?」


俺に質問しているだろうと思い、俺は答える。


「この神社は私達にとって、うってつけなんだよ。律ちゃん」


「ぇ、どういうことだ?唯」


律は和に質問したつもりだったらしいので、少し焦って俺を見る。

「この神様は学問の御利益で知られていて、福岡の太宰府天満宮みたいに受験生には有名な神様が奉られているんだよ」


「へぇー・・・」


「唯知っていたんだ・・・」 


律、和は俺を見て驚きの表情をする。そして、境内を歩くこと数分。


「ぁ、牛がいっぱいいるぞ!」


あちらこちらに牛の石像がある。律は興味があるのか説明を欲していた。


「この御宮にあちこちにある牛の石像の頭を撫でると頭が良くなるらしいよ」


「え!?マジで!?じゃ牛の頭をいっぱい撫でれば効果は倍増か!?」


律の目は輝いている。自分の頭脳の自信が無いのか、と呆れる。


「うん。でもね。「よっしゃーっ!いっぱい撫でてくる!」やりすぎないようにって言いたかったのにな・・・」


律は牛の石像を頭だけではなく、身体もベタベタと撫でる。


「唯・・・止めてあげなよ・・・知ってるでしよ?撫で過ぎるとバチが当たるって・・・」




「うん・・・でも、律ちゃんは幸せそうに撫でているから、なんだかちょっと・・・」


「撫でてあげるからー・・・どうか頭をー・・・」


「「はぁ・・・」」

律の必死の行動に俺、和はため息を吐いた。やれやれだよな。


ーーーーーー

しばらく歩き、本殿に着いた。律の『絵馬で願い事しようぜ』という提案に乗り、売場の巫女から絵馬を買い、それぞれの願い事を書く。


「なぁムギ。何て書いた?私は志望校合格って書いたけど・・・」

「私も澪ちゃんと同じで、志望校受かりますようにって。唯ちゃんは?」


澪、紬は願い事を書いたようだ。大学へと進学するのだろうか。俺も志望校合格と書いた。
律はというと・・・


「私はツインペダルとフロアタムが手に入りますようにって書いたぜ!」

学問関係無い事を書いていた。すると、もう一枚絵馬を持ってきた。何でも、軽音楽部に関する願い事を書きたいだそうだ。その願いはもちろんーーーー

武道館進出!
平沢唯、田井中律、秋山澪、琴吹紬、中野梓、平沢憂
by 放課後ティータイム

梓、憂の名前は俺達が勝手に書いたものだが、叶えてくれよ?神様。

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