小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第50話


side 平沢 憂

純ちゃんと梓ちゃんが私の家に泊まりに行くということで、学校が終わって家に帰って夕食を作る事にしました!

「うーん・・・こんなものかな?」

今、私が作った料理を皿に盛り付けてリビングの机に並べ、三人が食べる為少し多めの量にしてみました!


すると・・・


ピンポーン、とお客さんが来た事を知らせてくれるインターホンが鳴り、玄関へいそいそと向かい。

「あ、純ちゃん。いらっしゃい」


「お邪魔しまーす。あ、これつまらないものですが、どうぞお納めください」

純ちゃんはオレンジ色に所々星のマークが付いていた袋を渡した。って、何これ?


「スーパーオールスターバックだよ。中身はドーナッツ」

純ちゃんが持ってきた物を大切にもらい受け、リビングへと案内すると・・・


「うわー・・・すごっ」

「足りなかったらピザとちらし寿司があるから」

「いいや!十分だって!」


純ちゃんとそんなやりとりをしていたら、またインターホンが鳴ったので、玄関へといそいそ急いで駆けつけると

「憂、来たよ」

梓ちゃんも何かを手に持ってきたけど、とうやら食べ物みたい。
そこまで気を使わなくてもいいのにね。


「お母さんがこれ持って行けって」


「そうなんだ」

「ちなみに梓。それ何?」


純ちゃんは梓ちゃんが持ってきたのに興味津々で梓ちゃんは苦笑いを浮かべながら『お寿司だよ?』と言い純ちゃんは・・・


「くぅーっ!負けたっ!」

何に負けたのか分からなかったけど、梓ちゃんもリビングへ案内し楽しくご飯を食べてお風呂も入ったりと楽しい時間を過ごして、夜。

「くぅー・・・くぅー・・・」


「わ・・・寝付きいいね」


純ちゃんは私のベットに入って寝ていたので、私と梓ちゃんは床にお布団を敷いて寝る事にしました。

「はぁ・・・今頃、先輩達は楽しんでいるのかな・・・」


梓ちゃんは弱々しく言葉を発してしまった・・・
うーん・・・ そうだっ!


「ねぇ、明日どこかに行こっか?行きたい場所とか無い?」


私はとっさに梓ちゃんを元気付けることに。
すると・・・

「うーん・・・動物園がいいかな?」


「いいね。明日、動物園楽しみだね」

梓ちゃんと明日の約束を交わして眠りにつきましたーーー。


ーーーーーーー

翌日。

「雨だ・・・」

「雨だね・・・」

「あー・・・雨か」

外の天気は大雨。動物園は行けなくなり、どこかしょんぼりしてしまう梓ちゃん。それに純ちゃんも嫌がっていました。その理由を聞くと・・・


「私、癖毛だしさ。特に雨の日は・・・この様に爆発してしまうんだ・・・」


純ちゃんの頭を見るとあっちこっちの髪の毛がハネていたんだ・・・


「はぁ、梓の髪は黒くて綺麗だもんな・・・。」

純ちゃんは梓ちゃんの頭を見て、更にため息を吐いちゃった。私も梓ちゃんの髪は長くていいな、なんて思うよ。

「うーん。日本人形みたいだ、なんて言われた事があったよ」

「ええっ!?ますますいいじゃん!」

ーーーーーーー


そんなこんなで今日どうやって時間を潰すかとリビングで話す事にしました。

「ねぇ、純。何がしたいか無いの?やっぱどっかに遊ぶとか」

「ん」

「ゲームとかでもいいよ」

「ん・・・あ、これの6巻無いの?」

「純・・・それ友達ん家でそれやってると友達なくすと思うよ・・・」

純ちゃんは私の部屋から持ってきた漫画を読み終えてその続きが気になるって次の話を読みたいと言うけど・・・どこだったけな?


「うーん、とりあえずお姉ちゃんの部屋に行こっか。たまに漫画借りるから」

「ええっ!?唯先輩の!?いいの!?」

純ちゃんは目を輝かせて食いついちゃった・・・梓ちゃんは『そんなに嬉しいんだ・・・』とジト目で見ていたの。

階段を上り、お姉ちゃんの部屋に案内して梓ちゃん、純ちゃんを部屋に入れてあげることにしました。

「わー♪ここが唯先輩の部屋かー♪綺麗に片付けているねー。あっ、これが唯先輩のギブソンなんたらかー。やっぱ格好いいなー」


「・・・ギブソン・レスポール・スタンダードだよ。純」

純ちゃんは大興奮してあたりをキョロキョロしてようやく本棚へと足を運び


「えーと・・・ん?唯先輩は少女漫画読まないの?憂の本棚には結構、少女漫画置いてあったけど」

「あのね、お姉ちゃん一度私のオススメで少女漫画を貸したんだよ。でもね、お姉ちゃんは『・・・ちょっと私には乙女チックすぎます・・・』だってさ」

「や、唯先輩も女の子でしょ・・・でも、以外だなー・・・」

そんな話をしていくと・・・


「あっ・・・行きたい場所出来たかも・・・」

純ちゃんは外に行くから傘も用意してと頼んでいたので私達は純ちゃんについて行く事にしました。

ーーーーーーー

カキーン。  カキーン。

ここはバッティングセンター。純ちゃんが言うには今まで読んでいた漫画の内容が野球だったので急にやりたくなったらしいです。

「ふんっ!・・・やっぱ、難しいな・・・ 梓ー、私あっちのクレーンゲームに行くから」

「諦めるの早っ!!」

純ちゃんはどうやらバッティングセンターが飽きちゃったからといって可愛い人形があるクレーンゲームへと足を運んじゃった。


ふ、ととなりの親子連れの子供が打てないから親が子供の為に

「いいか、ボールをよく見る。で、手前に壁を意識してボールを引きつけて打つ!分かったか?」
と分かりやすく説明しているのをたまたま見ていたのでその通りにしてみることにしたの!

びゅっ、とボールが来るのをじっと見て・・・

しゅるるる。手前に壁を意識して・・・ボールを引きつけて・・・打つっ!

カキーン!とボールは弧を描いてホームランと書かれていた的に直撃・・・え?


「あ、当たった・・・当たったよー!梓ちゃーん、っていない」

当たった事を梓ちゃんに報告したかったけどいつの間にか梓ちゃんも一度出たらしいので外に出ると・・・

「はい、ホームラン賞ね。」

係員の人が大きな亀の人形を渡し、それを受け取り梓ちゃんや純ちゃんを捜すと

「おーい、こっちこっち。本当に飲み込みがいいなー、憂」

「本当・・・。唯先輩にそっくり」

「ほぇ?」

純ちゃん、梓ちゃんはジト目で見てくるけど、私何かすごいことでもしていたのかな?

「それよりも、亀大きいね。トンちゃんの十倍はある・・・あっ、あーーっ!!」

「「え!!何!?」」

梓ちゃんは突然大声を出してしまった。梓ちゃんが言うにはトンちゃんの餌をすっかり忘れていたということ。かくして私達は学校へ急ぎ、音楽室の鍵を借りて部室へと着いてトンちゃんに餌をあげてほっと胸をなで下ろす梓ちゃん。


「ごめんね。今まで忘れていて・・・唯先輩にも頼まれていたのに」


トンちゃんの餌をあげ終える頃には雨はすっかり止んで空は美しい夕焼け空に染まっていたの。

「よし、お姉ちゃんにメールだ。ほら、もうちょっと寄って」

私達は夕焼け空をバックに写真を撮りお姉ちゃんにメールを送りました。えへへっ、いいでしょ?お姉ちゃんーーー。

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