第65話
side 平沢 唯
俺の名前は平沢唯。ただの女子高生さ。という事でまたも、図書館で勉強という事で律、澪、紬と共に受験勉強会を開催するのだ。
紬は今日夏祭りなので、一日早く帰ったそうだ。で、どうだったよ?フィンランドってやつはよ?
「うふふ♪楽しかったわ♪」
弾ける笑顔で言ってくるので、それはそれは楽しい旅行だっただろうな。
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雑談を交わしながらも、受験勉強に力を入れる事、夕方。
律の『この辺でお開きってことで』という提案により、図書館を出たのだが、憂、復活した黒梓、え−と・・・ぁ、モジャモジャの団子の髪の純だ。に出会った。
「おー・・・梓ちゃん。また焼けたね・・・」
「はい・・・この通りですよ・・・あはは・・・」
梓は笑っていたが、目が笑っていない。
「よーし。そんじゃ、夏祭り行くぞー!」
『おーっ!』
「お、おー・・・」
む、梓は何やら俺達が遊んでもいいのか?という顔をしているが、とんでもない。息抜きだよ。
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夏祭りの会場へと着いて、紬は早速『焼きそば♪焼きそば♪』と屋台へと、とてとてと走っていく。どんだけ焼きそば好きなんだよ。あ、焼きそばといえばマヨネーズ合うんだよな・・・
閑話休題。憂は金魚すくいに目に行き、金魚すくいをやるのだが、亀の為に友達を増やしたいという本当に心優しい理由でやるのだが
「え?トンちゃんと一緒の水槽に入れるのはまずいじゃないのか?トンちゃんが餌と間違えてバリバリッ、グシャッ、ドバーっと!」
「ひいっ!やめろ!律!」
俺も若干引いた。想像力は凄いんだが、生命を無駄にするような事を言うのは些か、む、とする。
で、かき氷を食べ、もうすぐ花火が始まるので、律、澪、紬と共に走り穴場へと向かうのだが憂、梓とはぐれてしまったが・・・
まぁ、その内合流出来るだろう。
ヒュ〜・・・・ドンッ!
夜空に一輪の花が咲いた。俺達は見惚れて、『わぁ・・・』と呟く。
ヒュ〜・・・ドドン!
「綺麗だな・・・」
「そうだな・・・」
「うん♪」
律、澪、紬は花火を見てそれぞれ感想を言う。夏の風物詩である夜空の花は何時迄(いつまで)も美しく、儚(はかな)く、咲いていたのであった。
ヒュ〜・・・ドドドドドンッ!
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楽しい夏祭りが終わってまだまだクソ暑いある日の事。
和と共に我が家のリビングにて、勉強中であったのだが、暑さでのストレスで勉強に集中出来ない。
「はぁ・・・暑い・・・」
「くすっ。頑張ってよ。唯」
ま、頑張るけどな。
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律、紬を我が家に呼び一緒に飯を食べようということで、茶碗一杯、ご飯をよそう。
「私の眉毛、たくあんなの〜」
何と、それは便利だな。では、早速。
「あー!唯!一人だけずるいぞー。私も、私も」
律と仲良く紬のたくあんを食べる。こ、この味はっ!
『ウマイ!』
何という旨(うま)さだろう。たくあんがこんなに美味しいとは。
「私ね。一度に両方の眉毛のたくあんを食べられると、ゲル状になってしまうの〜♪」
紬はどんどんゲル状になっていく。紬が言うには、変わりのたくあんを付けないと、元に戻らないという。全く訳の分からない体質の所為(せい)で、てんやわんやである、
「か、変わりにコレをっ」
律は分度器を紬の眉毛の変わりとして付けてみると、元の姿に戻った。
「お〜。ムギちゃん。戻った〜」
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「はっ!!なんでそうなるの!?」
「何がよ・・・」
俺はいつの間にか寝てしまったようだ。俺の肩に毛布が掛けられていて、和が言うには、風邪を引くからという心優しい理由だ。
さて、勉強を続けますか。
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Side 琴吹 紬
夏祭りが終わって、まだまだ暑いある日の事。
明日から夏期講習が始まるから、商店街で買い物を済ませようとしていたの。
本当は、遊びたかったけど唯ちゃんや澪ちゃんは勉強しているからちょっと無理だ、て言っていたから、私は落ち込んじゃったけど仕方ないよね?受験生だもの。
頼まれていた買い物をする為、商店街に向かう途中、りっちゃんを見つけたの。よし!りっちゃんを驚かせちゃえ!
そろりそろりとりっちゃんの後ろに近づいて、大きな声で『わっ』と言ったら、りっちゃん驚いたんだ♪うふふ。大成功♪
「なぁ、ムギ。暇ならさ、どっかに行かない?」
え!?いいの!?私は目を輝かせて、何処に行くか、私の為に考えていて、閃いたのか、『ぽん』と両方を叩くんだ。
「じゃ、ムギが普段行かなそうな、場所。そだな、ゲーセンは?」
「ゲーセン・・・」
「え?興味無かった?」
りっちゃんは弱々しく、聞いたけど・・・ううん!行きたい!ゲーセン行ってみたい♪
「よーし。そうかそうか、早速行こうぜ!ムギ!」
「おー♪」
りっちゃんと一緒に駅に向かって、ゲーセンに着いて・・・
「わ〜♪」
目に映る物がいっぱい私の知らない物ばかり!何!?何なの!?シャンデリアみたいにキラキラ光っているの!?
「あれは、コインゲームだな」
じゃ、ハンドルが付いた物は!?
「レースゲームだな」
凄い!ゲーセンって色んな面白そうな物がたくさんあるんだね♪
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りっちゃんが私が欲しいと言ったぬいぐるみをクレーンゲーム?で取ってもらって、プリクラ?という物で写真を撮ったりして、帰り道にと歩く私達。
「わ〜。楽しかった♪」
「まだまだ、私達の冒険は始まったばかりだぜ。て言っても、お金を使ったから、次は駄菓子屋だな」
だ、駄菓子屋・・・
「り、りっちゃん。抱き締めてもよかですか?」
「ムギ!どこの人だよ!」
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「この辺一角は、2〜30円だからね」
駄菓子屋に着いて、りっちゃんは私の為に説明してくるけど、凄いな!この串に刺さった物も!?大きなお煎餅も!?みんなみんな安いの!?
「はっ!コレって価格破壊!?」
「や、違うと思うぞー・・・」
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駄菓子屋でお菓子を食べて、近くのファーストフード店に行ったんだけど・・・本当に楽しかったな♪りっちゃん、お金を使わずに遊ぶ達人だね!
「ふっふっふ〜。もっと褒めるがいいわ」
でも、りっちゃんが言うには、今日の出費は痛い、て言っていたけど、どうしてかな?
「それがさ、澪にお金を借りて貰う時にさー・・・アレも欲しい、コレも欲しい、て言ったらいきなり、スパーンだぜ?ひどいと思わないか?ムギ」
す、スパーン・・・いいな、私も叩いて欲しいな・・・よし、りっちゃんに頼もう!
「り、りっちゃん。あ、あのね。お願いがあるんだけど・・・」
Side 田井中 律
「あのっ。私を叩いて欲しいのっ!」
私は澪を誘って遊びたかったけど、澪の奴勉強をするって言っていたから、途方に暮れてどうしよっか、と迷っていたら、ムギを見つけて、驚かせようとしたら逆に驚かせられて・・・まぁ、なんやかんやでムギとファーストフード店に行った訳だな!
で、ムギが言うには、叩かれた事が無いらしいから、叩いて欲しいと言って私は非常に困っている。
「んじゃ、チョップで・・・」
「どんとこいっ!」
私はそー、とムギの頭を手を置くような、ちょん、と当てる。
「あー。無理!何もしていないのに叩くなんて、出来ない!」
「え?じゃ、何をしたらいいの?」
ムギはどれだけ叩いて欲しいんだろう・・・『んー・・・そうだな。ド派手なボケとかは?』と提案したら、ムギは険しい顔をして『ド派手なボケ・・・』と呟いて、真剣に何かを考えているけど、まさかな・・・
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次の日。夏期講習の為、講習会場に行って制服姿の澪と私服姿の唯を見つけたけど・・・どうして制服なんだ?
「あ、律ちゃん。今日って制服だっけ?」
「いいや。好きな服装でいいって書いてあったから私服でもいいんじゃないか?」
唯に周りの人達が私服姿だという事を確認させて、唯は『あ、だよね』と納得していた。
「澪〜。間違えたんだろ〜。恥ずかしい〜」
「なっ、違う!」
「周りの人が澪を見て『見て見てー。あの人だけ制服だよー。ぷぷぷ』と笑うんだろうなー」
「す、好きな格好でいいって書いてあったんだから制服でいいじゃないか!」
やっぱり澪をいじるのは楽しいなー。もっといじりたくなるよ。
「みんな〜。お待たせ〜」
ムギが来たようだ・・・て何だその格好は!?
紅いワンピースにサンダル。
普段の下ろしている髪型ではなくて、耳より低い位置に両サイドに別けて結んでいて、頭にはハイビスカスの髪飾りという夏期講習には全く向いていない服装なんだけど・・・もしかして、ムギはボケているのか?
「ちょっと、ムギいいか?」
「は、はい!」
早速、澪はムギに何かを伝えようとしているけど、ムギはツッコミを待っているのか、ワクワクしているようだったけど・・・どれだけ叩かれたいんだよ・・・
「タグ付きっぱなしだぞ。
それにこの格好ならソックス履かない方が良くないか?」
「え、あ、ありがとう・・・澪ちゃん・・・」
ツッコミじゃない事に落ち込むムギ。よし、私が身体を張ってムギにボケの極意を教えようではないか!
私達は夏期講習の会場に入って唯、澪は早速参考書を探しに奥へと進んでいるけど唯は・・・
「あ、そういえば、澪ちゃん。親指の白いツメの所をぎゅっ、て押したら脳が活性化して、落ち着いて勉強が出来るよ」
「え!?マジで!?」
まさかの雑学。私もやってみようかな・・・
閑話休題。とりあえず、その辺にあったビン底メガネみたいなのをつけて澪に近づいて・・・
「来年こそは合格するたい!」
「ふざけるなよ。こんな所で」
「澪ちゃーん。私もー」
「お、ムギ。似合っているな」
ムギは普通のメガネを装着。っておい!
私達は窓際で参考書を見ていると・・・唯は太陽の光が眩しくて、問題文が読めなくて困っている所を私が・・・
「唯。細目で見てみろ。うすーく、見えてくるぞ。その答えが」
「ん〜・・・おっ。見える!私にも敵の動きが見える!」
「敵って何だ!そして、動いていないぞ!」
おお・・・唯が珍しくボケている・・・そして澪はツッコミを忘れていない・・・
「じゃ、私も・・・うん。この文章から導き出せる答えは・・・『ア』だね!」
「おー・・・さすがだな。ムギ」
ムギはボケているつもりなんだけど・・・ボケになっていない。本当に中途半端なんだよな。
で、受付で夏期講習の為に作ったカードを掲示するから私の写真を貼らなきゃいけないけど、私の写真は後姿で写っている為、澪は
「もう、ふざけるな」
私の頭を拳骨で叩く、それを見たムギにアイコンタクトして、次はムギの出番だと願いを込めてムギは澪に『私はコレよ〜』と自分の写真を見せる。
ムギの写真はこの前撮ったプリクラの写真で豚鼻のムギになっている。さぁ、ツッコめ!澪!
澪は無言でプリクラのシールを剥がし、本物の写真を見る。ふふふ、それはただのフェイク。二重になっていて、その下の写真を見て、ツッコミの拳骨を入れるがいい!
「ムギ・・・目が半開きだな」
おおい!そっちが中途半端でどうするよ!
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次の日。学校が始まり、放課後。
「ケーキ一つ多くないですか?」
私の提案でケーキを一つ多くさせろとムギに頼んでみる。ムギは『何で?』と言ってたけど、私には考えがあるのだよ。ワトソン君。
「んじゃ、じゃんけんで決めませんか?みなさん」
憂ちゃんの提案は梓の『えー・・私、じゃんけん弱いよ』で却下されたけど、唯は両手をグーにしてその両手を合わせ、両手の親指を立てたり、倒したりしながら『これで決めようよ!いっせーのせで!ぁ、ところでこの遊び何て言うんだろうね?』という提案を私達は承諾して、私は更なる追加ルールを設ける。これが、私の、考えだ!
「んじゃ、負けた奴は勝った奴にデコピンされる、で」
ムギの耳元で『わざと負けろ、そしたら叩かれるだろ?』と囁きムギはやる気が出たのか『わぁ♪』を感心の声を上げる。ふふふ、策士ここに現るだな。
「いくよっ!いっせーの・・・」
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「この手が真っ赤に燃えるっ!お前を倒せと轟(とどろ)き叫ぶっ!くらえっ!ゴッド、フィンガーぁ!」
ぺちっ
「いてっ」
勝負したんだけど・・・私の負けになってしまった。ムギは何故か勝ってしまった・・・何で負けないんだよ・・・ていうか、唯。何だ?無駄に格好良いな。
「わぁ・・・いいな、ムギちゃん二個もケーキがあって・・・イチゴが二つもあるよ・・・」
ムギは咄嗟(とっさ)に澪のイチゴを奪い取って、澪は・・・泣いていた。て、何でだよ!?
いろんな意味で何でだよ!
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「ごめんなさい。私、叩かれたくって・・・」
ムギは頭を下げながら謝っているから、澪はそれを許していた。おい、澪。ムギに甘いぞ。
「変なやつだな。でも、いいよ。ムギ」
「い、良いの?澪ちゃん」
「まぁ、それくらいなら」
「だ、抱き締めてもよかですかい!?」
「良かったですね。ムギさん」
「じゃ・・・いくぞムギ」
「は、はい!お願いします!澪ちゃん!」
「じゃ、じゃあいくぞ」
「どんとこいです」
「な、なんだか緊張しますね・・・」
ガツン、と私に拳骨。なんでだよ!!
「や、やっぱり、ムギは叩けないな・・・」
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ムギと一緒に下校して、今回の成果が無い事に落ち込んでいるムギを見て私はもっと協力しようか、と提案するけど、もういいだってさ。
「りっちゃんって、エスコートが上手だよね」
私のデコにデコピンの跡があるからって、絆創膏を貼りながら私に言う。
「りっちゃんってエスコートがすごく上手なの!
優しいし、人のために一生懸命頑張るし・・・男の子だったらきっとモテモテよ!」
「ど、どういうふうに反応したらいいんだよ!」
ゴツン、とムギに拳骨してしまった・・・まぁ、願望が叶って嬉しそうだったけどな・・・