小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第74話

side 平沢 憂

私はお姉ちゃんにヘアピンを返すからお姉ちゃんがいる三年二組の教室に梓ちゃんと一緒に入るんだけど・・・

「唯ちゃん。おまわりっ!」

「わんわん♪」

「ゆ、唯。私が悪かったから元に戻って!」

お姉ちゃんがツインテールの髪型をして、ムギさんの命令?を聞いてムギさんの周りを楽しそうに回るお姉ちゃん。それを見てお姉ちゃんを止める和さん。
わぁ♪可愛いなお姉ちゃん♪私もやってみたいな♪お手とか!

「・・・唯先輩?いや、夢かな。うんそうだ。夢だ。あはは、私疲れているのかな?」


梓ちゃんは何かぶつぶつ呟いているけど、でも、今のお姉ちゃんが可愛い過ぎてお姉ちゃんしか目がいかない!


「憂、私の頬抓ってくれない?夢から覚めたいから」

「え?でも・・・」

これは夢じゃないよ。と言いたかったけど、梓ちゃんは『早くして、お願い』と必死に頼んでくるから仕方なくちょっと強めで梓ちゃんの頬を抓ってみると・・・

「いたっ・・・夢じゃないね・・・」

梓ちゃんは頬をさすりながらお姉ちゃんをまじまじと見つめていたけど・・・梓ちゃんもお姉ちゃんの可愛さをやっと気づいてくれたかな?だって、あんなに子犬みたいに、はしゃいでいるもん!


「お?憂ー!梓ちゃん!やっほー♪」

お姉ちゃんが私達に気づいて元気いっぱいに手を振るお姉ちゃん。その手を振る行動でツインテールが動き続いているから、お姉ちゃんが本当に子犬みたいで可愛い♪
おっといけない、私はお姉ちゃんにヘアピン返さなきゃ。


「お姉ちゃん、ヘアピン返しに来たよ」

「おー。待っていたよー。憂」

私は役目が終わって梓ちゃんに私達の教室に戻ろうと言って梓ちゃんはずっと驚いた顔をしてまじまじとお姉ちゃんを見つめながら一緒に三年二組の教室を出るの。
えへへ〜やっぱりお姉ちゃんに興味津々なんだね梓ちゃんは。

「ねぇ、梓ちゃん。お姉ちゃん可愛かったよねー」

「え?あ・・・まぁ、唯先輩の珍しい姿には驚いたかな?」

「えへへ〜。だよね〜」


ーーーーーー

side 平沢 唯

とりあえず、ヘアピンが手元にあるので、ツインテールモドキを解き・・・

「ふんすっ!」

律達に俺のヘアピン姿を見せつける。律、澪は『やっぱり唯はヘアピンがいいな』と太鼓判を押す。だが、紬は『もっと遊びたかったなー』としょんぼりと俯いていたので、俺は『今度やってあげるから』と咄嗟のフォローにより、紬は弾ける笑顔になり『約束よ!唯ちゃん』と嬉しそうに言ってくる。まぁ、これをやるときが来る事は祈らないがな。

時は流れ放課後。
俺達三年生の軽音楽部は音楽室に移動した。憂や梓は遅れるらしい。紬が俺をツインテールモドキにしたくてしたくてたまらないそうで今日一日俺はツインテールモドキをやると仕方なく提案し、紬は俺の髪型をツインテールモドキにした。すると紬は

「わぁ〜♪」

紬の目の周りに星が出てきそうな程目がキラキラしていた。はぁ、やれやれ。


ガチャ
「こんにち・・・あ、まだやっていたんですか・・・唯先輩」


「ん?お姉ちゃん♪♪♪」

ジト目で見る梓と星が出ている程目が輝いている憂が登場。すげぇ・・・マジで星出てるよ・・・どうやってんだよ・・・憂。

「お姉ちゃん。お手っ♪♪♪」

右手をずいっと出し未だに目から星を出す憂に戸惑いながら拳を握り、弱々しく

「わ、わん?」

と首を傾げ憂の顔を見ると『ぽけ〜・・・』と自分の世界にトリップ。梓は、驚き過ぎて固まっていた。や、助けろよ梓。

「あ、先輩達、何でここにいるんですか?」


「お?梓、私達が引退するかもって寂しがっていたんだろー」

律はニヤニヤしながら、梓の顔を見る。そして梓の頭を撫でて『うりうりー。寂しいだろー。ん?』と梓をいじり梓は『そ、そんなんじゃないもん!』とツインテールをパタパタと上下に振り赤面する。澪はそれを見て苦笑い。俺も梓をいじりたいのだが・・・

「唯ちゃん、おすわりっ!」

「わ、わん」

「お姉ちゃん、おかわりっ♪」

「わ、わん」


紬と憂による俺の芸の仕込みをみっちりと
やらされていた・・・誰か、誰か、誰か助けてくれぇぇぇ!
俺の必死のSOS信号は誰にも届かず、紬、憂は俺を気が済むまで芸を仕込んでいたのであった・・・もう、二度とツインテールモドキしないぞと思う俺なのであった・・・



ーーーーーー

俺のツインテールモドキが流行り数日が経ったある日の事。
教室に入り、ある現象に目を疑う。
クラスの連中の大半はツインテールモドキが流行っていたのだ。右を見てもツインテールモドキ。左を見てもツインテールモドキ。

律や澪、紬は驚きの表情で教室を見渡す。

「お、おお・・・こんなに流行っていたのか」


「す、すごい・・・」


「わぁ・・・じゃ、唯ちゃんも・・・」

何でだよ。適当に断りの言葉を言い、紬を納得させた。

「あ、そうだ。デジカメ持ってきたから個人撮影の為に試し撮りしないか?」

「え?そんなものわざわざ持ってきたのか?律」


「わぁ。私も試し撮りしたいな」

という事で放課後。音楽室にて、試し撮りをする俺達。まずは律から試し撮りをやる事に。
律はカチューシャを取り、紬は持っていた櫛で律の髪をいじり紬は『りっちゃんの髪ってサラサラねー。いつまでも触っていたーい』ときゃっきゃっと興奮し、律に抱きつく。

「ムギ。ありがとうな」

「じゃ、カチューシャを・・・ん?この辺かな〜」

紬は、律にカチューシャを装着させようとするが、ポジションがなかなか決められずに困っていたところ澪は『この辺じゃ無いのか?』と律のカチューシャのポジションを素早く決定。

「じゃ、撮りますよ」

カメラ担当の梓は準備が出来ていたのを確認し、律を写真に収める。
写真を確認するためみんなは梓の手元にあるデジカメを見ている。

『おー!』

なかなかいい感じに写っていた律の姿に感動の声が上がる。


「律さん、すごくバッチリに決まっていますよ」


「ありがとうな。憂ちゃん」


憂は律に褒め言葉を言い、少しばかり照れる律。
その後、澪、紬、俺も試し撮りをやり、いい感じに仕上がっていたので本番の個人撮影に期待が出来る俺達なのであった・・・


そして本番の個人撮影。
律、紬は練習のおかげか真顔で写りほっと一息をつく。
澪はというと・・・

「うっ、恥ずかしいな・・・」

頬にほんのりと朱を浮かべる澪。
俺達は励ましの言葉を澪に送ろうとこそこそと話し、澪に向かって

「澪ー、頑張れー」

「澪ちゃん、ファイトー♪」


「澪ちゃんなら出来るよ!やれば出来る子だと私は信じてるよ」

俺達の声援により更に顔が赤くなる澪。他のクラスの連中は、くすくすと笑っていたのだ。澪はそれにより更に顔を火照らす。恥ずかしがり屋にも程があるぞ澪よ。

カシャっ
俺も撮ってもらい、こうして卒業アルバムの為の個人撮影は終了したーーー



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