小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第79話

来年度の軽音楽部の為に『ある事』をし、六時間目が終わった数分後の事。

『ある事』の為に準備していた『ソレ』を物置に入れて、教師で最も偉いであろう校長がいる校長室へと向かう。本当は講堂を使う為、生徒会に講堂使用届を提出するのだが、とりあえずはその『ある事』をする為の許可を頂きたいのだ。

校長室のドアを数回叩き、ドアの奥から『どうぞ』と言うので俺、律、澪、紬は『失礼します』と言いながら校長室に入ったのだ。

「あの、お願いがあるんですけど・・・」


「何ですか?」


俺が言い出しっぺなので代表は俺なのであるから俺がお願いをしているのだ。

「あの『ーーー』がしたいので、講堂の『ーーー』を使わせてもらえませんか?私達はその時卒業していますから今お願いしています。他の部員に二年生が二人いるのですが、その子達には内緒でやっているんですよ」


校長は『そうですか』と俺の目を見て、更に俺は言葉を続ける。

「ですので、次の新歓ライブの時に講堂の『ーーー』を使わせて『ーーー』してください!お願いします!」

『お願いします!!』

俺が深く頭を下げて、律、澪、紬も頭を深々と頭を下げていた。すると校長は、にこっと笑い俺達を見渡す。

「それはすごいですね。分かりました。許可しますよ。生徒会の方にも他の先生方にも伝えます。是非、やらさせてもらいます」


「あ、ありがとうございます!」

『ありがとうございます!!』

俺達は深々と頭を下げて校長はにこにこ笑って俺達に『新入部員が集まるといいですね』と言うので俺達は元気よく『はいっ!』と返事をしたのであった。

用が済み、校長室を出る俺達。
どっと疲れが来てだらっとなる俺達。本当に緊張したなー・・・


「まさか、唯があんな事を思いつくなんてなー・・・」


「ああ。私も全然予想出来なかったよ。すごいな唯」


「私もびっくりしちゃった。軽音楽部の事、いっぱいいっぱい考えているんだなって。私も何かしたいなー・・・」


驚きを隠せない律達。俺だってこれを思いついた時、『神だ!俺!』と自画自賛で思ったのだ。さてはて、梓や憂が見たら何て言うのかな?まずは驚きの声を上げる事は間違いないのだがな。

俺達は音楽室へと向かい、音楽室の扉を開け、音楽室へと入ると・・・憂、梓がいたのだ。律達は『あわわっ』みたいな反応をするが・・・落ち着けよ。


「先輩、何でみんな揃って入って来たんですか?」


「お姉ちゃん。何でなの?」


憂、梓はいきなりの質問をして、律達は更に『あわわっ』と慌てていた。や、バレるじゃないか。よし、手を打つか。

「みんな御手洗いに行ってたんだよ」

『へ?』

みんな一斉に俺を見る。や、律達よ俺を見るなよ。


「ムギちゃんが淹れてくれたお茶を朝からいっぱい飲んだから今さっきみんな揃って行ったんだよ。ね?みんな」

俺は律達に話を合わせろと目でアイコンタクトする。すると・・・

「そ、そうなんだよー。やる事なくてさー。ずっとお茶してたんだよー。な?澪」

「あ、ああ。他にやる事はある筈なんだけどな・・・な?ムギ」

「う、うん。でも、私嬉しいな♪あんなにみんなが嬉しそうに飲んでいたから、いっぱい淹れちゃったみたいで〜」


何とか話を合わせた律達。憂、梓は何の疑いもなく『そうですか』と納得したのだ。
俺は内心ほっとしていたのだが、律達は声を出して『はぁ・・・』と胸をおろす。や、だからバレるって。


「あ、そうだ。今からさ、『放課後ティータイム』の曲の全部をレコーディングしようよ。アルバム作らない?」

俺の咄嗟の提案により、律達は『いいね!それ!』と了承してくれたので、各自準備をし、次々へと曲を録音させていく。『放課後ティータイム』は曲が結構あるので外が暗くなるまで俺達は一生懸命頑張ったのであった。そう、来年度以降の軽音楽部の為に、俺達は頑張れるのである。

ーーーー

数日が経ち、放課後。
俺達三年生組は早く授業が終わり、音楽室へと歩を進める。
そして、音楽室に入り憂と梓はまだいない事を確認した俺達。

「梓達は、まだ授業やってんのかな?」


「まぁ、そうだろうな。って、あー!!」

律と澪は雑談を交わしていたのだが、急に大声を出す澪。そして澪は机の上にあったクッキーが入っていたであろう箱に大慌てで駆け寄るのだが・・・澪よ、まさかお前それを食べたいから大慌てしたんじゃないだろうな。


「な、無いんだよ!あの・・・私達が一年の時の勧誘のDVD!」

ん?そんなのあったけか?と俺は思い出しているのだが、見事にヒットしない・・・
すると、音楽室の扉が開かれDVDが入ったケースを持った梓と我が妹の憂が登場。


「え?まさか、梓!憂ちゃん!それ、見たのか?」


「え、ええ・・・山中先生が見ろって言いまして・・・ね?憂」


「うん♪澪さん、ものすごく可愛かったな〜」

「うっ!」

澪は憂達の報告の結果により激しく落ち込む。はて、何故だったっけな?・・・あ!あれだ!俺は一年の時にみんなと一緒である事をしたのを思い出した!さて、回想といこうか。

ーーー
【回想】

俺達がもうすぐ二年生になろうとしていた頃のある日の事。
俺達は部員が四人しかいないのでどうしても新入部員をゲットしたい気持ちでいっぱいいっぱいなのだ。
で、山中先生の提案により、勧誘のビデオを撮って入学生に見せればいいのでは?とまさかまさかのちゃんとした発言に俺達は耳を疑ったのだ。


『はっ!まさか偽物の山中先生ですか?本物はどこですか!?』


『唯ちゃん・・・私が正真正銘の山中さわ子よ・・・』

山中先生は果てしなく困り、弱々しくツッコミを入れる。ま、それはどうでもいいとして、俺達は山中先生のアイデアを聞いて楽器に制服を着させ、その楽器に楽器担当者の声をアフレコするという、いかにも見た目インパクトな演出なのだ。しかも楽器が映っているから音楽系で楽器を演奏をすると一目瞭然で分かるからまさにいい提案なのだ。だが、山中先生は、いらんことを提案し、その勧誘のビデオはお蔵入りになったのだ・・・

『ぶっ・・・部員募集中です・・・是非入ってください・・・ぅぅっ』

ピンク色のナース服を着された澪は顔に朱を浮かばせ注射器を片手に、更にウィンクをカメラ目線でした・・・いや、目が泳いでいるのでどこを見ているのか分からないのだ。

『や、やっぱり、これダメ!封印しますっ!』

という事で近くにあったクッキーが入っていた箱の中に封印したのであったーー。
【回想終了】

ーーーーーーーー

「ううっ、物置の奥の奥に封印したのに・・・」

澪は落ち込み、泣き崩れる。紬と俺で澪をあやし、何とか落ち着かせる。
それはさておき、今回も勧誘ビデオをやるとやる気満々の山中先生は『露出度の高い衣装を着ない?』とか『学校を震撼させるような衣装を着ない?』とか訳の分からない提案してくる。軽音楽部を何だと思っているのだろうか?コスプレ部じゃないんだぞ。そんな山中先生の態度に俺はイラつき


「・・・あんたはタンスの角に小指ぶつけて泣いてから脱水症状になって気絶でもしてろコノヤロー・・・」


『唯!?』「お姉ちゃん♪」「唯ちゃん♪」「また怒ってるんですか!?唯先輩!」


驚きの声を出す律、澪。目から星が出てる憂、紬。驚きながらもツッコミを忘れない梓。一方、山中先生はというと・・・

「唯ちゃん・・・だんだん私の扱いひどくないかしら?」

ものすごく落ち込みながらツッコミを入れる山中先生。あんたの頭はどうなってんだよ。解剖してみたいぞ。そんな事よりもだ。俺は口を開く。

「ま、そんな事より、会議を始めるよ〜。みんな席に着いて〜」

「ぁ・・・もう戻っちゃったわ」

「え〜・・・もうちょっと怒ってよ〜。お姉ちゃん」

紬と憂は俺の怒り状態が解けたのか、何かとしょんぼりとしていたのだが、気にしない事にする。
山中先生は職員会議があるからと言い、音楽室を出て俺達は早速、提案を出し合うのだが・・・

「サスペンス風に!」

「唯ちゃんの怒っているのをずっと撮りましょう!」

「ダメでしょ!それ!」


「え〜・・・梓ちゃん、ダメなの?」

もうてんやわんやである。何故俺の怒り状態が人気なのか知らないが、ぐだぐだの会議である。

「じゃ、一人ずつ消えていくとかは?」

「意味が分かりませんよ・・・律先輩」

「んー・・・梓は何か案があるのか?さっきからダメ出ししているけど・・・」

まさかの澪の発言に梓は『へ!?』と驚き、少し口ごもりながらも『や、やってみます!考える時間をください!』と梓は宿題を自分に課した。さてはて、どんな案が出るのか楽しみだなーー。




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