小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第80話

side 中野 梓
勧誘ビデオを撮影するという事を決めた日の夜の事。私は勧誘ビデオの内容を我が家の私の部屋で構成しているんだけど、なかなか思いつかないんだよね・・・

『梓ー!お風呂に入りなさーい』

ノートに思いついた事をとりあえず全部書こうとしていたんだけど、ノートは未だに真っ白のままだ・・・何で思いつかないんだろうな・・・私・・・

ガチャ
「梓!」

「にゃっ!?」

私の部屋に急に入ってくるお母さんに変な声で返事をしてしまった・・・少し恥ずかしいな・・・


「あら?勉強中なの?ってノート真っ白じゃない」

お母さんは私のノートを覗き込み、私は何も書いていないので隠す必要性が無いので隠していなかった。

「ま、いいわ。お風呂に入りなさい」

「わ、分かったよ」

真っ白のノートを閉じ、風呂場に直行。あ、もしかしたらお風呂なら何かを思いつくかもしれないしね。
私は身につけている衣類を全て洗濯カゴに入れて、髪を湯船につけない為タオルで巻き、洗面器で湯船から一杯満タンに入れて身体にざぱーっ、とかける。そして、湯船に入って・・・

「ふぃ〜・・・」

ざぁー、と湯船からお湯が少しばかり溢れて私は身体の芯まで温まる。

「お風呂には入ったけど何も思いつかない・・・」

温まって頭の血行をよくしてアイデアを思いつこうとしていたけど、何も思いつかない私・・・どうしよう?憂に頼むしか・・・いや!私だけで頑張ってみるもん!

『梓ー。着替えここに置いていくわよー』

「にゃっ!?」


色々な事に思い浸っていた私をお母さんが急に話しかけた。また私は変な声で返事しちゃった・・・私って猫っぽいな・・・『にゃっ!?』って・・・あ、だから先生は私に猫耳付けさせたいのかな?また付けられそうになったらちゃんと断らないと・・・


ーーーーーーー

次の日の昼休み。
憂と純とで昼食を食べていて、私はもう一人で悩むのが嫌なので憂、純にアイデアを出してもらう事に。

「じゃあさ、空からカメラで軽音楽部を撮ってみるとかは?」

「や、それは無理だよ。それにどうやって空から撮る気?」

純は『あ、そっか』と詰めが甘かったのを嘆いていた。すると憂は『ちょっと待ってて』と言い自分の席の横に引っ掛けた鞄の中を漁り、何やらノートを出す。なんだろう?何で憂はノートを出すんだろうと疑問が疑問を呼び私の頭は『?』の文字しか浮かばないんだ。


「えへへ〜。お姉ちゃんがね、梓ちゃんが困った時に読んでって言ってね。じゃ、読むね〜」

何で読むのか知らないけど、憂の話を聞く事に、て純も目をキラキラさせて憂の話を聞く体制に入っていた。

「えーと。『これを憂が話している事は梓ちゃん、君は困っているだろう。もちろん、勧誘ビデオの内容についてだ』わ、お姉ちゃん格好いい〜♪」

「や、続けてくれないかな?憂」

憂は自分の姉が格好いいからといってデレデレしてしまう・・・本当にいい姉妹なんだなー・・・

「ご、ごめんね。『私はそんなあずにゃんの為に一つアイデアを授けよう』ねぇ、あずにゃんって何?」

「わ、私の事かな?文章の内容から察するに・・・」

唯先輩は一度だけ私の事を『あずにゃん』って言っていたけど・・・唯先輩は私の事をどう思っているのか分からないよ・・・

「へぇ、そうなんだ〜。『この学校の生徒達にインタビュー方式でカメラを回す事を私は考えている。どうだ?気に入ったか?』だって〜。面白そうだね」

「た、確かにみんなから軽音楽部の事を聞いて実際にそれを撮る事でみんなの軽音楽部のイメージを私達が知る事も出来るし、今度の一年生達にも分かるかもっ!っていうか、何で最後は男口調なんですか唯先輩・・・」


ものすごくいい提案をしていた唯先輩。
私もその提案に賛成する!でも、更に憂は言葉を発する。


「あ、まだあったよ。『なお、この提案は梓ちゃんが提案したものとする。故に憂、そして私こと唯が知らないものとする。もし、憂や私に手伝ってもらったと律ちゃん達に話すと怒るぞコノヤロー』だって〜♪話そうか!梓ちゃん!」

憂は目を輝かせて私を見るのでたじたじになりながも私は口を開く。

「え、ええー・・・それはやめとく」

「えー・・・あ、まだあった♪『ps 律ちゃん達に話すと私が律ちゃん達に褒められて私はものすごく恥ずかしいので怒るぞというのは脅しだとは言わないでね憂』あ、言っちゃった・・・ごめんなさいお姉ちゃん・・・」

唯先輩が脅しを入れるとは・・・かなり予想外でしたよ・・・唯先輩。
憂は次のページを捲り、ぱあぁと笑顔になってまた口を開く。はぁ、また可笑しな事書いてあるのかな?と呆れかえってしまう私。

「わぁ♪『ps お風呂上がりに耳掃除すると湿っている』だって〜♪」


だからソレが何なんですかー!!?と私の心の叫びで昼休みは終わったのです・・・私、ツッコミばかりで疲れましたよ・・・唯先輩。純はというと・・・

「ぽぉ〜・・・」

「純!?」

何故か自分の世界へトリップしちゃった・・・はぁ、唯先輩って何だかんだで人気があるんだなー、としみじみに思う私がいたんだ・・・


そして放課後。
純は自分の友達に映画研究部がいるので、撮影に必要な機材を何から何まで借りて、それをたくさん持って音楽室へと向かい先輩方が待っている音楽室へと向かう。先輩方は受験が終わってほぼ学校が休みとなっているのにずっと学校に来ているので、絶対に先輩方は音楽室にいるからと当たり前のように思って音楽室の扉を開くと・・・

「お?梓に憂ちゃんに・・・えーと佐々木さんだっけ?」

「鈴木さんだろ。律」

「どうしたの?梓ちゃん、あ、ムギちゃんお茶おかわりっ」


「はーい♪」

先輩方は、まったりとお茶の時間を過ごしていたんだけど・・・いくらなんでも羽を伸ばし過ぎじゃないですか?と不安になってしまう私。受験が終わったからのんびりしたいのは分かるけど・・・のんびりしすぎですよ先輩方。

「えーと、とりあえず勧誘ビデオの撮影したいんですよ。まずは日常の風景から・・・」

私は唯先輩のアイデアを最後の方で撮りたいので、まずは私が急に思いついた案から取り入れる事に。
まずはトンちゃんの餌をやるシーンをやってみることにしたんだけど・・・

「これで軽音楽部って伝わるのか?」

「梓ちゃんはトンちゃんが好きだからこのシーンをやってみたいんじゃないの?りっちゃん」

律先輩とムギ先輩は小声で話している。私は軽音楽部全員参加させたいし、トンちゃんだって軽音楽部だもん!人じゃないけど・・・

次に日常の会話シーンを撮ることに。でも、律先輩がきりっと顔を引き締め手を組み、机に両肘を当てて手を口元に当てていかにも部長らしきポーズを決めていた。って、普通にしてくださいよ!律先輩!

「さて、今回の会議の内容である新歓ライブの曲順を決めていこうではないか。何か案は無いのかね?諸君」

「普通にしろよ・・・律」

澪先輩がジト目で律先輩を見て叱るけど律先輩はまだ続けていた。するとムギ先輩が

「はいっ!」

キラキラしている目でムギ先輩は無邪気に笑って挙手し、律先輩は『ではムギ君』とまだ部長イメージを引きずって口調を変えないでいた・・・


「じゃ、『唯ちゃんが怒るのが格好いい』で!」

「わぁ♪賛成です♪」

「いや、そんなもの無いだろ・・・」

ムギ先輩の提案に憂は目を輝かせながら賛成して、澪先輩はジト目でツッコミを入れる。そういえば、澪先輩って恥ずかしがり屋だった筈なんだけどな・・・そんな澪先輩に『カメラ回ってますよ』と言ったら急に頬に朱を染めて恥ずかしがっていた。

「じゃ、次のシーンね!」

『さわちゃん!?』

神出鬼没の山中先生の登場。手には、猫耳のカチューシャがあったけど・・・まさか・・・

「はいっ!梓ちゃん!」

「へっ!?」

早業で私の頭に猫耳を着けて・・・

「カメラスタンバイ!」

「は、はいっ!」

純と山中先生が見事な連携をみせて・・・

「はいっ!どうぞ!」

山中先生は私に何かをカメラに向かって言えと言っているようだけど、いきなりすぎて頭が混乱してしまい、両手を猫手にして

「け、軽音楽部へようこそ・・・にゃん?」


すると山中先生は親指を立てて『グッジョブ!梓ちゃん!』とウィンクして私を励ました・・・
て、ええー!?今の撮ったの!?

「・・・梓ちゃん・・・それはないよ・・・」

「ち、違うんです!唯先輩!」

唯先輩はドン引きしてしまい、私は必死に説得を試みるけど、何とか納得させた。
そんなこんなで日常の風景を面白可笑しく撮影し、夕方。

私達は屋上で楽器を持って行き、後ろには夕焼け空が美しく映し出されるという提案をして先輩方は『いいね!』と賛成してくれた。

「では、いきますよー」

純がカメラで私達を撮るという合図を出し、私達はそれぞれ与えられたセリフを各自言っていく。


「軽音楽部は楽しい部です!」
いつも優しい唯先輩

「で、ですので、気軽に音楽室にお越しくださいっ!」
少し頬が赤くなっている澪先輩

「私達は君を待っている!」
この軽音楽部の部長の律先輩


「お菓子も用意していますよ〜」
おっとりしているムギ先輩

「初心者でも大歓迎です!是非、この部に!」
姉想いの憂


「軽音楽部に入った事を後悔させません!」
そして、私。これが私達の軽音楽部、『放課後ティータイム』だよ。と想いを込めてカメラに向かって想いを伝えて、あとは・・・

「じゃ、生徒達にインタビューしましょう」


先輩方は『え?』と私にもっと説明をと求めるので、詳しく話すことに。

「生徒達にインタビューしてそれを撮ることで軽音楽部がどんな部か新入生に分かりやすくする為ですよ」

『なるほど〜』

全員納得の声を上げて、早速生徒達にインタビューをしてそのシーンを撮っていく・・・

「軽音楽部最高っ!」

「軽音楽部もいいけど、バレー部もよろしく!」

「軽音楽部はいつもハプニングが起きるわね。部活申請用紙を出し忘れたり、色々と。でも、それはそれで楽しい部だと思うわ」


「ええ、あの軽音楽部に入ったら志望校合格。あの暗かった私が嘘のように!!」


「私はあの子達をいつも応援しているわ。あと、顧問の先生がそれはそれは優しくて。まるで・・・」

とまぁ、若干律先輩と山中先生は少しふざけて?いたけど、とにかくこれで勧誘ビデオが完成したーーside 中野 梓 off

-81-
Copyright ©かがみいん All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える