小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第84話

時は流れ、期末試験の日付の朝となった。
俺は受験に合格して緊張の解れからきたのだからか、勉強は多少してきたつもりだ。憂と一緒に勉強しあって各自分からない所を教えあったりと、家族の絆を深めつつ試験に挑むのだ。

とりあえず、制服へと着替え憂と共に我が家を出ると、数メートル先に和と出会ったのだ。


「あっ、おはよー和ちゃん!」

「おはよう。和ちゃん」

「おはよう。唯、憂。それから遅くなっちゃったけど、合格おめでとう唯」

和は微笑んで俺を祝福していく。ちなみに、この和も大学に合格したようでなによりだ。でも、なんだか和に悪いことをしたと思う。長年の付き合いをしてきたのにまさか俺の我儘(わがまま)により軽音楽部と一緒の大学へと進学するのだ。前は和と一緒の国立を目指していたのに急に心変わりした俺に何らかの思いは無いだろうか?

そんな和におずおずとお詫びの言葉を慎重に選んで口を開く。

「あの・・・ごめんね?私、国立の大学を受けるって言ったのに、律ちゃん、澪ちゃん、ムギちゃんの一緒の私立受けて・・・」

「ううん。いいのよ、気にしないで。」

和は何も感じなかったのかにっこりと笑っていた。俺とまた一緒に国立行けると思っていただろうに・・・

「唯は『夢』を見つけることが出来て私は嬉しいの。だから、その『夢』が叶うまで一生懸命頑張ってね」

『和ちゃん・・・』

俺の事を心から応援しているようで、清々しい気持ちになった。これ程友達思いのいい人は滅多に居ないだろう。俺はこの『絆』を一生大切にしたいと決心することが出来た。

「ところで、二人とも勉強やってきた?」

『もちろんっ!!』

俺達は弾ける笑顔で和に伝え、和は『そう、頑張ろうね』と優しい声を掛けながら学校へと足を運んだ・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

学校に到着し、憂と別れ和と共に三年二組の教室へと入り自分の席へと着席すると・・・

「おはよー、唯。」「唯、ちゃんと勉強したか?」「唯ちゃん。ちょっと寝癖ついているよ」

律、澪、紬は俺の周りに集まり数分雑談を交わしつつ今回の試験範囲を確認しあいながら最後の悪あがきをみせ、朝のHRが始まろうとしていた。

「あっ、もうこんな時間か。じゃ、また後でっ」

全員席へと着席をして担任である山中先生を待ち、数分経った後、山中先生が登場。

「みんなー。おはよー」

『おはようございます』

今回の期末試験の概要を黒板に書きながら俺達に時折目を合わせながら試験日程を伝える。

「今日から4日間期末試験をやります。時間割は黒板の横の掲示板に貼ってあるから目を通して頂戴ね。」

山中先生はチョークをカッカッと鳴らし黒板に今日の試験科目と時間帯を記している。今日は国語と英語だ。試験中は午前で学校が終わるから2時間目の試験が終わった後は各自帰るようにの事を伝え、山中先生は一旦、職員室へと戻ると言い残し俺達は机の中や机の横等に余計な荷物を片付けて試験の準備をする。

しばらくすると、山中先生は大量のプリント類を持って登場し、数人は若干、狼狽(うろた)えつつも出席したからにはもう後戻りが出来ないため気合を入れ直すのが見えた。

「では、配ります。・・・・・・はい、全員に行き渡ったわね。それじゃ、始めっ」


こうして高校生活最後の試験の幕が切って落とされるのであった・・・。

ーーーーーーー

時は流れ試験終了日、全員やっと終わったという安堵(あんど)の表情を浮かべて、ぐたっとしていた。

「おーい、澪〜大丈夫か〜?」

「大丈夫大丈夫。あの問題さえ間違えてなかったらいいんだ。あと、あの問題と・・・あっ、アレも勘で答えたような・・・」

「ダメじゃん・・・」

律は澪の現実逃避をジト目で見て、肩を落とす。紬の様子はというと・・・

「唯ちゃん。英語の問5の答えは何にしたの?」

「ん?えーと・・・選択問題だったけ。答えはウだったと思うよ。」

「やった!同じだっ」

紬は俺と答えを照らし合わせているようだ。俺がいくら優秀だからって、俺の答えが絶対とは言い切れないと思うのだがな。

「よーし、今日は部室使えるから明日のことをもっと綿密に話し込もうぜー」

律の言う明日の事というのはそういうことは1週間ぐらい前から決めることなのだが、これが俺達流である。仮にあんまり決めてなくても何とかなるというのが俺達というものなのだ。

「うん。そうだな、憂ちゃんや梓にも連絡とって今から来るって」

俺が連絡しようと思ったが素早く澪が連絡していたようだ。行動力が早すぎるぞ。

「うふふっ!競争よ〜」

紬はそれだけを言い、パタパタと走って律、澪もそれに見習い弾ける笑顔で紬の後を追う。

「ま、待てー。ムギーっ」

「び、ビリは嫌だーっ」

俺は3人の背を見て軽い足取りで3人を追い、音楽室にて憂、梓と合流し明日からの海外旅行について話し合い、集合場所や時間などを決めてフィンランドでどのような行動をとるのか等を各自確認しあいながら明日に備え、学校を出て全員帰路へと向かったのだーーー

あとがき

かなり大雑把ですみません・・・
海外旅行で何かをするということをここで書いてしまったら、後々海外旅行編がつまらなくなってしまうかもしれなかったのでこのような始末になりました。
さて、次から海外旅行編となりますので、ごゆるりとご堪能くださいませ。

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