小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第85話

外旅行当日の日となったこの日の昼、憂と共にパスポートや荷物の確認等の身支度を整え集合場所としていた近所の電車の駅にて歩を進めていた。

海外旅行先がフィンランドということで、ムギ曰くこの時期の外は凍えるような寒さの気温ということらしいので、厚着を複数枚旅行バックに詰め込んでいたのだ。

ちなみにフィンランドとは、フィンランド共和国のことで、北ヨーロッパに位置する共和制国家。北欧諸国のひとつであり、西にスウェーデン、北にノルウェー、東にロシアと隣接している。(※wiki参照)

それはさておき、初の海外旅行だ。(※アニメでは幼少期に行ったらしいが、本作では書いていません)
高まる期待、高鳴る胸の鼓動。まるで、遠足に行く前日の子供のようにワクワクしていたのだ。

それらの感情を抑えられず、軽い足取りで集合場所へと近づき、軽音楽部勢揃いのメンバーが駅にて集合していた。

「お?律ちゃ〜ん、澪ちゃ〜ん、ムギちゃ〜ん、梓ちゃ〜ん待ってた〜?」

俺と憂は、にこやかな表情を浮かべつつ手を振りながら律達の元へと駆け寄り、全員が集合した事を確認した律は、高らかに拳を上げながら

「よっしゃー!全員、フィンランドに行くぞー」

『おおっ!』

律以外のメンバーもそれに見習い拳を上げ、意思表示をしっかりと明確にとり、電車が来たので慌てながらも乗車していく。

「早くっ、早くっ!」

澪は、何かと慌ただしくしていたのだが、澪は妙なテンションが上がり目元には少しクマが出来ていた。

「私、早く海外に行きたいんだっ。この電車は瞬間移動するからちょうどいいよな」

「瞬間移動はできませんよっ?!」

梓のツッコミを耳に受け流しながら、空いた席を捜す作業をするのだが・・・

「お姉ちゃん、お姉ちゃん。この電車が瞬間移動するならシートベルトしないとねっ」

憂も訳分からないことを口走ってしまう・・・。電車にシートベルトないぞ・・・。

ちなみに電車にシートベルトが必要とされない理由としては、200km/h以上で走る電車は、今のところ新幹線しか存在せず新幹線は、厳重に隔離された敷地に線路があり、基本的に障害物などが侵入できないようになっている。

また上越新幹線脱線事故(新潟中越地震)以降、天災で脱線が起きても大きく脱線しないようにする取り組みが行われている。基本的に衝突や脱線が起きない想定なので、シートベルトは不要と判断されただそうだ。(※YAHOO知恵袋参照)

電車を何回か乗り換えしながらやっとのことで、とある国際空港に到着。
早速、荷物を受付係に危険な物がないのか等をチェックさせ、自分自身にも金属類が無いのかを確かめるために金属探知機のゲートへと何故か学校の出席番号順に並びチェックしていく。

「ささっ、まずは澪さんから」

「だからなんで出席番号順なんだよ・・・まぁ、いいけど」

澪は恐る恐るゲートへと侵入・・・すると『ポーン』と音が鳴ってしまった。
それに驚き、澪は『えっ?!へっ?!何が?!』と慌て自分のポッケを漁り、澪は何かを見つけたのか、その何かを俺達に見せるが・・・

「・・・小銭?」

お金でも金属探知機が反応するようだ。とりあえず、小銭を係員に預け再度澪はゲートに突入。
澪はようやくゲートから出て音が出ないことに胸を撫で下し、俺を含めその他もゲートに突入し、ようやく全員金属類を所持していない事を確認した係員は俺達に何番ゲートに行くべきか等を伝え、紬は手馴れているのか、手招きにより俺達を案内していく。

「あ、そうだ。ユーロって持ってないよね?」

紬は、はっとした顔で俺達に確認するが、そんなものは持ち合わせていない。他のメンバーも当然のごとく持っていないのこと。

「ほとんどの店での買い物はカード払いでいいんだけど、カード払いがダメな店もあるから一応全員持とうよ」

紬による経験により俺達は当然日本円をある程度持っていたのでユーロに変えてもらい、初めて見るユーロに興味津々な俺。

「すごい・・・これがユーロなんだ・・・なんかセレブみたいになった気分だよ」

「良かったね〜。お姉ちゃん。私もなんかお金持ちになった気分」

そんな他愛の無い話を話し続け、ようやく飛行機に乗れるようになる。飛行機は初めて乗るから期待しか募らない。
飛行機に乗るためにある通路を歩き、外が見えるようになっていて飛行機が複数台止まっていた。

「わぁ・・・こんなに近くで見たことないな・・・」

驚きの声を隠せない律。『おおっ・・・』と尊敬するような目で飛行機を見る澪、梓、憂。それを微笑ましく見つめる紬。これからの期待にさらなる期待を心待ちにしている俺・・・。そんな軽音楽部は各自、自分が座る飛行機のチケットの席を確認し、席へと着席する。

俺はみんなの居場所を確認するために立ち、キョロキョロと見渡すとどうやら、みんなはあまり離れていない位置に着席していた。
 
(※唯達の席はご覧の通りです。お察しの通り私の表現力が乏しい為、この様になります。ご了承ください。)

※空・・・空席のことです。

  澪 空  空 
-------------------
   |   |   |         
 唯 |憂  |  空|    通路     
------------------
   |   |   |         
 梓 | 空 | 空 |          
-------------------
 紬 | 律 | 空 |          

こんな偶然はなくは無い。うん、そう信じよう。
ということで、離陸の時を今か今かと待ちわびると、目の前のテレビが映りだし、救命胴衣のつけ方や、酸素が薄くなった場合酸素マスクが座席の上から降ってくるのでそれのつけ方云々・・・

テレビが上映されている時、CAも俺達の目の前で実践していた。ビデオだけでは細かいところが分からない為の配慮だろう。

『ーーーこのようにチューブに空気を送り込み、救命胴衣が膨らんで身の安全を守ります』

「へぇ・・・勉強になるね〜」

「うん、そだね〜」

俺と憂は危機感など感じさせないのほほんとした会話を交わしていた。それを見かねたのか澪が振り向き、小声で『ちゃんと聞いとけよ』と釘を刺された。うーむ、ちゃんと聞いているつもりなんだがな・・・


ーーーーーーー

Side 田井中 律

CA達が救命胴衣というもののつけ方を説明し、説明が終わって奥の部屋へと消えていき、さっきの救命胴衣のことで気になりだした私はムギに説明を求めてみることにした。

「なぁ、ムギ。あの説明毎回するのか?」

「ええ、そうみたい。ほら、りっちゃん達って初めて飛行機に乗るんでしょ?だからそんな人達の為に説明してくれるのよ〜」

「あ〜・・・そういうことか」

私は今さっき得た知識を理解し、前の席に座っている梓にはさっき得たムギの話を伝えようとするんだけど・・・

「あのさ、梓〜、さっきの説明はなぁ〜」

「や、さっきの会話聞こえてましたから・・・」


梓は、こちらを振り向きながらジト目で睨んでいた・・・くそ〜・・・そんな目をする後輩を私は育てた覚えは無いぞっ!


「あ、そういえばムギ先輩。フィンランドに着く時間ってどれぐらい掛かるんですか?」


梓の疑問に私も頷いてムギに話を聞くととんでもない事を聞いてしまう事になってしまう・・・


「だいたい9時間くらいかな?」


「「く、9時間?!」」


ムギのとんでもない発言を梓と私は開いた口が塞がらない表情で惚けていたーー。


ーーーーー

side 平沢唯

俺達は万が一の為、英語が出来るのかと確認を取るのだが・・・


「なぁ、唯。私は英語ある程度出来るけど・・・」


「その英語が通じるか分からないですしね。お姉ちゃん、フィンランド語じゃないといけないかな?」


確かに気になるよな。まぁ、フィンランドに
行く事になっていたので個人的にその事を調べていたから、話してみることに。

「一般に北欧の国って小さいから色々と他の国とのビジネスの仕事関係で英語が必要とされているらしいから英語は通じるよ」

「「へぇ〜・・・」」


「あ、ちなみに子供には気をつけて。小学生や中学生は英語の教育を受けているんだけど、英語は少しだけしか通じないかも」


「「そうなんだっ!」」

さて、この事は律や梓は知っているんだろうか?まぁ、紬がいるから安心はするがな。

しばらくするともう離陸の準備が整ったようで、飛行機のエンジンがウィー・・・ンと作動していく。
すると『シートベルトを着用してください』とアナウンスが流れ俺達はシートベルトを各々締めていく。

「うっ・・・ちょっと耳鳴りするよ〜」

憂は耳を押さえながら俺に訴えかける。俺は、あるテレビの内容を思い出したことがある。
飛行機が離着時、気圧の急激な変化により耳鳴りがなるというのだ。耳鳴りを解消するのは確か・・・

「あ、そのときはツバ飲んで。治るから」

「へ?あ、うん。・・・こくん・・・あ、少し楽になったかも」

憂は耳鳴りが治ったおかげか、笑って俺に感謝の意を表す。まぁ、こんな雑学ネタは知らない人もいるだろうしな。

「『まもなく離陸します。』」

やっと飛行機が離陸する為、滑走路へと走りどんどんスピードを上げ・・・

「うおっ?!」

急に自分の体が重く感じた。これが重力の力なのか・・・?!(※離陸する時にかかる重力は約1.2Gだそうです)

「「わわわっ?!」」

前の席の澪や後ろの席の梓もいきなり重力が変わった事による出来事に慌てているのが聞こえた。
ものの十数分後、やっとシートベルトを外してもいいとの事で、ようやく落ち着けるようだ。

「す、すごかったねぇ〜。お姉ちゃん」

「そ、そだね〜」

俺と憂はお互いの顔を見つめ合い笑いあった・・・。さて、フィンランドに着くのは確か9時間ぐらいだったけか?それまで暇だな・・・。それに眠気もあるし寝ようかな。

「ふあぁぁ〜・・・。ちょっと眠いから寝るね〜。フィンランドに着くの9時間後ぐらいだから〜」

「あ、私もすこし仮眠しようかな?」

こうして俺達軽音楽部の海外旅行の幕が切って落とされるのであるーーーーー。


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