小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第92話

side 平沢 唯
海外旅行四日目の早朝。今回の旅行目的である、野外ライブを行う為最後の確認を行う。

明日、朝早く日本に帰らないと時差が狂ってしまって中々、日本の時差に慣れなくなってしまうという紬の情報で、海外旅行中でも時差ボケになってしまい体調管理を疎かにしてしまうが、今はそんな事を気にしている場合ではない。

今は今日行われる野外ライブの為の練習というわけだ。
少々、休憩を取りながらもみんなのペースに合わせて、各自の楽器で音を奏でていく。

「よーし、あと一回練習だ!ワン・ツー・スリー!」

律がスティックでカウントを取り、もう一度確認していく。

〜〜♪♪♪
Whenever I look at you,
I feel my heart DOKI☆DOKI

I get so giggly and wiggly
like a marshmellow
fluff-fy-fy

Seeing you work on so hard
Trying like you always do
Focused on the things you do,
you never see me watching you

But every time I shut my eyes
When I start to dream
This winter I will be close to you

Oh please God,
I am begging you
Let me dream of us tonight
When we be together,
just the two of us☆

I am molt-t-ting
with my fluffy bunny,
who Im holding tight

Come on dream, laugh
Take me away♪

Fuwa-fuwa Time
Fuwa-fuwa Time
Fuwa-fuwa Time

〜ジャジャジャ〜♪♪ン〜♪♪

「おお、すっげ〜。唯、外人みたいだ!」

「お姉ちゃんすごいっ!」

「私にはそんな発音無理ですよ・・・」

律、憂、梓の最大級の褒めに対し俺がとる行動は・・・顔をニヤつかせながら、頭を掻き・・・

「でへへへへ〜。そんなに褒めても嬉しくないぞ♪コノヤローが♪」

「わ、すげぇ喜んでいる。嬉しすぎていろんな感情が混ざってる・・・」

某海賊漫画の船医のキャラクターの如く、浮かれまくっていた。誰だって、褒められたら嬉しいに決まっているだろう。
さて、もうそろそろ移動しないと遅れてしまうので、荷物運び兼お世話係である執事が楽器を今回の野外ライブの場所まで運んでくれるという気が利いた仕事をしてくれるので、俺達は重いものを運ぶ必要が皆無になったのだ。だが、すこし頼りすぎるのではないだろうか。

「わ、わざわざすみません。本当は現地まで私達が運ぶのに・・・。」

憂は申し訳なさそうに頭を下げ、俺達はそれに続いて頭を下げる。だが、紬や執事は気にするなと一点張り。すこし、心が痛むな。

「いいえ、私は紬お嬢様や皆様の為でしたら何でも致します。皆様が楽になられることを私は最大限に支援させていただきます」

『あ、ありがとうございます』

もう一度感謝の言葉を述べ、執事はにっこりの微笑み、荷物を車に放り込む。俺達も車で移動するから執事は運転席にて待機。どうせ、会場に行くからとついでに乗せてもらおう、という紬の案で全員頷いたのだ。

さて、今回の野外ライブの開催地は、ヘルシンキ中央駅のすぐ横の大きな公園で演奏するという非常に目立った所だ。この事を澪は・・・

「た、たくさんの人達に見られるっ!」

人見知りスキルを発動させ、身を震わせる。確かに、駅から近いので人通りは数多いことだろう。だが、やらないというわけにはいかないだろう。

「おいおい、澪。これまで必死に練習してきたんじゃないか。やらなかったら今回の海外旅行の意味が無くなってしまうじゃないか」

「だ、だけど・・・」

「澪ちゃん、私達はやればできるよ。ね?唯ちゃん」

「そうだよ、澪ちゃん。諦めちゃ〜いかんよ」

なんとか澪を落ち着かせようと試みるが、澪はこれまで培ってきた技術を、自分を信じてみることに専念したのか、力強く頷いた。

「あ、もうそろそろ時間ですよ。早く行きましょうよ」

「わ〜、緊張するな〜。ね?お姉ちゃん」

各自の準備が整えて別荘の扉を開き、執事が待つ車(ベンツリムジン!?)へと乗り、車(ベンツリムジン)は公園へと出発し、海外初ライブへと期待と不安を抱えながら、車(ベンツリムジン)の座り心地を堪能していくのであったーーー。

ーーーーーーーーーーーーー

車に乗ってしばらく時間が経ち、ようやく公園近辺へと着いたのだ。
野外ライブ開催地である公園には車が停められず、近くの駐車場へと停めたのだ。
執事は俺達の楽器を運ぶと言うのだが、今回ばかりは自分で持たないと罰が当たりそうなので、紬に相談しなんとか自分で持つようになったのだ。やはり、手元にないと落ち着かないのだ。

ほかの連中も俺に見習って各自楽器を持つことにしたのだ。みんなも遠慮したがっているのは見え見えなのだ。みんなは根がやさしいのだ。

「では、ご案内します」

俺達はフィンランドの地理が把握しきれていないので、執事が案内してくれるということなので、執事を先頭に並んでザッザッと歩を進めていき、受付場所へ着き俺達が演奏するメンバーだという事を伝え、舞台の裏側に行けと命じられ、執事は演奏者ではないので関係者以外という扱いになったので執事は一旦退散。

スタッフを見つけ、どこに待機していればいいのかを聞き、指定された場所にて俺達の出番が来るまで待機していたのであった。

今回の野外ライブの主役はLinkin Parkという有名なバンドで俺達はその前座にすぎないのだ。
(※Linkin Parkとは1996年に結成されたバンド「Super Xero」を前身としていて、幅広いジャンルの音楽要素を取り入れており、オルタナティブ・ミュージックの独自のミュージック・センスを持つバンドです)

しばらくすると、今回のライブが始まってしまったのか観客達は賑やかに歓声を上げている。が、数が少ないのか小さな歓声だ。今回の目玉であるLinkin Parkの出番はまだまだ後なので客が少ないだろうと予想される。

全身紺色のスーツを身に纏ったおっちゃんの司会らしき人物が舞台上に現れて、場を盛り上げようとしている。俺達前座はステージ傍から見守っているしかないのだ。

「『You! I kept you waiting very much long! The first member line should go instantly! (みなさん!大変長らくお待たせいたしました!早速、最初のメンバー行っていきましょう!』」(※今回は英文を頑張らせていただきました。少し、和訳が違うとは思いますが(笑))

司会のおっちゃんは、最初の演奏者である俺達をステージ内へと案内し、俺達は緊張した顔つきでステージに立ち、観客達を見渡したが・・・

「わっ・・・やっぱりこっち見てる〜!」

澪は小声を出しながら震えてしまう。俺も近くや遠くを見渡したのだが、人がやたらと多いのだ。そして、俺達が物珍しいのかジロジロと見られていると視線を感じてしまう。
だが、司会はまだ舞台裏には消えず、自分が持っているマイクを俺の口元に移動させ、何かをインタビューしたがっている・・・。

「『 Where do you come from? (あなた達はどこの出身ですか?)』」

「『It is Japan. (日本です)』」

「『That is right! These people came from Japan. (そうなんです!この人たちは日本から来たのです。)

Then, lets be enthusiastic! It is after school teatime and is 『Fuwa-fuwa time』!
(それでは、張り切っていきましょう!放課後ティータイムで『ふわふわタイム!』』」

司会はやっと舞台から去っていき、俺達は楽器をしっかりと持ち、律のカウントを待つ。
みんなは早々と準備を整えたので、ようやく律はスティックを徐々に上げ、スティックをカッカッと鳴らし・・・

〜〜♪♪♪♪
 
俺のリードギター、梓と憂のサイドギターを奏で、澪や紬は今までの練習の成果を見せるかの如く音は重なり合い、律の力強いドラムがみんなの音を引き立てるように、走らないドラムを完成させていき・・・

〜〜♪♪♪

Whenever I look at you,
I feel my heart DOKI☆DOKI

I get so giggly and wiggly
like a marshmellow
fluff-fy-fy

Seeing you work on so hard
Trying like you always do
Focused on the things you do,
you never see me watching you

But every time I shut my eyes
When I start to dream
This winter I will be close to you

Oh please God,
I am begging you
Let me dream of us tonight
When we be together,
just the two of us☆

I am molt-t-ting
with my fluffy bunny,
who Im holding tight

Come on dream, laugh
Take me away♪

Fuwa-fuwa Time
Fuwa-fuwa Time
Fuwa-fuwa Time

〜〜〜♪♪ジャー〜〜・・・ン〜〜♪♪

ワァァァァ、パチパチパチっ!と地面が揺れるような大きな声援と拍手を受け、その声援は俺達を弾ける笑顔でバンド成功を示されたことによる嬉しい報告を胸に刻み、舞台から去っていき・・・司会は大はしゃぎでステージに上がり

「『 wonderful! It is applause once again! (素晴らしい!もう一度賞賛を!)』」

司会の粋な計らいで会場全体はワァァァと盛り上がり、前座としてはいい仕事をしたなと思い、俺達は最後まで野外ライブを楽しんだのであったーーー。

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