小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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第96話

side 平沢 唯

風呂にも入り、消灯の時間が過ぎ全員眠りにつき、俺も眠くて眠くて堪らなく一瞬のうちに夢の世界へとダイブしそんなこんなで海外旅行最終日の朝を迎えてしまった。
だが、この日は帰るだけなので別に語ることはないだろう。別に誰が何の土産を買っていったかなんていうことは気にもしないことだろう。大体はキーホルダーだとか食い物だとかだ。

忘れ物が無いかをチェックし、楽器等を含める荷物を受付だとかにチェックさせ荷物を預けるべき場所にも預け、執事にもこれまでお世話になったのでお礼の言葉を伝えることもでき、帰りの飛行機にも乗り我等が故郷、日本へと九時間ぐらいの空の旅に飛び立つのであったーーー。

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日本時刻ちょうど16時になったのだが昼飯は機内食で済ませたので昼は食べなくてはいいが、やはり時差ボケが激しいのだ。それでも約九時間程の空の旅を満喫し、ようやく最初にいったとある空港に着き荷物等も忘れずに持っていき、俺達全員空港の出入り口付近にて屯(たむろ)していた。そんな中、大勢の人達がいる中律は背伸びで背骨をコキコキと鳴らしながら身体をほぐしていたのだ。

「くぅーーっ!さっきゴキっていった!」

「り、律っ!みっともないからやめろ!」

俺は他人のフリを試みるが、いかんせん俺達は同い年で見た目的にも何かの集まりなんだな〜なんていう情報が大勢の人達の脳にインプットされてしまうので仕方なくさっさと帰ろうと促し、各自我が家に帰るというので電車に乗り俺達の近所までユラユラと電車は俺達を運んでいき、俺達が住む町付近の駅に着いたので降り、その場で現地解散となったのだったーーー。

荷物も多かったのでもう我が家に帰りたくて帰りたくて堪らなかったので憂と共に我が家に着き、鍵を開けキィィという軋んだ我が家の玄関のドアが我々を受けいれてくれるので颯爽と玄関口を一歩力強く踏みしめ、俺の身体が我が家の暖かさに包み込まれ脳内に『おかえり』という声が聞こえたような気がして荷物等はとりあえずリビングへと置き、ふとソファーに目がいき無意識だったが身体がソファーへとダイブした。

「やっぱ我が家が一番だ〜・・・」

「そ、そだね・・・あ、片づけとかやらなきゃ」

憂はこれまで海外旅行の為に使った洋服等を荷物から抜き出し洗濯をやるようだ。大変だな・・・今帰ったばかりなのに・・・よし、俺も何かやるか。そうだな・・・飯でも作ろう。

「んじゃ、買い物するから今日のご飯何がいい?」

「え〜と・・・お姉ちゃんも疲れているし、簡単な物でいいかな?じゃ、オムライスで」

「はーい」

憂のチョイスは俺を気遣ってからのオムライスという・・・本当に出来た子やで〜。
憂のあまりの優しさに心の中で若干ヘタな関西弁を使ってしまうがそれはさておき、近くのスーパーで買い物をする為エコバックと財布を持ち軽やかな足取りでスーパーのあるほうへ歩を進めていくのであった。

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「あれ?オムライスって若干めんどくね?」

俺がこう思ったのはオムライスに関する材料を買い物カゴに入れて他にいい材料がないものかと探っている途中だったのだ。だが、せっかくのチョイスを無下にはできん。が、食べたくはないとは思わないし日本食も捨てがたいのだ。

「とりあえず定番のケチャップのオムライスにするか・・・」

オムライスにはたくさん種類があるがシンプルこそが一番おいしいと思うのだ。悪いが、これだけは譲れんよ。そのかわりといってはアレなんだがすごく美味しく作ってやる事を決意し、レジへと向かう途中・・・

「あっ!唯お姉さん!」

「ん?唯?奇遇だな〜」

買い物カゴを持ち何かを買おうとしている田井中家の姉弟(してい)に遭遇。なんという偶然だろうか・・・

「お〜久しぶりかな?聡君や。ついでにさっきぶりだね律ちゃんや」

「う、うん!」
「ついでで悪かったな・・・」

田井中弟は満面の笑顔で即答。だが田井中姉は何が不服かジト目で睨んでくるがそっとしておくことに決めた俺は、律が持っているカゴに指を指し何を買おうとしているかを聞いてみたが、今晩の飯を作るので材料探しの旅にこのスーパーへやってきたらしい。まぁ、当たり障りのない答えなんだし飯の為以外にスーパーにくる事なんてないだろう。

「唯お姉さんは何作るのっ?!」

「男は黙ってオムライスっ」

「わぁっ、いいね!それ!」

「お前は男じゃないだろ・・・」

あんまり交流が深くなかったがかなり俺に懐いているらしい・・・ペットかこいつは・・・。が、慕われるのはいい気分だし、男友達なんてこいつぐらいなものだ。俺の高校は女子高で当たり前だが女子しかいないし、この先の大学も女子大で女子しかいないのだ。まぁ、共学でも相当困るがな主に俺自身が。
だって、そうだろう?男子達との趣味がうっかり合ってしまってその男子達がまぁ無いとは思うのだが万が一、俺の事を異性として見られることがすげー困るのだ。が、その前の小学・中学時代は共学だったので男子も居たわけなのだが・・・ああ、今思い出してしまったら鳥肌が立っちまった!
・・・そんな黒歴史を後々語るとしよう・・・(※100ページ目に100話突破記念として唯の中学時代による恥ずかしいエピソードを掲載しますのでお楽しみに。ただし、プロローグも1話として含めますので99話という題名で掲載します。なんだか中途半端な気がしますが(苦笑))

「また遊びに来てよねっ!唯お姉さん」

「おーっ。んじゃ、またね〜」

田井中姉弟に一旦別れの言葉を伝え、聡君に手を振ったらご機嫌がよろしいせいかブンブンっと手を大きく振っており若干引き気味になる俺だが若い者には負けない精神で心は折れずにスーパーを出て我が家に帰宅するのみであったーーー。

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「ただいまぁ〜」

「おかえり〜」

我が家にのほほんとした声がしてなんだか脱力感が襲ってくるが、そんなことよりもいろいろと家事とかもしなければいけないだな。

「荷物とか片づけたから。あ、お姉ちゃんのギターはお姉ちゃんの部屋ね。あとは・・・洗濯も掃除もしたし・・・」

「風呂掃除は?」

「したよ〜」

とことん手際の良さに驚きながらも、働き者の憂に労いをと、台所に行き、お茶をゆっくりと注ぎ何を心配したか憂は俺の元へと駆け寄り、俺は憂にリビングでゆっくりしてろと促せ憂は『は〜い』とのんびりとした声でそそくさとリビングへと向かい、二人分の茶が注いでいるカップを盆に載せ俺もゆっくりしたいのでのんびりした足取りで憂の元へよって座り、『どーぞ』とお茶を憂に捧げ、俺達はずず〜っと茶を啜り

『はぁ〜・・・』

本日も平沢家は平和そのものであるーーーー。

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のんびりとした時間を過ごし、いつもより遅い夕飯時に夕飯を作ろうとしていたのだ。なぜいつもより遅いのかというとやはり時差ボケでいつもなら腹減る時間なのにその傾向が見られない俺達だからだ。
が、2〜3日したらおのずと日本時間にもなれるかもしれないので何とかなるだろう。
余談ではあるが飯の当番は俺なのだ。

今晩はオムライスだな?ええと・・・まずはチキンライスだな。材料は・・・
ごはん 400g ウインナー 2〜3本(100g位) 玉ねぎ 1/2個 赤ワイン 大さじ1 ケチャップ 80g (濃いのが好きな方は多くても可)
(※この材料は約2人分です。ただ玉ねぎが若干多すぎますが)

まずウインナーを5ミリほど切り、玉ねぎをみじん切りだな。そして熱したフライパンに油を少々敷いて中火でウインナーを炒める。そして玉ねぎを入れて強火で炒める・・・。玉ねぎに油がまわったら、赤ワインを加えて強火のまま水気がなくなるまで炒める。

「お姉ちゃんやっぱり上手だね〜」

いつの間にか俺の横に立っている憂に褒められるが顔がニヤついてしまう。ちくしょう・・・わざとなのか?
ウインナーや玉ねぎ、赤ワインを入れたフライパンにケチャップを加えて強火のままケチャップが少し煮詰まる位まで炒め、ご飯を入れて混ぜながら炒めたらチキンライスの完成だ。
そのチキンライスを二つ用意した皿に均等に盛り付けだ。
次の卵焼きをするからフライパンをキッチンペーパーでキチンとふき取りまた温めなおしつつ、次の工程に移ることに。

「次は卵焼きだね」

確か卵1個 牛乳大さじ1マヨネーズ大さ1 塩(あじしお)2振りだな。(※これは一人分の材料です)
それらを一気にかき混ぜ、熱したフライパンに多めの油を敷き、ゆっくりと注ぎフライパンを傾けながら全体に広がるようにして炒める。

「半熟でいいよね?」

「うん!」

俺は野暮なことを聞いてしまったのかもしれない。オムライスの卵は半熟に決まっているのに聞いてしまった・・・まぁ、よくあるよくあるというわけで火を止め、卵をチキンライスが卵に包む感じで穴を開けないように気を遣いながら・・・

「・・・っ!よしっ!あともう一つ!」

「わぁ♪」

先ほどの工程で卵焼きを作り、また慎重にチキンライスが卵に包むようにし・・・これで後はケチャップで卵焼きに自分が好きな量ぶっかければ完成だ!

「よしっ!食べるぞ〜」

「わ〜♪いただきまーす!」

俺達は今日も平和であるーーーー。そう明日もその先も。未来永劫なーーー






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