小説『誠の時代に』
作者:真田尚孝()

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え!?壬生浪士組って新撰組の事だよな!?
ってことはこの人が沖田総司!?


「何で私の名前を知ってるんですか?場合によっては切ります!!」


げ、知らぬうちに口に出してた!?
ていうかまずい……刀をまた抜こうとしてる。仕方ない……信じてもらえないだろうけど、正直に話すしかないか。


「今から全部話しますから刀をしまってください」



……









「……ということなんです。沖田さんには到底信じてもらえるとは思いませんが」


土手に座った俺は、静かに俺の話を聞いていた沖田さんに全てを話した。
事故のこと、気付いたらここにいたこと、そして自分が150年近く後の未来から来たということを。

沖田さんは俺の話を黙って頷きながら聞いてくれた。なんかそれだけでも嬉しかった。


さっきまでは軽く考えていたけど、今は違う。本当にタイムスリップして幕末に来たんだ……映画や小説だけの話だとばかり思ってた。
しかも知ってる人は皆無。ヤバい泣きそうだ。


「成る程……勇作さんは未来から来たのですか……わかりました、信じましょう!!」


そう言って沖田さんはとびっきりの笑顔を俺に向けた。
つかマジで信じてくれるとは思ってなかった……。


「どうして信じてくれるのかって顔してますね。そりゃあ私だって最初は信じられませんでしたけど、何よりもあなたの格好とあの『くるま』という機械が決め手ですね」


そう言って沖田さんは子どもみたいにキラキラした笑顔を浮かべながら、河原に置きっぱなしの俺の愛車を指差した。
確かに携帯も出せば信じてもらえただろうけど、何よりも車が未来から来たっていう証拠としては一番だわな。


「でも良かったです。沖田さんには信じてもらえて」


ここでようやく俺は笑顔になることがてきた。なんだろう、彼沖田さんは自然と人を笑顔にさせてくれるようなほんわかしたオーラがあるんだよな。


「勇作さん!!あの『くるま』とやらを見せてください!!」

「ええ、もちろんいいですよ」


特に断る理由もないし、沖田さんに車を見せてあげることにした。

それからの沖田さんは俺の思っていた通りの反応を見せてくれた。
解錠時のイモビライザーの音やハザードに驚いたり、エンジンの音や音楽、そして何よりもヘッドライトに一番驚いていた。

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