小説『誠の時代に』
作者:真田尚孝()

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「毎年言ってるけど……早く帰ってこいよな……一体どこに行ったんだよ……」


墓に苦笑いしながら問い掛けるも、当然応えてくれる訳もない。
突然姿を消した親友……8年経った今でもまだその喪失感は大きい。

一緒に死ぬ気で勉強して共に合格した県内屈指の進学校。また同じ学校で一緒にバカできる……そう思っていた矢先の失踪だった。


「生きてるなら早く帰ってこいよな……おばさんとおじさん、今でこそ立ち直り始めてるけど、お前が居なくなった時は見てられなかったよ……」


誠太が失踪した直後は、おばさんとおじさんはあまりのショックに人が変わってしまった。
あんなに仲の良かった俺にすら冷たくなった。おばさんの親友だった俺の母さんにも……

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