小説『誠の時代に』
作者:真田尚孝()

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半回転とはいえ、勢いよく向きを変えられたため少し気持ち悪くなった。
ううっ…。


「あ、俺のことですか?」

「そうです!!あなた以外にいないでしょう」


その人は当たり前だと言わんばかりの態度だ。
なんだこの人。だけど下手に機嫌損ねるわけにはいかないか……。ここがどこか聞きたいし。


「すみません。考え事してたので……」

「全く……それよりもあなた何者ですか?異人?」


異人って……何を言ってるんだ?


「どこからどうみても俺は日本人だと思いますけど?と、言うより日本人です。どこをどう見たら外国人と間違えるんですか?」

「がいこくじん……?異人だと思う理由?その髪の毛の色です。茶色なんて日本人にはいませんしね。それよりも私の最初の質問に答えてください。あなた何者?」


さっきから話を切り出せないし、進まない。流石にイライラしてきたぞ。
つか髪の毛茶髪にしてる人見たことないのか?
これ、何かの時代劇の撮影かドッキリ?


「答えてください。それとも……答えられない理由があるとか?」


そう言ってその人は腰にある刀をゆっくりと鞘から抜いた。


「ちょっ!!そんな物騒な物出さないでくださいよ!!オモチャでもたち悪いですよ」


俺がそう言うと、はぁ!?って顔をしてきた。なんか変なこと言った?
これオモチャだろ?しっかし小道具にしてはよく出来てんな~。


ちょっとした好奇心で、俺は構えられた刀を触ってみた。
まさか触るとは思ってはいなかったらしく、彼はメンタマをひん剥いている。

だが俺が思っていたこととは違い、鋭い痛みと共に指先が切れて血が出た。









え?血?








「えぇぇぇえっ!?切れたし!?」


オモチャだと思っていた代物はまさかの本物。軽くパニックになっていると、彼は刀をしまってやれやれと言った様子で懐から布を取り出した。

-8-
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