小説『ハイスクールD×D 不屈の翼と英雄龍』
作者:サザンクロス()

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            『前哨戦』




聖剣エクスカリバー破壊を決意してから数日後。四人は放課後、エクスカリバーの捜索を続けていた。芳しい結果が出てないのは教室の自分の席に座っている夜明の表情から推して計るべし。

「はぁ……」

リアス達には適当に誤魔化しているが、ばれるのも時間の問題だ。実際、リアスは夜明達の行動を怪しんでいる。今まで気付かれないでいるのは、彼女の隣りに最大の安心材料、太陽がいないからだろう。

(太陽がいない間に終わらせないとな)

あいつ、がさつに見えて滅茶苦茶鋭いからな〜、と思う一方、こちらの心情を汲んで黙っててくれるかもしれないと考えられるのも確かだ。

「どうした夜明。最近、難しい表情ばっかり浮べてるが」

目を閉じて二度目のため息を吐いていると名を呼ばれた。目を開くと、目の前には悪友二人が並んでいる。

「ま、色々あんだよ」

夜明が適当に返事をすると二人、元浜と松田が意味有りげな笑みを浮べた。

「分かってるさ親友……どうせあれを考えてたんだろ?」

「そう……リアス先輩の胸と姫島先輩の胸、どちらを揉むべきかを」

「死ね」

自分が難しい表情を浮べている=エロいことを考えている。とんでもない連想をする二人に夜明は迷わず言い放ってやった。三度嘆息し、夜明は目の前で騒いでいる二人を無視して放課後の探索について考えた。














放課後、集合した四人は敵を誘き寄せるためにそれぞれ神父、シスターの格好をする。十字架は作り物だ。準備を整えた四人は出来るだけ人気の無いところを中心に歩き回った。今日こそ何かしらの手がかりを見つけたいと意気込む四人だが、結果は、

「尻尾は掴めずってな」

匙が残念そうに呟く。今回の件で一番気合いが入ってるのは彼だったりする。結果こそ出てないが、その働きは夜明達の目を丸くするほどのものだった。あんな風にこの件に巻き込んだのに……。夜明は申し訳なさに胸が締め付けられる想いだ。ふと、先頭を歩いていた木場の歩みが止まる。それと同時に夜明が天を仰いだ。

「祐斗先輩、夜明先輩……?」

不思議そうに二人に視線をやる小猫だが、何かを感じたようだ。コンマ一秒、背筋に悪寒が走る。

「上だ!!」

匙の叫びが届く前に夜明は自身が纏っていた神父服を剥ぎ取り、同時に三翼を展開させて飛翔。創造した銀翼蒼星で真上から襲い掛かってきた白髪神父を迎え撃った。

「神父の一団にご加護あれ……って英雄龍ちゃんじゃござせんかい!」

「久しぶりだな、若白髪」

白髪少年神父、フリードと離れる。着地した夜明の横から魔剣を構えた木場が飛び出し、細長く黒い何かが伸びてきた。

「伸びろ、ライン!」

振り返ると、黒いトカゲをデフォルメさせたようなものを手の甲に装備させた匙の姿が見えた。黒いラインはそのトカゲの口から伸びている。匙の隣りでは小猫がシスター服を無造作に放り投げていた。

「うぜぇっす!」

フリードは携えていた長剣で伸びてくる黒いライン、舌を切り払おうとするが、舌は斬撃を避けてフリードの脚へと巻きついた。すぐにフリードは舌を斬ろうとするが、幽霊のようにすり抜ける。

「ちょっとやそっとじゃそいつは斬れないぜ! 木場、存分にやっちまえ!」

言われなくとも、と言わんばかりに木場はフリードへと打ちかかった。魔剣二刀と打ち合いながらフリードは納得したように笑みを浮かべる。

「複数の魔剣……はっは〜ん、イケメンくんの神器(セイグリッド・ギア)は『魔剣創造(ソード・バース)』だな? レア神器(セイグリッド・ギア)を宿しているだなんて羨ましいねこのこの!」

にぃ、とフリードは笑みを深めた。

「でも、そんなんじゃ俺っちのエクスカリバーちゃんには勝てないぜ!」

宣言通り、フリードは木場の魔剣二つを打ち砕いた。木場が次なる魔剣を創り出す前にフリードは致命打を与えようとするが、十数の武具と共に飛来した紅の閃光がフリードの追撃を許さない。

「赤原猟犬(フルンディング)!!」

「邪魔だっての!!」

正確に頭部を狙って飛んできた赤原猟犬(フルンディング)を打ち払う。その間に木場は体勢を立て直して魔剣を創造していた。しかし、再びフリードの一撃で木場の魔剣は破壊された。

「ちっ、小猫!!」

「分かってます!」

手近にあったドラム缶を担ぎ上げ、小猫は木場を切ろうとするフリード目掛けて力の限り投擲する。それと同時に夜明は上空へと舞い上がる。両手に握られた銀翼蒼星からは蒼銀のオーラが放たれていた。

「木場ぁ、離れろ!!」

フリードが飛んできたドラム缶を避けると、真上から夜明の声が降ってくる。大上段に二刀を振り上げた夜明を見て、一瞬迷ってから木場はその場から離れた。

「はっ! 英雄だか何だか知らねぇけど、最強の聖剣ちゃんには勝てませんよ……っ!」

迎撃の姿勢を見せてたフリードだったが、オーラを放つ銀翼蒼星から何かを感じ取ったのか後ろへと跳んだ。コンマ数秒後、さっきまでフリードが立っていた場所に二刀の切っ先が振り下ろされる。ゴォン! と凄まじい衝撃と破砕音が刀身が触れてた部分を吹き飛ばした。仲間であるはずの木場達、敵であるフリードも目を丸くして、立ち上る砂塵を見ていた。

「勘の良い奴だな」

忌々しそうに呟きながら朦々とする砂煙の中から夜明が現れる。さっきまでオーラを纏っていた二刀は何時も通りの姿へと戻っていた。

「何っっっっですかそのふざけた威力はぁ!?」

驚愕に顔を染めるフリードに銀翼を突きつけ、ただ夜明は不敵に笑う。何のことは無い、夜明はエクスカリバーの一つ、『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』の概念を二刀に与えたのだ。幾ら直接刃を合わせたとはいえ、神器(セイグリッド・ギア)に目覚めて間もない夜明が聖剣の能力を、それも即興で創造したことに、同じ創造系の神器(セイグリッド・ギア)を宿す木場は内心で脱帽していた。

「木場、ぼさっとしてんじゃねぇ!!」

夜明に怒鳴られ、木場は慌てて意識をフリードへと向ける。魔剣を創造すると同時に『騎士(ナイト)』の特性である超スピードを発揮し、神速の動きでフリードへと肉薄する。とても人間の動体視力では追い切れない速さをフリードは確実に捉えていた。

(どういうこったあの若白髪? 前に戦った時もそうだったが、今回はそれに輪をかけて異常だぞ!)

まして、今回の木場はエクスカリバーへの怒りで多少なりとも身体能力が上がっている。それを視認し、尚且つ応戦するなど最早人間業ではない。

(奏者よ、奴の持っている長剣を見よ!)

ブレイズハートに言われたとおり、夜明はフリードの持っている長剣を見る。迅雷の如く動き回る木場が投げる無数の魔剣を全て捕捉し、切り裂いている。その速さは完全に人間の枠を逸していた。

(奴が持っているあの長剣が奴に尋常ならざる速さを与えているようだ! 恐らく、エクスカリバーの能力の一つだろう!)

「(エクスカリバーの能力の一つってことは)……木場ぁ! こいつ使え!!」

夜明は紅の魔槍を創造すると、木場目掛けて放り投げた。木場の手に届くまでの間に魔槍は色と形を変え、木場が普段使い慣れているような魔剣へと姿を変える。

「これは……! 成る程、そういうことか!」

魔剣をキャッチした瞬間にそれが何なのか理解する木場。同時に夜明の意図を察し、木場は超高速でフリードへと接近した。

「無駄無駄無駄ぁ!! 俺様のエクスカリバーは『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』! 速さなら騎士(ナイト)くんにだって負けないよん!!」

その言葉通り、フリードの振るう聖剣が見えなくなる。迫る兇刃を全て紙一重、辛うじてかわした木場は夜明から受け取った銀の魔剣で聖剣を受け止めた。

「ひゃっは! 何を作ったか知らないけど無駄無駄ぁ! エクスカリバーに魔剣が敵うわけっ!?」

再び、フリードの顔に驚きの色が浮かぶ。それもそのはず、難無く魔剣を打ち破ると思っていたはずの『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』が銀の魔剣と火花を散らして鍔迫り合っているのだから。しかもそれだけではない。銀の魔剣の刃に聖剣が触れた瞬間、フリードの速さががくっと落ちたのだ。

「ちぃ!」

「逃がさない!」

フリードが後ろへと跳ぶ。木場は銀の魔剣を聖剣に押し付けたまま逆の手に魔剣を創造し、フリードへ斬りかかった。しかし斬る寸前に銀の魔剣が消えてしまい、速さを取り戻したフリードに致命の一撃は与えられず、胸を浅く斬るに留まる。

「浅い!」

「ちっ、持続時間が短い。悪いな木場。流石に神器(セイグリッド・ギア)を別の形にして創造するのは今の俺には難しいみたいだ」

『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』を魔剣として創り出した『破魔の銀剣草(ゲイ・ジャルグ・シルバーソード)』。魔剣を扱う木場に合わせて創造したのはいいが、神器(セイグリッド・ギア)その物を別の形にするのはまだ無理なようだ。謝る夜明に木場は構わないと手を挙げる。夜明の助力があったとはいえ、エクスカリバーに自分の魔剣が届いた。それが意味する事は木場にとって大きかった。

「何ですかこれぇ〜? 何で俺が血なんか流しちゃってるのよ? エクスカリバーを持った最強無敵の俺が……ふざけんじゃねぇぞくそったれ悪魔がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

信じられない、と全身で表しながら木場に斬られた傷を撫でていたフリードが耳障りな叫びを上げる。持ち主の怒りに呼応するように『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』は尋常ならざる速度をフリードに与える。『騎士(ナイト)』である木場を上回る速さで夜明達に突撃してきた。

「させるかよ!」

不意にフリードが体勢を崩して盛大に転ぶ。匙が舌で引っ張ったのだ。舌の活躍はそれだけに留まらず、フリードの力を吸い取り始めた。吸い出されたフリードの力が舌を通して匙へと流れていく。

「こいつ、俺っちの力を吸収してるのかよ!」

「こいつは『黒い龍脈(アブソーション・ライン)』だ! こいつに繋がれた以上、その舌を切り離さない限りお前の力は俺に流れてくるのさ!」

「そんな凄ぇ神器(セイグリッド・ギア)だったのかあれ……」

見た目からしてかなりのネタ臭が漂っていたので、夜明には匙の神器(セイグリッド・ギア)が活躍している事が大きな驚きだった。転んだフリードに拳を固めた小猫が迫る。拳打を叩き込まれる寸前にフリードは横に転がって直撃を避けたが、衝撃波で吹き飛ばされる。跳ね起きたフリードの視界に得物を手にした木場と夜明が飛び込んできた。

「くそが!!」

その時だ。

「ほぉ、『魔剣創造(ソード・バース)』と『英雄龍の翼(アンリミテッド・ブレイド)』か。使い手の技量次第では無類の力を発揮する神器(セイグリッド・ギア)だな」

突然の第三者の乱入に二人の動きが一瞬止まる。その間にフリードは体勢を立て直した。声の方に視線を飛ばすと、神父服の初老男が立っていた。

「バルパーのおっさんか……」

「ってこたぁ……この一件のそもそもの原因がそこに立ってるじじいってことか」

この男が『聖剣計画』なんてやらかさなければこんな事にはならなかったので、夜明の言もあながち言い過ぎではないだろう。

「バルパー・ガリレイ!」

「如何にも」

瞳に憎悪を滾らせる木場に堂々と応える。大した度胸だ、と夜明が感心しているとバルパーがフリードへと視線を投げた。

「フリード、何をしている?」

「見て分かれやおっさん! このトカゲのべろちゃんが邪魔で思うように動けねぇんだよ!!」

「お前の中にある『因子』をもっと有効活用しろ。そうすれば聖剣の切れ味も自ずと増す」

バルパーの言うとおりにフリードが何やら始める。すると聖剣にオーラが集まり、その輝きを増した。

「そらよっと!」

フリードが振るった聖剣は今度こそ匙の神器(セイグリッド・ギア)を切り裂いた。このままじゃ逃げられると判断した夜明は鎖を創造してフリードとバルパーに投擲しようとしたが、

「逃がすものか!!」

真横を猛スピードで駆け抜けた何者かに集中を阻害される。軽く舌打ちしながら夜明はフリードと火花を散らしている人物を見た。

「聖剣使いの片割れか!」

「私もいるわよ夜明くん!」

その場にイリナも駆けつけた。聖剣使い二人が加わった状況ならフリードとバルパーを逃がさずに済ませられるか、と考えるがすぐに頭の中で敵を捕まえられる可能性を捨てた。正直言ってこの二人がそこまで頼りになるとは思えない。夜明はフリード達と改めて交戦しようとはせず、独自に動き始める。

「反逆の徒、フリード・セルゼンとバルパー・ガリレイ。神の名の下にお前達を断罪する!」

「はっ、俺の前で今更神の名を出してんじゃねぇよ売女!!」

ゼノヴィアと切り結びながらフリードは懐から光の球を取り出す。

「バルパーのおっさん! コカビエルの旦那に報告するためにもここは退くぜ!」

「致し方あるまい」

フリードが光の球を地面に叩きつける。眩い閃光が周囲を満たし、その場にいた者達の視力を奪った。その中で夜明は走り去っていく二つの影目掛け何かを投げつけた。

「追うぞイリナ」

「了解!」

「僕も追わせてもらおう! 逃がすか同志の敵!!」

二人を追うゼノヴィアとイリナに続き、木場が走っていく。

「お、おい木場! 行っちまったか。月光、俺達はどうする?」

「そうさな、俺達は……」

匙の問いに夜明はう〜んと頭を掻きながら後ろを振り返る。今は慣れた人物と、そうではない人物の気配を感じたのだ。

「力の流れが不規則になってると思ったら……」

「匙、どういうことか説明してもらえますね?」

「とにかくこの場を切り抜けるか」

そこにはリアスとソーナの姿が。夜明が顔を引き攣らせ、匙が真っ青になったのは記すまでも無い。














「エクスカリバー破壊って……」

呆れて何もいえない、と表情で語るリアスの前で夜明と小猫は神妙にしていた。その横ではソーナに詰め寄られている匙が危険を感じさせるほどに顔を青ざめさせている。

「祐斗はそのバルパーを追っていったのね?」

「はい、聖剣使い二人と一緒に」

そうそう、と夜明は延べ棒の様なものを取り出してリアスへと手渡した。

「これは?」

「探知機みたいなもんですね。それと対になる物をバルパーかフリードのどっちかに取り付けときました。対になってる物をつけた方が近づくと、そいつが光って教えてくれるって寸法です」

ちなみに距離が近ければ近いほど光は強くなっていきます、と夜明は簡単に説明する。リアスは頷きながら延べ棒をしまい、押し黙っている小猫と向き直った。

「小猫、何でこんなことを?」

「……祐斗先輩がいなくなるのは嫌です」

正直に自分の想いを口にする小猫にリアスもきついことは言えなかった。

「過ぎた事を言っても仕様が無いわね。でも、あなた達がやったことは悪魔の世界に大きな影響を及ぼしたかもしれないのよ。それは分かってるわね?」

「……はい」

「すみません」

二人が頭を下げると、バシッ! バシッ! と何かを強く叩く音が聞こえてきた。音の発生源へと視線を向けた夜明は盛大に顔を引き攣らせる。

「うわぁぁぁぁぁん! 会長、ごめんなさい! 許してくださいぃぃぃぃぃ!!!!!」

「駄目です。貴方には反省が必要です」

匙はソーナに尻を叩かれていた。それも魔力を込めた手で。その姿が余りにも哀れで申し訳なく、夜明は無意識の内に一歩を踏み出していた。

「あの、会長さん違うんです! 匙は何も悪くないんです! 俺が拉致同然に協力させたのであって」

「だとしても、匙が自分の意志で君達に力を貸してたことに変わりはありません」

『黒い龍脈(アブソーション・ライン)』を使っていたのが何よりの証拠、とソーナは手を緩めなかった。あぁ、俺じゃこの人は止められないと理解した夜明はその場に土下座していた。

「匙ぃ!! マジですまんかったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

主に尻を叩かれる眷属悪魔。それに土下座をしている光景はとてもシュールだった、と後に小猫は詳しいことを聞きたがる太陽にそう語ったとか……。








































































































〔さてさて、そろそろコカビエルと接触するかな。どれだけ成長してくれるか、楽しみだなぁ……君がここに来るなんて珍しいね、ブレイズハート。何時振りかな?〕

『……さぁな』

〔で、何の用? まさか私に会いに来ただけ、何て言わないよね?〕

『当たり前だ……単刀直入に聞くぞ。貴様、何が目的だ?』

〔目的ねぇ……強いて言うなら気紛れかな?〕

『とぼけるなエジソン! 貴様が己から動くのは決まって何かを企んでいる時だ!』

〔あ、やっぱばれてた?〕

『吐け。もし奏者に害を及ぼそうとするなら余が貴様を』

〔そんなことしないよ、君に何をされるか分かんないしね。それにしても奏者、ね。今回の宿主に随分と入れ込んでるんだね。ま、当然か。あそこまで君のことを気遣ってくれて、尚且つ知ろうとする宿主なんていなかったし〕

『話を逸らすな。貴様、何が目的で奏者に手を貸した。聖剣の力のみを創造して別の武器に付与するのはともかく、神器(セイグリッド・ギア)を別の形に変えるなんて今の奏者では出来ん』

〔そうでもないよ。彼の伸びは異常だからね。今回の一件が終わる頃には私の力を借りなくてもそれ位出来てるようになってるよ〕

『その発言、先の戦いでは奏者に手を貸した、と判断して良いのだな』

〔まぁねぇ〜……ブレイズハート、私の目的はね。彼に協力してもらって今までにないことをすることさ〕

『どういうことだ?』

〔恐らく、彼は至るだろう。歴代ブレイズハートの中でも私を含めて四人しか発現できなかった『英雄龍の翼(アンリミテッド・ブレイド)』最大にして最強の力、『創世』に。それも遠くない未来にね〕

『うむ、それに関しては余もそう思っていた。恐らく奏者は当分もしない内に『禁手化(バランス・ブレイカー)』を会得するだろう』

〔そんな才能溢れる彼に私達……『創世』に至った四人、『四世(しせい)』。つまり『悪魔の発明』、『征服王』、『バビロンの妖婦』、『救世の破壊神』が手を貸したらどうなると思う? きっととんでもない事が起こるよ。もしかしたら『禁手化(バランス・ブレイカー)』をも超えるかもしれない!〕

『……本気かエジソン? 『征服王』はまぁ協力してくれるだろう。あの男は基本、友好的だからな。それに『バビロンの妖婦』も力を貸してくれるだろう。奏者は美男だし。だが彼女は『救世の破壊神』は』

〔分かっているよ、ブレイズハート。『救世の破壊神』がどんな存在だというのかもね……それでも私はこう思うんだよ。彼なら、夜明なら彼女を救えるかもしれないって……〕

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