『赤、来る』
「生きてるって素晴らしいな……そう思わないか、ミリキャス?」
「よ、夜明兄様。口から何か白いのがはみ出てますよ?」
翌日の朝、夜明の口からはみ出しているものをミリキャスが必死に押し戻していた。現在、二人はグレモリー邸の中庭にいた。他の皆は太陽を除いてシトリー領に遊びに、太陽はサイラオーグに呼ばれてそれぞれ出かけている。そしてこの二人は例によって勉強に励んでいた、さっきまで。
「もう、これといって覚えることとかないんだけどねぇ〜」
「僕も夜明兄様も決められた範囲は終わらせちゃいましたからねぇ」
夜明の頭がかなり良いということもあり、勉強は早く終わった。やることも他にやることもこれと言ってなかったので、二人は今こうやって中庭で、
「んで、こんな感じのポーズとかはどうだ?」
「う〜ん、僕はこうした方が良いと思います」
色々とポーズを取っていた。名づけて、夜明の変身ポーズを考えようの会、である。
「俺は英雄の子! ドラゴンヒーロー、ブレイヴ!! なんてのはどう思う?」
「英雄の子っていうのが今一しっくり来ないですね。もう少し簡潔にしてみたらどうでしょう?」
「俺、推参!! とか?」
「それだと簡潔過ぎる気がします……」
何はともあれ、二人は楽しそうだった。
「相変わらずシトリー領は自然豊かね。美しい景観には心奪われるばかりだわ」
「ありがとう。シトリー領の自慢の一つよ」
ソーナと匙、二人の案内でシトリー領を巡っていたリアス一行。今はシトリー領の中央にある都市のカフェで休んでいた。
「……」
ふと、通りを歩いていく者達を見ていたリアスの目が遠くに向けられる。同じテーブルについていたソーナは彼女が何を考えているのか一瞬で察したらしく、小さく苦笑した。
「夜明君のこと、考えてるんでしょう?」
「え? べべべべべ別にそんなことなななないわよよよよよよよ!?」
動揺しすぎである。顔を真っ赤にして否定するリアスにソーナは苦笑いを深めた。
「……えぇ、そうよ。悪い?」
やがて、リアスは頬を膨らませながらそっぽを向いた。あらやだ、この子可愛い。とソーナが思ったのは内緒だ。
「シトリー領を回っている間、何度も思ったわ。夜明と一緒に見たかったって……お父様もお母様も性急過ぎるわ。あんな詰め込むみたいに夜明に勉強を……」
「仕方が無いんじゃない。それだけ夜明君が期待されているということよ」
それに、とソーナはぶつぶつ呟いているリアスから視線を移す。彼女の目線が向けられた先にはお茶を楽しむグレモリー眷属(女性陣)の姿があった。
「ライバルも多いようだし」
ちなみに匙と祐斗は共に超えたい対象が一緒という事もあり、話に花を咲かせていた。
「これからあの子が何人の女性を落としていくのか楽しみで仕方ないわ。うふふ……」
虚ろな笑みを口元に貼り付けるリアス。その身体から放たれるオーラたるや、瘴気と呼んで差し支えの無い代物だった。大変ね、としみじみと呟きながらソーナはコーヒーを一口啜る。そう思う反面、これ程の恋が出来るリアスを羨ましくも思ってたりしていた。
「ま、頑張りなさいな。時間があれば、愚痴くらい聞いてあげるわ」
「うん、ありがとう……ん?」
訝しげな表情でリアスが顔を上げる。釣られてソーナもリアスの見ている方を振り返った。二人の男を先頭に近づいてくる集団が見えた。一人は白いスーツに長い白髪、眼鏡の紳士然とした男。もう一人は黒い服、目のマークがついた帽子と顔中につけたピアスが特徴的なストリートギャング風と、対照的な格好をしいている。二人の背後に控えている十数人の者達は須らくコートについたフードを深く被っており、年齢も性別もはっきりとしなかった。
「ソーナ・シトリー様ですか?」
「えぇ、そうですが、貴方は?」
やや警戒したような表情のソーナに紳士然とした男は歩みを止めて失礼、と頭を下げた。
「私達、冥界の美しい風景を見て回るというツアーをしていましてね。今はシトリー領を回っていまして」
「たまたまシトリー様を見かけたから、一応、挨拶をしようって」
「それは態々どうも……」
柔和な物腰に多少警戒心は薄れたものの、ソーナの顔はまだ固かった。少し離れたテーブルについていた皆も異常に気付いたのか、リアス達に視線を向けている。先頭の男二人とソーナが話しているのを横目に見ながらリアスはフードの集団を注視していた。さっきから何も言わず、微動だにしない。ツアー中と言うにはかなり異様な連中だ。ふと、リアスはコートの中に動くものを見る。
「っ!! 祐斗、ゼノヴィア!!」
それが何か気付くと、リアスは『騎士(ナイト)』二人の名を叫んでいた。主の声に即座に反応し、祐斗とゼノヴィアは蹴り倒すように席から立ち、ソーナの前へと飛び出す。次の瞬間、けたたましい発砲音と金属音が周囲に響き渡った。
「「……」」
それぞれの得物を手にしたグレモリーの『騎士(ナイト)』二人が剣呑な目つきで男二人を見据える。足下には斬り弾いた無数の弾丸が転がっていた。良い反応だ、と紳士風の男が二人を賞賛する。
「ま、流石にこれくらい防ぐよなぁ。だから言ったろ兄ちゃん。やるにしたって、もうちょいマシな武器(もん)使ったほうが良いって」
帽子のほうが後ろを振り返る。フードの集団がコートの中から硝煙を放つ銃口を突き出していた。突然響いた銃声に通りを行きかう人々が騒然となる中、リアスは眦を吊り上げて二人を睨む。
「いきなり攻撃とは風雅に欠けるわね」
「かのご高名なグレモリー眷属なれば、この程度のもの、攻撃とは呼べぬでしょう」
仰々しく、人を喰ったような態度で紳士然の男がお辞儀をする。他の眷属、ソーナと匙が戦闘態勢に入ったのを横目に確認し、リアスは視線を二人へと戻す。
「現レヴィアタンを輩出したシトリーの領地で堂々と攻撃とは恐れ入るわ……『禍の団(カオス・ブリゲート)』かしら?」
否。二人は首を振る。ならば、答えは一つしかない。
「ミレニアム……」
小さく囁いた小猫に然り、と答えが返ってくる。
「ミレニアム所属、ルーク・ヴァレンタイン」
「同じくミレニアム所属、ヤン・ヴァレンタイン」
紳士然、ストリートギャング風が順に名を名乗った。
「目的は何かしら?」
「目的、ね……そういや何だっけっか兄ちゃん?」
「そうだな……偵察二割、暇潰し八割、といったところか」
「……真面目に聞いてるのだけれど」
リアスの全身から紅のオーラが溢れ始める。おっかねぇ、とおどけてみせるヤンの横でルークは肩を竦めて見せた。
「こちらも真面目に答えているのだがね。まぁ、今回の我々の行動に少佐の意志は関係してない、とだけ言っておこうか」
少佐。『駒王協定』の際に対峙した狂気の塊のような人物。その時のことを思い出し、リアスの背筋に僅かに鳥肌が立つ。
「強いて言うなら、君達グレモリー眷属がどれ程のものか確かめにきたのさ」
もっとも、とルークはリアス達の顔を順々に見ていく。
「核となる二人はいないようだがね」
名前は出てないが、ルークが誰を指しているかは明々白々だった。月光夜明と夕暮太陽。ヒュッ、と小さな風切りと共に鈍く光る何かがルークの顔目掛け飛ぶ。ルークは慌てることなく指二本で何かを受け止め、マジマジと観察した。
「『英雄龍』と『深紅の死神(スカーレット・デスサイズ)』だけがグレモリー眷属だと思わないで欲しいな」
聖魔の短刀を投擲した片腕をゆっくりと下ろし、祐斗は燃えるような目でルークを睨む。更にそこへ、
「その通りですわ」
バヂヂヂヂヂヂィィッッッ!!!!!
大出力の雷光がルークとヤンの背後を駆け抜けていった。二人が振り返ると、付き従っていたコート達が綺麗に消し炭と化していた。パチパチ、と両手に黄金の雷を纏わせながら朱乃は口元にサディスティックな笑みを貼り付ける。
「貴方達程度が相手なんて、夜明君と太陽には役不足ですわ。私達だけで十分」
「あ〜あ、やられちまったよ」
「流石にこの数は少なすぎたか」
配下全員を一撃の下に屠られたにも関わらず、ヴァレンタイン兄弟は全く動揺していなかった。
「ヤン、さっきの十倍の数を出せ」
「あいよ、兄ちゃん……『屍鬼葬列(グール・フューネラル)』」
ヤンが指を鳴らすと、周囲の地面から黒い霧のようなものが立ち上り始めた。最初は数箇所だけから発生していたが、瞬く間に数が増えていく。黒い霧は人間大にまで大きくなると、その場で形を成していった。現れたのは病的なまでに青白い肌と欠片の生気も感じられない瞳を持った武装集団だった。
「この感じ、まさか屍鬼(グール)!?」
「ってことはこれ全部、死人ってことですか!?」
目を見開くソーナの横で匙が屍鬼の数をかぞえる。出現した屍鬼は数十体、尚増え続けている。それぞれの手に銃器を持ち、召喚主であるヤンの指示を待っていた。
「それでは始めようか。そちらがへたばるのが先か。それともこちらの屍鬼のストックが切れて撤退を余儀なくされるのが先か」
「グレモリー眷属+α×二処刑タイム、はっじまっるぜ〜」
ヴァレンタイン兄弟が武器を取り出すのと同時に屍鬼達が武器を構える。百以上の刃が不気味に輝く中、リアスは心の中である人物の名を呼んでいた。
(夜明……!)
「……」
「どうかしたんですか、夜明兄様?」
中庭でミリキャスと遊んでいる最中、ふと夜明の表情が曇った。少しな、と応える夜明の表情は曇ったままだ。その時、丁度良くミリキャスのお腹が鳴った。目を向けると、頬を赤くさせたミリキャスと視線がかち合う。時刻は昼時、昼食にはいい時間帯だろう。
「何か食べさせてもらうか」
はい、と元気良く答えたミリキャスを肩車し、夜明はグレモリー邸の中を歩いていった。何しろ、広いのでどこに行くにしても時間がかかる。中庭からキッチンに行くには五、六分ほどかかるのだが、今回は運良く廊下の途中でグレイフィアと鉢合わせた。
「夜明様、どうかされたのですか?」
「あぁ、グレイフィアさん。丁度良かった。何か食べれるものってあります? ミリキャスが腹減ったみたいで」
「分かりました。すぐに何かご用意いたします」
あぁ、それと、と夜明はミリキャスを下ろしながら問う。
「ここからシトリー領に行くにはどうすればいいですか?」
「シトリー領、ですか? それならこの方角を真っ直ぐに飛んでいけば」
グレイフィアは窓の外を指差す。ども、と頭を下げ、夜明は窓枠へと手をかけた。
「夜明様?」
「夜明兄様?」
困惑気味の二人を振り返る。ちょっくら出かけてきます、と夜明は軽く手を振り、そのまま外へと飛び出した。
「ここなら誰も巻き込まないか」
中庭まで来ると、夜明は周囲に誰もいないことを確認する。唐突にアンリミテッド・ブレイドを展開させ、片手を頭上へと掲げた。すると、持ち上げられた手に紫電が走る。
「現英雄龍、月光夜明が朋友、イスカンダルと共に覇権を問う!!」
高らかに叫ぶや、雷を纏った手を振り下ろす。刹那、轟音が地を揺るがし、雷鳴がグレモリー邸を照らした。派手な登場だなおい、と呆れとも感心ともつかぬ表情で夜明は眼前に現れたものを見る。
「ま、元々ゼウスに捧げられるはずのもんなんだから、これくらいは当然か」
頼むぞ、と夜明は轅に繋がれた二頭の神牛を叩き、壮麗に飾られた御車台に飛び乗った。
「行け、神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)!!!」
夜明の声に応じ、神牛は嘶きを上げながら地を蹴り、天に向けて疾走していった。
「ふんっ!!」
横薙ぎに振り抜かれた紅滅鎌が何体もの屍鬼を両断する。リアスの滅びの斬撃で屍鬼は身体のほとんどを消し飛ばされていた。辛うじて残った部分が地面で蠢いているが、それに戦闘力は残されてない。
「リアス!」
足首を掴もうとしてくる手を蹴り飛ばしたリアスの背にソーナの声が投げかけられる。ソーナの声にリアスが周囲を見回すと、十数体の屍鬼が彼女を囲んでいた。紅滅鎌の刃を形成する滅びの魔力が増大するのと、屍鬼達がリアスへと飛び掛るのがほぼ同時。
「鬱陶しいわよ!!」
紅の軌跡が輪を描く。紅滅鎌の刃に触れた屍鬼を影も残さず掻き消されていった。リアスは手を止めず、紅滅鎌を高々と振り上げる。リアスの視線の先には屍鬼の召喚主であるヤン・ヴァレンタインが立っていた。
「喰らいなさい!!」
振り下ろされた紅滅鎌から三日月状の魔力が放たれる。紅の斬撃は地面を削りながらヤンへと向かっていった。しかし、ヤンを守るように屍鬼達が陣形を組む。屍鬼達に直撃した紅い三日月が巨大な魔力の柱を立ち上がらせた。舞い上がった砂塵がヤンの姿を覆い隠す。
「へ〜、中々やるじゃん」
粉塵が晴れると、そこには無傷のヤンがリアスをおちょくるように拍手していた。口の中で毒づきながらリアスはもう一回、紅滅鎌の刃を放とうとするが周りの屍鬼達がヤンへの攻撃を許さない。その屍鬼達を倒す間に召喚された屍鬼がヤンを守ってしまう。
「一撃が届かない!」
「とにかく数が多すぎるわ! この手の神器(セイクリッド・ギア)は使い手を倒さなければ止められない……!」
リアスとソーナがヤンへ攻撃するが、悉く屍鬼に防がれる。ヤンを守る屍鬼を全て倒しても、他のを相手にしている間に別の屍鬼を召喚されてしまう。同じことの繰り返しだ。
(このままじゃ数に押し潰されてしまう!)
少し離れたところでは朱乃が雷光で屍鬼を一掃しているが、倒す速さがヤンの召喚速度に追いついていない。小猫は仙術、ギャスパーはヴァンパイアの力を使って奮闘しているが、疲れが表情に表れてきている。アーシアの回復も疲れまでは癒してくれない。匙も隙を見てはヤンに向けてラインを伸ばしているが、屍鬼に邪魔されている。
(祐斗とゼノヴィアは……!)
この状況を打破できるであろう速さを持った『騎士(ナイト)』二人はルーク・ヴァレンタインを相手に高速戦闘を繰り広げていた。
「はっはっは、まだついてこれるか! では、もう少し速度を上げよう!!」
「まだ速くなるのか、この男は!?」
「これ程の使い手だったのか……!」
神速で動くゼノヴィアと祐斗。ルークは両手のカービン銃を操り、二人を上回る動きで翻弄していた。
「足元がお留守だ!」
カービン銃から吐き出された弾丸がゼノヴィアの右足首を撃ち抜く。地面に叩きつけられるようにゼノヴィアは倒れた。
「ゼノヴィア!?」
「仲間を気にしている余裕があるのか!」
一瞬でルークは祐斗に肉薄し、顔目掛けて膝蹴りを打ち込んだ。祐斗は反射的に右手で顔を庇って直撃を避けたが、余りの衝撃に手が痺れて聖魔剣を落としてしまう。反撃を諦め、祐斗はゼノヴィアを抱きかかえてルークから距離を取った。
「アーシアさん、ゼノヴィアをお願い」
「わ、分かりました!」
ゼノヴィアをアーシアに任せ、祐斗は聖魔剣を創りながら構えを取る。
「この程度か、グレモリー眷属。それにシトリー?」
手の中でカービン銃を回しながらルークは挑発的な笑みを浮かべる。
「やはり英雄龍と死神がいなければお前達は「兄ちゃん、そろそろ屍鬼のストックが切れるぜ」……それなりにやるようだな」
咳払い一つし、ルークは隣に歩み寄ってきたヤンに指示を飛ばす。
「屍鬼を全て召喚しろ」
「あいよ」
ヤンが指を鳴らす。二人を守るように屍鬼が次々と現れる。その数、優に百を超えていた。この圧倒的な物量に呑まれたら一たまりも無い。
「Chao!」
リアス達が絶望的な表情を浮べる中、ヤンは屍鬼に一斉攻撃の合図を出そうとしたその瞬間、耳を聾する轟音が轟いた。咄嗟に目を覆わせるほどの閃光と大気を振動させる衝撃。そして、猛々しき咆哮が天から降りてくる。
「AAAAAALaLaLaLaLaie!!!!!!!!!!!!!!!」
それは雷を纏い疾走する戦車だった。その驀進は木っ端の如く屍鬼を吹き飛ばし、二頭の神牛はまるで無人の野を走るかのように屍鬼の群れを蹂躙する。眼前の敵を踏み倒さんと振り上げられる神牛二頭の蹄。ヤンには振り向く暇さえなかったが、間一髪ルークに助けられた。戦車は屍鬼のほとんどを轢殺しながら急停止し、反転する。
「へぇ、避けたか。完全に不意を打ったと思ったんだけど……」
やるじゃん、と戦車の上から人影が飛び降りる。人影は労うように神牛の肩を叩き、それから言葉を失っているリアス達の方を振り返った。その人物が誰だか分かると、皆は揃って目を丸くする。
「夜明! 何でここに!?」
皆を代表し、リアスが疑問を投げた。いや何でって、と夜明は苦笑を浮かべながら肩を竦める。
「貴方の危機なんだ、どこへだって駆けつけますよ。例えそこが冥府の果てだろうと、次元の狭間であろうともね」
片目を瞑り、悪戯っぽく笑って見せた。彼にしては珍しい、歯の浮くような台詞だ。夜明の言葉に感極まったのか、リアスは夜明に走りより、彼に抱きついていた。
「うおっ!?」
顔を赤くして驚く夜明に構わず、リアスは更に強く抱きつく。困ったように頭を掻いていると、リアスと視線が合った。吸い込まれるような碧眼と至近距離で見つめ合い、夜明の顔は棗のようになっていた。
「月光、リアス先輩! ストロべリってるところあれですけど、まだ敵がいますから!!」
匙の声に現実に引き戻される二人。向けられるルークとヤンの呆れの視線、グレモリー眷属女性陣から放たれる殺意が痛かった。
「と、とりあえず部長、離れてください」
「え、えぇ」
リアスを後ろに下がらせ、仕切りなおすように咳払いし、夜明はルークとヤンを見据えた。
「で、お前ら何? 『禍の団(カオス・ブリゲート)』か? それとも『ミレニアム』?」
「夜明、その二人は『ミレニアム』に所属してるみたいだ」
疑問の答えは前からではなく、後ろから返ってきた。サンキュ、と祐斗を振り返り、夜明はアンリミテッド・ブレイドを展開させる。
「ま、俺的にはどっちだろうが関係ないけどな……俺の仲間攻撃したんだ。覚悟は出来てるよな? ぶちのめしてとっ捕まえて、ミレニアムに関して洗いざらいぶちまけてもらうぞ」
「それはちょっと困るかな〜」
突如、乱入してきた第三者の声に全員が驚く。声のした方を向くと、そこには二人の人影が立っており、内一人には見覚えがあった。最強の堕天使、ルシフェルの血を受け継ぐ赤龍帝。
「ヴァンデューク・ルシフェル……」
「はろはろ〜、こうして話すのは初めてだっけ? よろしくね、英雄龍ちゃん♪」
※言い訳はしません。ただ、学校の課題で洒落にならないのが出てたので、そっちを優先してました。ちなみに課題はまだ終わってない。泣けてくる……現実逃避で書きました。とりあえず、赤龍帝との戦いだけは近日中に終わらせるつもりです。まだ、この作品を読んでくれている方がいれば嬉しい限りです。