吏子が教室に行くと、教室はいつもの調子だった。
美久の机には落書きがされ、華璃の机には女子たちが集まっている。
「あら、吏子。やってきた?処分。」
華璃は冷たい笑みを浮かべて言った。
周りの女子も言う。
「華璃様、もう少し過激にしたらいかがですか?」
「そうですよ。アイツ、鈴木みたいに…」
華璃は迷ったように言う。
「考えておくわ」
たちまち周りの女子はありがとうございます!これで思い知らせてやれるわ。と口々に言った。
(安海〖あんみ〗…)
鈴木 安海も吏子と仲が良かった。
美久だって仲が良かった。
(安海は…回された)
吏子は過去のことを思い出す。
つらい‥‥過去。でも、まぎれもない事実。
安海は華璃の命によって男子たちに≪回された≫。
華璃は安海をいじめるのに飽き、どうやって痛めつけようかと考えていた。
その時、ある女子が言った。
「男子たちに下げ渡せばいいんじゃないですか?」
と。華璃はそれに賛成した。
男子たちは残酷だ。
安海を好きにしていいと言われたら、死ぬまででも痛めつけるだろう。
体の隅々までを‥‥‥。