吏子は家に帰ってから、メモ帳を取り出した。
美久に手紙を書くためだ。
学校では仕方なくとも、陰では以前のように仲よくしていたい。
話すことができなくても、心が通じ合っていて欲しい。
こんな願いを込めて‥…。
『イチゴへ
ゴメンね。私、なにもできなくて。常葉 華璃の言いなりになるしかなかった。
すごく怖かった。いついじめられるか分かんなくて。上靴のことも、濡らすだけ
にとどめるような努力はしたんだよ。だから、心でつながってるって信じてて!
常葉 華璃なんて大っ嫌い!いつか、また一緒に遊ぼうね。男子に下げ渡す事は
私が何とかやめさせるから。
by.吏子』
吏子は頭の中で考えた。
明日もきっと、上靴を濡らすのを吏子に任せるだろう。
その時に靴箱へ手紙を入れればいい。
美久にこのことを知ってもらえれば…。
吏子は手紙を胸に抱え、美久に心の中で話しかけた。
(いつか……。いじめがなくなって、幸せな毎日が過ごせますように)