小説『夜天と勇気と決闘者』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 Side:裕奈


 この布陣…三沢、ガチで勝ちに来てるよね?まぁ、当然だけどさ。


 「せやな。十代と準の戦術封じつつ、更にはその要のカードを護る布陣…一筋縄では行かんやろね。」


 だよね。
 まぁ、十代にも準にもまだ魔法・罠を破壊するカードは有ると思うけど状況は三沢が絶対有利。
 十代は墓地のネクロの効果で1度は上級モンスター出せるしスカイスクレイパーが有るけど其れも絶対じゃない。
 準に至っては攻撃封じられてっからね〜〜。


 「ですが、三沢君は当然として遊城君と万丈目君も楽しそうですね?」

 「イイ表情…3人とも中々ね…♪」

 「そりゃ楽しいに決まってるでしょ?実力伯仲の3人なんだからさ。」

 今は三沢が有利でも、この状況は何時ひっくり返ったっておかしくないって。
 さて、こっからどうなっかね〜〜?

 見てるだけでもワクワクだっぜ!











  遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX29
 『錠前を外せ!外せ!』










 Side:万丈目


 三沢の奴…厄介な戦術を用意してくれたものだ。
 十代は兎も角、此れじゃあ俺は攻撃できん…このターンで十代が如何動くかだが…?


 「俺のターン!俺は墓地の『ネクロダークマン』の効果を発動!手札の『E・HERO』をリリース無しで通常召喚するぜ!
  この効果で通常召喚するのはコイツだ!来い『E・HERO シャドーガイスト』!」
 「ムオォォォォォォォ!!」
 E・HERO シャドーガイスト:ATK2500


 ネクロダークマンの効果を使ったと言う事は、数少ないE・HEROの未融合上級モンスターか。
 成程、確かにそいつなら攻撃力も高く『スカイスクレイパー』と併せて中々に強力だが…


 「シャドーガイストの効果発動。シャドーガイストの召喚または特殊召喚に成功した時、墓地の『E・HERO』1体を手札に加える事ができる。
  俺は墓地の『エアーマン』を手札に加えるぜ!」


 エアーマンを…ふ、そう言う事か。
 其れならばタイムラグはあるが、このロックカードを外す事も可能になる。


 「さっきのお返しだぜ三沢!シャドーガイストでエクストラの仁に攻撃!『アサシンレイダー』!」


 ――ザシュ!


 「く…融合を封じてもこれか。やるな十代!」
 三沢:LP4000→3400


 「だが、トラップ発動『魂の綱』!ライフを1000ポイント払い、デッキから2体目の『オキシゲドン』を特殊召喚する!」
 三沢:LP3400→2400
 オキシゲドン:DEF800


 「ライフを削ってまでモンスターを並べた…上級モンスター狙いか?」

 「如何かな?ただ、君達2人をがっかりさせるような真似だけはしないつもりだ。」

 「おう!楽しもうぜ!ターンエンド!」


 十代の攻撃を皮切りに、三沢のライフは一気に減ったが状況は依然奴に有利なままだ。
 早めに何とかしないとずるずるペースを握られてしまう…ターン順が最後なのが酷く歯痒いな…


 「俺のターン。」


 で、大幅にライフを失った三沢は如何出てくる?
 コイツの事だ、恐らくマダマダ手は用意してるんだろうが…


 「『ミクロオキシゲン』を召喚。」
 ミクロオキシゲン:ATK900


 新たな風属性のモンスターか。
 矢張り6属性のデッキではないな…俺と十代を倒す為のデッキと言うところか、面白い。


 「ここで魔法カード『天よりの宝札』を発動。全てのプレイヤーは手札が6枚になるようデッキからカードをドローする!」


 ここで其れを使うか!
 さっきのターンで使わなかったのを考えると今のドローで引いたのか…侮れん引きの強さだな。


 「さてと…手札が補充できたところで魔法カード『高位儀式の礎』。
  デッキか墓地からレベル7以上の儀式モンスター1体と儀式魔法1枚を手札に加える。
  俺はデッキから儀式魔法『リトマスの死儀式』と儀式モンスター『リトマスの死の剣士』を手札に加える。」

 「おぉ!儀式召喚か!」

 「しかも凄まじい早さだな…」

 儀式特化と言う訳でもないだろうに…其れなのに藤原君に匹敵するスピードでの儀式準備とは…
 だが、狙いは他にもあるはずだ――何を狙っている?


 「更に速攻魔法『死者への供物』!次のドローフェイズをキャンセルする代わりにモンスター1体を破壊する!
  この効果で破壊するのは……万丈目、君の『ランス・リンドブルム』だ!」

 「な!十代の上級モンスターではなく、俺の下級モンスターだと?……まさか!」

 「気付いたか、流石だな。俺の狙いは此れさ魔法カード『強制転移』。対象は君だ、万丈目!」


 矢張りそのカードか…!
 此れを引くと確信してミクロオキシゲンを攻撃表示で…デッキを信じていなければ出来ない芸当だな。


 「互いにモンスター1体を選択し、選択したモンスターのコントロールを入れ替える。俺が選択するのは『ミクロオキシゲン』だ。」

 「俺のフィールドのモンスターは1体のみ。『クリスタルメイル・ドラゴン』以外には選択できん…。」


 ミクロオキシゲン:三沢→万丈目
 クリスタルメイル・ドラゴン:万丈目→三沢



 く…大ダメージを喰らう事は確実だな。
 しかも三沢の手札には儀式一式が揃っている!


 「行くぞ2人とも!儀式魔法『リトマスの死儀式』!俺のフィールドのクリスタルメイル・ドラゴンをリリースし、現れろ『リトマスの死の剣士』!」
 「オォォォォオォォ!!」
 リトマスの死の剣士:ATK0


 「リトマスの死の剣士はトラップの効果を受けず、戦闘では破壊されない。
  そしてフィールド上にトラップカードが表側表示で存在する時、このカードの攻撃力は3000になる!」
 リトマスの死の剣士:ATK0→3000


 ち、厄介なモンスターを…罠も効かず戦闘破壊も不可能で攻撃力が3000とは…先ずは俺を仕留めに来るか?


 「2体のオキシゲドンを攻撃表示に変更!」
 オキシゲドン:DEF800→ATK1800(×2)


 「バトルだ!リトマスの死の剣士でミクロオキシゲンを攻撃!」


 ――ズバァァ!!


 「く…!」
 万丈目:LP4000→1900


 矢張り持っていかれたな…追撃は確実に来る。


 「そしてミクロオキシゲンの効果発動。このカードが戦闘で破壊されたときデッキから『オキシゲドン』1体を特殊召喚する!」
 オキシゲドン:ATK1800


 リクルート効果を踏まえての送り付けか…やってくれる!
 だがこれ以上はやらせん!

 「その召喚成立にチェーンしてトラップ発動『舞い降りる竜』!
  手札からレベル4以下のドラゴン1体を特殊召喚する!来い、『ランスホーンドラゴン』!」
 ランスホーンドラゴン:DEF1200


 「へへ、万丈目のモンスター召喚にチェーンして俺もトラップ発動『ヒーロー参上!』。
  相手がモンスターを特殊召喚した時、手札のレベル4以下の『E・HERO』を特殊召喚する。来い『エアーマン』!」
 E・HERO エアーマン:ATK1800


 エアーマン!そう言う事か…!


 「エアーマンの効果発動!召喚、特殊召喚成功時に2つの効果の内からどちらか選んで発動できる。
  俺が発動するのはエアーマン以外のHEROと名の付くモンスターの数だけフィールド上の魔法・罠カードを破壊する効果。
  この効果で破壊するのは……当然『宮廷のしきたり』だぜ!」

 「な!此処でこのカードを…!」


 見事だ。
 此れで三沢の完全ロックは崩れた……とは言っても『融合禁止エリア』と『ドラゴン族・封印の壺』を破壊できるようになったに過ぎん。
 加えて三沢には場持ちのいい攻撃力3000…俺のターンが勝負か…


 「やってくれるな。バトルを終了してメインフェイズ2に入る。
  2人とも矢張り強いな。間違いなく俺が戦ってきたデュエリストの中で最強だよ。
  だからこそ、俺も全力の全力を出させて貰う!先ずは永続トラップ『狡猾な盗賊』を発動!
  このカードが有る限り、俺の場のモンスターは永続トラップの効果を受けない。」


 俺と十代用の永続罠を三沢は受けないわけか…つまり融合は兎も角としてドラゴンを使うと言う事だな。


 「流石の洞察力だ万丈目。行くぞ!魔法カード『天空の化学式』を発動!」

 「「天空の化学式!?」」


 聞いた事がないカードだ。
 一体どんなカードだ?


 「俺の場のオキシゲドン3体をリリース!現れろ空の支配者『天空竜 オゾン・ドラゴン』!」
 「ギョアァァァァァァ!!」
 天空竜 オゾン・ドラゴン:ATK3500


 「天空竜 オゾン・ドラゴン…!」
 「攻撃力3500…スゲェ!!」


 このターンは攻撃できないとは言え、此れだけのモンスターを1ターンで揃えて来るとは…


 「オゾン・ドラゴンの効果発動!手札のモンスター1体を捨て、捨てたモンスターと同じ属性のモンスターの攻撃力を0にする!
  俺は手札の『ブラッド・ヴォルス』を捨て闇属性モンスターの攻撃力を全て0にする!」


 闇属性…!俺と十代のモンスターは攻撃力が0に…!


 ランサーホーンドラゴン:ATK2000→0(DEF1200)
 E・HERO シャドーガイスト:ATK2500→0


 「この効果はオゾン・ドラゴンが再度効果を発動するまで続く。ターンエンドだ!」

 「エンドフェイズにヒーロー参上の効果で特殊召喚したエアーマンは俺の手札に戻るぜ。」


 状況は依然として三沢有利か。
 俺の手札にはフィールド上の全ての魔法・罠を破壊する『バーニング・ドラゴン』が有るが今のままでは召喚出来ん。
 このドローが勝負の分かれ目か…

 「俺のターン!……!!!」

 此れは!!此れならば行ける!!

 「手札から魔法カード『トレード・イン』を発動!手札からレベル8のモンスターを捨てカードを2枚ドローする。
  手札の『バーニング・ドラゴン』を捨て2枚ドロー…そしてトラップカード『不死の竜』!
  墓地のドラゴン1体を蘇生する!奈落の底より蘇れ『バーニング・ドラゴン』!」
 「ゴォォォォォ!」
 バーニング・ドラゴン:DEF2100


 攻撃は出来んが其れもここまでだ!バーニング・ドラゴンの効果発動!
 召喚、特殊召喚に成功した時フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する!


 「な、何だって!?」

 「凄いぜ万丈目!でも、俺はその効果にチェーンして永続トラップ『リミット・リバース』発動だ!
  この効果で墓地の『E・HERO ウェイブマン』を攻撃表示で特殊召喚!」
 E・HERO ウェイブマン:ATK500


 巧いな。
 其れならば無駄はないな確かに。

 だが、此れで貴様の掛けた『鍵』は全て破壊させてもらうぞ三沢!


 ――ガシャァァァン!!


 「そんな…この布陣が…」

 「へへ、リミットが破壊された事でウェイブマンも破壊されるけど、それで効果発動!デッキから融合を手札に加えるぜ!」


 十代は融合をサーチしてきたか。
 だが三沢、表側の罠がなくなったことでリトマスの死の剣士は攻撃力が0になるな?


 「残念だがね…だが、君にも攻撃できるモンスターはいないぜ万丈目!」
 リトマスの死の剣士:ATK3000→0


 「確かにこのままならそうだろう。だが此れならばそうとは言えん!魔法カード『融合』!
  手札の『光と闇の竜』とフィールドの『バーニング・ドラゴン』を融合!現れろ光と闇の力受けし轟炎の竜よ、融合召喚『カオスブレイザー・ドラゴン』!」
 「グオォォォォォォ…!!」
 カオスブレイザー・ドラゴン:ATK2900


 「カオスブレイザー・ドラゴンが存在する限り、俺の場のドラゴンの攻撃力は全て500ポイントアップする!」
 カオスブレイザー・ドラゴン:ATK2900→3400
 ランスホーンドラゴン:ATK0→500


 三沢、悪いが貴様にはここで退場してもらうぞ!
 バトルだ!!

 「カオスブレイザー・ドラゴンでリトマスの死の剣士に攻撃!焼き尽くせ『カオティック・ミーティア』!」



 ――ゴォォォォォォォォ!!



 混沌の炎に焼かれては無事では済まん。
 戦闘破壊できないモンスターとてプレイヤーのライフと言う生命線には抗えないからな。


 「ぐ…うあぁぁぁぁ!!」
 三沢:LP2400→0


 「ふ、中々楽しめたぞ?」

 「良いデュエルだったな三沢!」

 「はは…君達に勝つためのデッキを構築したんだが負けるとはね…いや、だが楽しかったぜ2人とも!」


 当然だ全力を出したんだからな。
 全力のデュエル、その末の敗北なら『負けデュエル』でも楽しめるだろう。


 「そうだな……敗者は大人しくリングを降りよう。君達2人のデュエルは客席で観戦させてもらうさ。
  どちらか一方を応援する事はないが……頑張れよ十代、万丈目!」

 「おう!」

 「当然だ。」

 …さて、此処から先はお前との一騎打ちだな十代。
 三沢がデュエルアウトした事でオゾン・ドラゴンの効果は消え俺とお前のモンスターの攻撃力は元に戻る。


 ランスホーンドラゴン:ATK500→2500
 E・HERO シャドウガイスト:ATK0→2500


 「正直なところ、お前とはさしでデュエルがしたかった。」

 「へへ、其れは俺もだぜ。」


 お前もか、だが!

 「このデュエル…勝つのは俺だ!」

 「へっ!負けないぜ!!」


 俺の全力を賭して…行くぞ十代!!

















   To Be Continued… 






 *登場カード補足




 高位儀式の礎(制限カード)
 通常魔法
 自分のデッキか墓地からレベル7以上の儀式モンスター1体と儀式魔法カード1枚を選択して手札に加える。



 天空の化学式
 通常魔法
 自分フィールド上に存在する「オキシゲドン」3体を生贄に捧げる。
 自分の手札・デッキ・墓地から「天空竜 オゾン・ドラゴン」1体を特殊召喚する。



 リトマスの死儀式
 儀式魔法
 「リトマスの死の剣士」の降臨に必要。
 手札・自分フィールド上から、レベルの合計が8以上になるように モンスターをリリースしなければならない。



 舞い降りる竜
 通常罠
 手札からレベル4以下のドラゴン族モンスター1体を 自分フィールド上に特殊召喚する。



 ヒーロー参上!(制限カード)
 通常罠
 相手がモンスターの特殊召喚に成功した時に発動できる。
 手札からレベル4以下の「E・HERO」と名の付くモンスターを特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに持ち主の手札に戻る。



 狡猾な盗賊(準制限カード)
 永続罠
 このカードが表側表示で存在する限り、自分フィールド上のモンスターは永続罠カードの効果を受けない。



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