小説『夜天と勇気と決闘者』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 Side:裕奈


 な〜〜〜んか果てしなく面倒な事になったみたいだけど…大丈夫だよねアインス?


 「多分大丈夫やと思うんやけど、アインスがデュエルするのは初めて見るからなぁ…」

 「如何なるかは流石のはやてでもわかんね〜って訳か…」

 てか私等も墓守の皆さんに取り囲まれてるから下手に動けねぇしね…って!!

 「ちょ、なのは!アンタ何してんの!?」

 「てへ♪アインスさんのデュエルの邪魔にならないように少し大人しくしてもらったの♪」


 バインドでのグルグル巻きが『少し』ってレベルか!?
 これって少しなの!?マジでそうなの!?如何なのはやて!?


 「…裕奈、なのはちゃんを通常レベルで考えたらアカン。」

 「…うぇ〜い、そのレベルですか…」

 麻帆良生も吃驚のレベルだっての。
 まぁ、私等には被害ねーから良いか…

 其れよりもアインス…私等の運命はアンタに託した!頼むよ…











  遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX36
 『祝福の風と精霊と』










 Side:アインス


 墓守の者はなのはが抑えてくれたか。
 此れならば少なくともデュエル中に主や皆に危害が加えられる事は無いだろう。

 それにしてもなのははあんなに強硬手段をとる者だっただろうか?
 …………いや、取っていたなうん。
 私もゼロ距離で『エクセリオン』を喰らったのだったな…


 まぁ、それは良い。
 今は墓守の長とのデュエルに勝利しなくては。

 初期手札と、このドローカード…行ける!
 長のカード2枚がなんであろうとも此れならば陣形は整えられる。

 「行くぞ、墓守の長よ。私は『精霊−ガレストゴラス』を攻撃表示で召喚する。」
 精霊−ガレストゴラス:ATK1800


 「そして私のフィールド上に『精霊』と名の付くカードが存在する場合手札の『精霊−スピリア』を特殊召喚出来る!」
 精霊−スピリア:ATK1400


 「一気に2体のモンスター…」


 この精霊はファラオと共に戦場を駆け抜けた戦友。
 その力は馬鹿に出来ないぞ?
 スピリアは表側で存在する限り、私の場の『精霊』の攻撃力は全て400ポイントアップする。


 精霊−ガレストゴラス:ATK1800→2200
 精霊−スピリア:ATK1400→1800


 「む…一気に力を増してきたか…」

 「ふふ、行くぞ?バトル、精霊−ガレストゴラスでセットモンスターを攻撃!
  そして、この瞬間にガレストゴラスの効果発動、相手モンスターを攻撃するとき攻撃力が400ポイントアップする。」
 精霊−ガレストゴラス:ATK2200→2600




 「おぉ!私のマックス・ウォリアーみたいな効果!!」

 「攻撃力2600、レベル7クラスの攻撃力や!」




 ふふ、まぁ、デメリットもあるがな。
 さぁ、姿を見せろ!


 「させぬ!トラップ発動『和睦の使者』!私が受ける戦闘ダメージを0にし、このターン私のモンスターは戦闘では破壊されぬ!」


 矢張りそのカードか…
 だが、攻撃でセットモンスターは表になる。
 正体は何だ?



 墓守の偵察者:DEF2000→2500



 予想通りリバースモンスター、偵察者のほうだったか。
 ネクロバレーの効果で守備力も上がり、少々厄介だな…


 「ふふふ…『墓守の偵察者』のリバース効果発動!デッキから攻撃力1500以下の『墓守』を特殊召喚する!
  現れよ、『墓守の暗殺者』!当然ネクロバレーの効果でステータスが上昇する!」
 墓守の暗殺者:ATK1500→2000


 私のモンスターの表示形式を変える事の出来るモンスターか。
 攻撃力2000ではスピリアでの破壊は不可能だな。

 「ガレストゴラスは戦闘で相手モンスターを破壊した場合、守備表示となる。」
 精霊−ガレストゴラス:ATK2600→2200→DEF1200


 「カードを2枚伏せてターンエンド。」

 2体の墓守が展開されたが、さて如何来るか…


 「私のターン!…墓守の偵察者をリリースし、『墓守の大神官』を攻撃表示で召喚!」
 墓守の大神官:ATK2000→2500


 大神官か。
 墓守1体のリリースで召喚出来る最上級モンスター。
 ネクロバレーの効果で強化されるが、更に自身の効果で強化されるか…


 「墓守の大神官は、墓地の『墓守』1体につき攻撃力が200ポイントアップする。
  私の墓地には『墓守の偵察者』が1体、よって攻撃力が200ポイントアップ。」
 墓守の大神官:ATK2500→2700


 攻撃力2700…今の私のモンスターでは太刀打出来ないな。


 「更に、永続魔法『一族の結束』を発動。
  私の墓地のモンスターの元々の種族が1種類の場合、そのモンスターと同種族のモンスターの攻撃力は800ポイントアップする。
  私の墓地の種族は魔法使い族のみ、よって大神官と暗殺者の攻撃力は800ポイントアップする。」
 墓守の大神官:ATK2700→3500
 墓守の暗殺者:ATK2000→2800


 更なる強化できたか。
 だが、果たしてその攻撃は通るだろうかな?


 「バトルだ。墓守の大神官で精霊−スピリアに……馬鹿な攻撃出来ないだと!?」

 「スピリアの効果だ。私の場にスピリア以外の『精霊』と名の付くモンスターが存在する場合、相手はこのカードを攻撃できない。」

 大ダメージを狙ったのだろうが残念だったな?


 「むぅ…なれば先にガレストゴラスを葬るのみだ!大神官でガレストゴラスを攻撃!」


 そうなれば当然ガレストゴラスを狙うのは道理だな?
 だが、

 「トラップ発動『精霊の奇襲』。私の場の『精霊』が攻撃対象になった時に発動できる。
  攻撃対象となったモンスターをリリースし、手札の『精霊』を特殊召喚する。
  この効果で、攻撃対象になったガレストゴラスをリリースし……現れよ『精霊−幻想の魔術師』!」
 『オォォォォォ…!』
 精霊−幻想の魔術師:ATK2500



 「ブラック・マジシャン!?」

 「似てるけどちゃう。ブラマジと違って、顔が銀河鉄道の車掌さんや!」


 …その表現はどうかと思います我が主……確かに似ていますが。
 其れと裕奈、あながち間違いじゃないぞ?
 この『幻想の魔術師』こそがブラック・マジシャンの大元だといえるのだからな。

 「スピリアの効果で幻想の魔術師の攻撃力は400ポイントアップする。」
 精霊−幻想の魔術師:ATK2500→2900


 「だが、大神官の攻撃には及ばぬ。墓守の大神官で、幻想の魔術師に攻撃!!」


 確かに攻撃では及ばないが、この精霊は『魔術師』だぞ?
 『力』以上に『技』が冴える!

 「その攻撃も通さない。トラップ発動『冥界の時空』!私の場に『幻想の魔術師』が存在する時に発動できる。
  相手モンスター1体の攻撃を無効にし、相手フィールド上のモンスター1体を破壊する。」

 大神官には破壊を回避する効果が備わっていたはず。
 どの道攻撃力を上げる事になるのならば、フィールドアドバンテージを稼いでおいた方が得だな。
 大神官の攻撃を無効にし、『墓守の暗殺者』を破壊する!


 「むぅ…ならば私も速攻魔法発動『墓守の進撃』!私の場の『墓守』がカード効果によって破壊された時に発動!
  自分のデッキから『墓守』と名の付くモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。
  ただし、この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃することは出来ぬ…私はデッキより『墓守の長』を特殊召喚!」
 墓守の長:ATK1900→3200


 自分自身を召喚して来たか……攻撃力3000オーバーが2体とは、流石に長ともなると実力もある。
 2体の上級墓守、中々に圧巻だな。


 「ターンエンド。」

 「私のターン。手札より魔法カード『精霊の宝札』を発動。
  私のフィールドのモンスターが『精霊』と名の付くモンスターの場合のみに発動できる。
  手札が5枚になるようにデッキからカードをドローする!」

 状況限定とは言え、この手札増強は些か反則だと思うが…まぁ、良いだろう。
 此れで手札が5枚だ………此れは…!

 「ふふ、墓守の長よこのデュエル――私の勝ちだ。」

 「なに!?」

 「先ずは手札から魔法カード『ダークシャブティ』を発動。攻守0の『ダークシャブティ・トークン』を2体特殊召喚する。」
 ダークシャブティ・トークン:DEF0(星1・魔法使い・闇)×2


 「そしてこの2体のトークンをリリースし、出でよ『精霊−デュオス』!」
 『ウォォォォォォォ…!』
 精霊−デュオス:ATK2800→3200


 精霊の中でも特に攻撃力の高いデュオス。
 スピリアの効果で強化され、長の攻撃力に並んだぞ?


 「だが、まだそれでは長との相打ちが関の山。私を倒す事はできぬ!」

 「早まるな長よ。私の手札はまだ3枚ある、次なるカードは此れだ。
  魔法カード『魔連弾』。私のフィールドに『精霊−幻想の魔術師』が表側で存在する場合にのみ発動できる。
  相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。」

 「なんだとぉ!?」


 魔法・罠を破壊すれば、ネクロバレーと一族の結束の効果も消える。
 当然、お前のモンスターもその力を失うな?


 「ぐぬぅ…」


 墓守の大神官:ATK3300→2000
 墓守の長:ATK3200→1900


 そして此れで詰み上がりだ。

 「魔法カード『精霊召喚』。ライフを500払い、手札の『精霊』と名の付くモンスターを特殊召喚する。
  ライフを500払い、現れろ『精霊−修練の魔導少女』!」
 アインス:LP4000→3500


 『てへ♪』
 精霊−修練の魔導少女:ATK2000→2400




 「今度はブラック・マジシャン・ガール!?」

 「いんや、やっぱしちゃう。ブラマジ・ガールと違ってアレは地黒のガングロや!」




 まぁ、この子が何れ『ブラック・マジシャン・ガール』となるから間違いではないかな?
 だが、この子の効果はマッタク異なる。

 「修練の魔導少女が存在する限り、私の場の幻想の魔術師の攻撃力は700ポイントアップする。」
 『はぁぁぁぁぁぁ…!』
 精霊−幻想の魔術師:ATK2900→3600


 此れで全ての準備が整った、バトルだ。
 精霊−デュオスで墓守の大神官に攻撃。

 「そしてこの瞬間にデュオスの効果、デュオスの攻撃対象になったモンスターの効果は無効となる。」

 「なんと…!」


 これで大神官の破壊耐性は発動出来ない。
 撃ち抜けデュオスよ、『オーラ・バースト』!」


 ――ドォォォン!



 「むおぉぉぉ…!」
 墓守の長:LP4000→2800


 攻撃の手は緩めん!

 「幻想の魔術師で、墓守の長を攻撃。『魔連弾』!」
 『ムゥゥゥン!』



 ――ドゴォォォォォ!!



 「うぬぉぉぉぉ…!」
 墓守の長:LP2800→1100



 「此れで終わりだ。修練の魔導少女でダイレクトアタック。『魔導波』!」
 『え〜〜〜い!!』



 ――バァァン!!



 「うおぉぉぉぉぉぉぉ…!!」
 墓守の長:LP1100→0



 決まった…私の勝ちだな、墓守の長よ。


 「うむ…見事。流石は『祝福の風』と言うに相応しいデュエルであった…」


 そうか。
 ならば此れで、我が主達は解放してもらえるな?


 「無論。……と言うか、拘束されてる同胞を解放してもらっても良いか?」

 「あ…うん。なのは、決着は付いた。彼等のバインドを解いてやってくれ。」

 「……は〜い…」


 …如何してそんなに残念そうなんだお前は?

 …墓守の長槍兵が物凄く不満そうな顔をしているが、襲い掛からないところを見ると力量差を見極めたか?
 賢明な判断だ、解放されたからと言って襲い掛かったら間違いなくなのはの『全力全壊』が炸裂したろうからな…

 …さて、長よ私達はどうやったら元の世界に戻れる?


 「心配要らぬ。墓守の石版の力を使い、現実世界へ送り返す事が出来る。」


 そうか、なれば出来るだけ早く準備を頼む。
 なのはが墓守の一族達にトラウマを植えつける前にな。(大汗)


 「うむ…そうしよう。」(檄汗)


 あとで我が主に注意していただくとしよう…








 ――――――








 Side:はやて


 アインスの見事な勝利で、私等も無罪放免♪
 長のおっちゃんが責任もって送り返してくれるそうや。

 で、今私等は転送された王墓の入り口に整列してる訳や。


 「はいは〜い、長さんと大神官さんはやっぱ真ん中でしょ?その前に裕奈とはやてと十代と準がしゃがんで。」


 何しとるかというと『記念撮影』。
 和美ちゃんの提案で、『異世界訪問の記念』って事でな。

 いやはや物凄い大人数やけど大丈夫やろか?


 「大丈夫、朝倉の写真の腕前は折り紙つき。クラスの写真とか撮らせたらプロのカメラマンよりも巧かったからね。」

 「裕奈がそう言うんなら確かやろな。」


 「ほんじゃ、行くよ〜!よっと…!」


 タイマーセットで和美ちゃんもこっちに。
 で、



 ――パシャッ!



 撮影完了や。
 なんや、世界の何処探しても他にはない記念写真やな。


 「終わりか?…では、改めて主等を送り返すとしよう。」


 ほな、お願いします。


 「機会が有ればまた来い強き者達よ。その時は、今度は客人としてもてなそう。」

 「おう!きっとまた来るぜ!」

 「簡単に言うな十代、来ようと思って来れる場所じゃないんだぞ?」

 「え〜〜?でも、可能性は0じゃないだろ?」

 「其れはそうだがな…」


 十代…せやけど、今度はお客さんとしてこれたらえぇな。
 なんや、騒がしいお別れやけど長さん達も元気でな?


 「うむ。汝らの進む道に、太陽神ラーの加護が有らん事を!」







 ――シュゥゥゥン…







 ……戻ってきたんか?


 「だね。本屋ちゃん達が精霊状態に戻ってるし。」

 『アカデミアの遺跡洞窟に戻ってきたみたいです。』


 さよか。
 ん〜〜〜…何とも不思議な体験やったな。
 遺跡探索よりも得るものもあったかも知れへんね?


 「まさか、課外授業でこんな体験をするとは思わなかったが、貴重な体験ではあったな?」

 「精霊世界…ミステリアスで好みだわ…♪」


 せやな。
 で、大徳寺先生、課外授業はどないするのん?


 「ふぅ…凄い体験をしたのにゃ。課外授業は予想外の事になったのにゃ。
  けど、貴重な体験だったし、皆を危険にさらしてしまったのは私の責任なのにゃ…よって全員に単位+2を差し上げておくにゃ♪」


 お、ラッキーや♪


 「単位+2は結構でかいからね〜。」

 「ま、口止め料こみやろけどね?」

 「けれど、口外にしたところで誰も信じないとは思いますよ?」


 まぁ、せやろな。
 ほな、寮に戻ろか?
 戻るのにも時間かかるし、戻ったら晩御飯の準備せなアカンしね。


 「おぉ!今日の飯何!?」

 「Y&H特製『ふわふわ卵の親子カツ丼定食』よ!」

 「やった〜〜!」


 十代はホンマに…まぁ、其処が十代の良いとこなんやけどね。




 せやけど、ホンマに不思議な体験やったな。
 精霊世界――機会があれば又行ってみたいな。








 ――――――








 Side:???


 時は満ちた……野望が成就す時が…。

 覚醒せよ『セブンスターズ』…
 七星門の鍵を奪え。

 7つの鍵が揃った時に大いなる力が目覚める…その力は必ず貰い受ける。


 そう、『三幻魔』の力は…!














   To Be Continued… 






 *登場カード補足



 精霊の宝札
 通常魔法
 自分フィールド上に存在するモンスターが「精霊」と名の付くモンスターのみの場合に発動できる。
 自分の手札が5枚になるようにデッキからカードをドローする。



 ダークシャブティ
 通常魔法
 自分フィールド上に「ダークシャブティ・トークン」(星1・闇・魔法使い・攻守0)を2体特殊召喚する。
 このトークンは「精霊」となの付くモンスターを召喚、特殊召喚する為のリリース以外には使えない。



 魔連弾
 通常魔法
 自分フィールド上に「精霊−幻想の魔術師」が表側表示で存在する場合にのみ発動できる。
 相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。



 精霊召喚
 通常魔法
 ライフを500ポイント払う。手札から「精霊」と名の付くモンスター1体を特殊召喚する。



 墓守の進撃
 速攻魔法
 自分フィールド上の「墓守」と名の付くモンスターがカード効果で破壊された時に発動できる。
 自分のデッキから「墓守」と名の付くモンスター1体を特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚されたモンスターは、このターン攻撃できない。



 精霊の奇襲
 通常罠
 自分フィールド上に表側表示で存在する「精霊」と名の付くモンスターが攻撃対象になっ時に発動できる。
 攻撃対象になったモンスターをリリースし、手札の「精霊」と名の付くモンスター1体を特殊召喚する。



 冥界の時空
 通常罠
 自分フィールド上に「精霊−幻想の魔術師」が表側表示で存在する場合にのみ発動できる。
 相手モンスター1体の攻撃を無効にし、相手のモンスター1体を破壊する。



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