小説『夜天と勇気と決闘者』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 Side:はやて


 「はぁ、こないなトコにカードショップが有ったなんて知らなかったわ。」

 「私も偶然見つけんだけどね。つってもこの前は休みだったけど。」

 裕奈ちゃんが見つけたって言うこのカードショップ。

 ちょっと路地を入ったトコで、あんまし知ってる人は居なさそうやけど…なんか『穴場』って感じがするわ♪
 どんなカードがあるか楽しみになってきたで。









  遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX4
 『思いがけない再会』









 ――チリンチリ〜ン♪


 「いらっしゃい。」

 店に入った私達を迎えてくれたんは20代後半くらいの男の人、多分店長やな

 「如何にも、俺が店長だ。」

 「まぁ、そうやろな。」
 「シャツに思いっきり『店長』ってプリントしてあっからね。」

 「実は結構気に入ってるんだこのシャツ。ま、店内は好きに見てくれて良い。用があったら言ってくれ。」

 「「は〜い!」」

 なんや、面白そうな人やね。


 しっかしすっごいな〜。
 店内はそんなに広くないけど、色んなカードが置いてあるわ。
 しかもカードだけや無く、デッキケースやデュエルディスクも売ってるんやね。
 カードショップ言うよりは『総合デュエルショップ』って感じやな。

 「へ〜、凄いよはやて。デュエルディスクの修理・改造もしてくれるんだって。」

 「そら凄いな〜って!」
 改造!?そんな事して大丈夫なん!?

 「一応KCには許可を得てるから問題ない。其れに改造って言っても左利き用にするとかオートシャッフル機能をつけるとかそれくらいだ。」

 「いや、それでも充分すげぇと思う。」
 「同感やな。」

 「機械弄りも趣味なもんで。」

 趣味が高じて言うやつやね。
 意外と器用なんやな。


 …ん?

 「なぁ店長さん、このファイルは?」

 カウンターの前に置かれた数冊のファイルが目に留まった。
 此れは何のファイルやろ?

 「あぁ、それはレアリティの低いカードや傷の多いカードを纏めてあるファイルだ。
  100円あれば最大で10枚位は買えるほどの安いカードを集めたもんだよ。でも、其れがどうかしたか?」


 「何って言うか…凄く気になった。」

 裕奈ちゃんもか。
 私の気のせいじゃないみたいやね。

 「気になった?この安カード、傷カードばかりを集めたファイルが?」

 「うん。」
 「せや、なんか目に付いたら気になってしょうがないねん。」

 「なんとまぁ…此れは驚いたな。」

 店長さん?

 「如何やら嬢ちゃん達は『真の決闘者』の気質が有るみたいだな。」

 「「へ?」」

 「真の決闘者ならカードに宿った思いを感じ取る事が出来る筈だ。嬢ちゃん達はその思いを感じ取ったのさ。
  それと、デッキがあるなら見てみな?きっと凄い事が起きてる筈だぜ?」

 なんやろう?店長さんの雰囲気がさっきとちゃうな…
 其れにデッキって…

 「えぇ!?」
 「な、なんやの此れ!?」

 デッキが光をはなっとる…?

 「やっぱりな。真の決闘者のデッキには魂が宿る。そのデッキに込められた魂が、此処に有るカードに呼応したんだ。
  如何やら君達で間違い無さそうだな…『明石裕奈』と『八神はやて』。」

 「「!!!!」」

 ちょ、待って?何で私と裕奈ちゃんの名前しってるん!?

 「教えてもらったからな。『彼女達』にね。勿論容姿も含めてな。ちょっと待ってな。」

 彼女って誰やねん!
 せやけどなんやろう…悪い予感はしない。

 「裕奈ちゃん…」
 「うん、私も嫌な感じはしない。其れよりも何か良い事ありそうな気がする。」

 やね。
 それにしても店長さんは何を取りにいったんやろ?


 「お待たせっと。」

 おぉ、店長さんのお戻りや…

 『はやてちゃ〜〜ん!』
 『はやて〜〜!!』


 うおわ!何かキターー!?
 って

 「なのはちゃんとフェイトちゃん!?」

 何で?如何してこんなとこにおるの!?








 ――――――








 Side:裕奈


 店長が戻ってきたと思ったら、何かが飛び出してはやてに抱きついたみたいだけどあれってカードの精霊?
 しかも『なのは』と『フェイト』って、前世のはやての大親友じゃなかったっけ?

 「ほ、ホンマになのはちゃんとフェイトちゃんやの!?」

 『そうだよ!久しぶりだねはやてちゃん!』
 『はやては、私達と違って転生したんだ?』

 「うん、まさか会えるとは思って居なかったで…」
 「I think so.」

 どうにも前世の友達が精霊化したっぽいね〜。
 「はやて、この人達って…」

 「そや。前に話した前世での大親友のなのはちゃんとフェイトちゃんや。」

 あ、やっぱり。
 「え〜と…はじめまして?うん、この世界ではやての親友やってる明石裕奈です。」

 一応自己紹介は必要だよね。

 『御丁寧にありがとう。はやてちゃんの前世で親友やってた高町なのはです。』
 『同じくフェイト・T・ハラオウンです。』

 うわ〜何か2人とも凄く良い人っぽい。

 『主はやて、お久しぶりです。』
 『おっと、アタシだっているぜ!』
 『主よ、元気そうで何よりです。』
 『会いたかったわはやてちゃ〜ん!』
 『リインも居るですよ〜〜!』
 『オイコラ、バッテンチビ、アタシをおいてくなよ!』


 更に出てきた!?

 「シグナム!?ヴィータにシャマルにザフィーラ…リインにアギトまで…」

 この人達もはやての仲間だった人達か。

 「良かったねはやて。仲間に会えてさ♪」
 本気でそう思う。

 「うん、ホンマや!…?でも何でカードの精霊になったん?」
 「あ、それ私も気になる。」

 転生とかじゃなくて精霊化ってどゆこと?

 『其れは私が説明します、我が主。』

 又なんか出た!?

 「!!まさか、リインフォース…アインスか!?」
 『はい、お久しぶりですね我が主。』

 アインスって…確か『夜天の書』の管制融合騎だったっけ?
 消えたって聞いてたけど…?

 『確かに私は一度は消滅しましたが、気が付いたら今から3000年前のこの世界に『精霊』として存在していました。
  時のファラオと共に厄災に立ち向かった事もありましたが、其の後は永き時を静かに生きていました。
  しかし、ある時、大きな次元震を感じたので、発生源に行って見ると彼女達が居ました。
  既に身体は死んでいましたが、魂は死んでいなかった。そこで、私の力を使い彼女達を精霊にしたのです。』

 「そうだったんか。」
 「何か壮大だね〜。」

 でも、此れで謎は解明されたと。

 「そっちの子が『八神はやて』ね。と言うことは君が『明石裕奈』?」

 「まぁ、そうなるよね?」
 私にも何か有るの?

 「まぁ、カード名、効果、イラスト不明のカードが4枚もあるんでね。
  彼女達がはやて嬢ちゃんのカードなら、此れは裕奈嬢ちゃんのカードだろうからな。」

 差し出された4枚のカード…シンクロ2枚と魔2枚?
 イラスト部分は黒くなっててカード名とテキストは無しって…何よ此れ?

 「うわ〜流石にドッキドキなんだけど…」

 何が出るかな〜〜!って!



 ――パァァァァ…



 カードが光って…?…カードが変わった?
 「『天星龍 スターダスト』と『天竜神 オシリス』……それに『麻帆良学園都市』と『七色の銃』!?」

 スターダストは兎も角オシリスって『神のカード』だよね?
 それに麻帆良学園都市と七色の銃って…

 「お、裕奈ちゃんも新しいカード手に入れたか?」
 「うん。しかも何か凄いのが来た気がする。」

 「ふん、貴様にはピッタリのカードじゃないか?なぁ明石裕奈よ?」

 !!
 な、この偉そうな喋りかたは…!


 「漸く起きたか…幾らなんでも寝すぎだぞエヴァ?」
 「どうせ基本的に暇な店なのだ。寝ていても良かろうが。」

 ま、間違いない…!
 「何でいるのさエヴァちん!!」








 ――――――








 Side:はやて


 私がなのはちゃん達と再会した思ったら、今度は裕奈ちゃんの知り合いか?

 「知り合いってか、クラスメイトと言うか、史上最大におっかないつーか…え〜と確か600万$の賞金首だったっけ?」
 「600万$の賞金首!?」

 ドンだけやねん其れ!
 あ、若しかしてこの子が真祖の吸血鬼って子なん?

 「正解だぞ小娘。ふむ、如何やら前世の記憶は有るようだな?」

 「まぁね。つってもあんまし前世の事は気にしてないけど?」

 「ほう?」

 そう言えば、そないな事言うとったね。

 「前世はあくまで前世っしょ?記憶は有無に関わらず私は私らしく生きるってね♪
  其れより、私としてはエヴァちんが此処に居ることの方が気になるんだけど?」

 「それは私も聞きたいな?」


 「大した事ではない。不老不死と言うのも存外暇でな。ぼーやの世界を変える計画は傍から見てる分には面白かったんだが、科学は分からん!
  ナギのバカとぼーやが自分の天寿を全うしてしまった後は何処か日々がつまらなく虚しくてな。
  ホンの軽い気持ちで超の奴の実験に付き合ってやったんだが…結果としてこの世界に放り出されて、帰る手段は無し。
  諸々は割愛するが、紆余曲折があってこの店に世話になる事になったのだ。」

 「エヴァちんはエヴァちんで苦労してたんだ。」
 「そら、身一つで異世界に放り出されたら戸惑うで。」

 ホンマは割愛された紆余曲折の部分を聞きたいけど、話してくれへんやろな。

 「しかし、前世を前世と割り切るか。一部の過去に捕らわれてるバカ共に聞かせてやりたいセリフだな。」
 「せやな。過去は取り戻せへんのやからね。」

 「過去を捨てず、しかし振り返らずに背負いながら前を見て生きるか…大したもんだぜ嬢ちゃん達は。」

 店長さんもそう思うか?

 「まぁな。しかし、店の奥に厳重に保管されてたカードがこんな不思議な運命だとは…この場に居合わせた事を感謝すべきなんだろうな。」

 「貴様も面白い男だな吉良?これほどの異常現象を受け入れるとか柔軟すぎるぞ?」

 「この世界の全てを知ってる訳じゃねぇからな。この手の事も『俺が知らない事の1つ』って考えれば無い話じゃないし。」


 「店長柔軟すぎ。ふつーにすげぇって。」
 「ドンだけの柔軟思考や…」

 その考えかたもありとは思うけどな?

 「せやけど、思わぬ再会やったね、私も裕奈ちゃんも。」
 「だよね〜。まさかカードショップでエヴァちんとエンカウントするとは思わなかった。」

 穴場的な店にはやっぱり何か有ったな〜。
 う〜ん、そろそろ帰ろか?スーパーのタイムサービス始まってまうで?

 「うわっ、もうそんな時間!?」

 「ん?もう帰るのか?」

 「晩御飯の支度があるんや。」

 「そうかい。っと、じゃ此れ持ってきな!真の決闘者の魂を持った嬢ちゃん達に店長・吉良飛鳥からプレゼントだ!」

 っと、此れはカードパック?

 「当店オリジナルのカードパックで、何が出るかは開けてからのお楽しみだ。旧友と再会できたお祝いって事で、受け取っておきな!」

 「太っ腹だね店長!」
 「ありがたく貰っておくわ!」

 ほんま、えぇ店を見つけたモンやで!!








 ――――――








 Side:裕奈


 「は〜…にしても色々有ったね今日は。」

 ショップを出て、はやて『達』と一緒にスーパーに向かってレッツゴー!

 「せやな。けどいい事ばっかりやった。」
 「はは。エヴァちんの登場には驚いたけどね。」

 でも、悪い気はしなかった。
 エヴァちんが言ったとおりだと、ネギ君はやったんだね。
 前世は前世、つってもやっぱ気になってたことだから、お姉さんも一安心ってね。

 『裕奈ちゃん。』

 ん?あ、え〜と確かなのはだっけ?どしたの?

 『はやてちゃんと仲良くしてね?』

 何言ってんの?当然じゃん!

 「せやでなのはちゃん。私と裕奈ちゃんは親友や!勿論なのはちゃん達との友情も変わらんよ?」

 「そうそう!だからさ、私の方こそヨロシクだよ。他の人達にも言っといてよ?」

 『うん、分かった!』

 さぁてっと…今度はタイムサービス行きますかぁ!!








 ――――――








 Side:吉良


 「ふぅ…」
 全く不思議な事もあるもんだ。

 「転生と、精霊化…ね。」

 「如何した?今更になって驚きが来たか?」

 「ちげぇよ。不思議ではあったが、さっきも言ったように『俺の知らない世界の事象』の1つだと思えば下手に驚く事も無いだろ。」

 この前、店に来た坊主も精霊らしき奴が一緒だったからな。

 「あぁ、あのぼーやか。あいつも中々見所は有りそうだったな?」

 アノ坊主には『ハネクリボー』のカードが反応していたな。
 「お前と会う前に、更にもう1人精霊が反応した坊主もいた。あの時反応したのは『光と闇の竜』だったな。」

 「ふむ、少なくともこの近辺で特別な力を持ったものが5人は居るわけか。」

 5人?2人の坊主とはやて嬢ちゃんと裕奈嬢ちゃんで4人だろ?

 「貴様、自分を除外しているぞ?貴様とて『カードの精霊』とやらが見えているだろうが!」

 「…言われてみればそうだな。」
 全く気にしてなかった。
 つーか言われるまで気付かなかった…何気に俺も凄い人?

 「自分で言うな。まぁ私から見ても貴様は中々だと思うぞ?はっきり言ってあのファイルのカード等普通なら捨ててしまうような代物だろうに。
  其れを裏地を張り替える補修までしてとっておくのだ。其処までする奴がどれほど居るのだろうな?」

 「カードはデュエリストの魂だ。どんなカードだって存在する理由がある。俺はそう思ってる。」
 廃屋同然だったこの店引き取ってカードショップやってるのも其れが理由だしな。

 「ほう?で、どうだ?何か起きそうか?」

 さぁ?それは分からん。
 けど、『真の決闘者』の魂を持った坊主と嬢ちゃん達がどうなるのかが楽しみではある。

 「若しかしたら、アノ4人の中から将来デュエルキングが誕生するかもしれねぇな。」

 「くくく…それは見物だな。もしもそうなったら、キングの座の一歩手前で私が悪のラスボスとして登場してやろう。」


 ……この悪い子め。












   To Be Continued… 

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