小説『NARUTO〜複写眼を持ちし者〜』
作者:サムナ()

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第16話 迷子と仮面の男



ユーリは一人で森をさまよっていた。

「あー、はぐれた・・・いや、はぐれさせられたか?
 ねぇ、後ろの人」

そういうと、後ろ木の影から仮面をかぶった男が出てきた。

「いつから、気付いていたんだい?」

「はじめから・・・とかいうセリフはお約束ですよね」

ユーリは背を向けたまま答えた。

「ずいぶん、余裕があるね」

「いえ、今にもちびりそうです。
 木ノ葉の暗部・・・じゃないですね。殺して奪ったって、所ですか?
 (血の匂いがべっとりついてるな)」

ユーリは振り向くと、木ノ葉の暗部っぽい格好した男がいた。

「正解。よくわかったね・・・やっぱり、サスケくんより君の方が優秀だと
 僕は思うんだけどね」

「俺だけを班から離した目的はなんです?
 (サスケってことは狙いは写輪眼か?)」

「言うと、思うかい?」

「お約束だと、聞いてもいないことをべらべらと喋ってくれるのが、普通だと思いますよ。
 (だが、俺だけ離したのは、なんでだ?こいつが暗部を殺して奪ったんなら、
 今の俺たちの班が束(たば)になってかかっても問題ないはずだが?)」

「良く言うよ。僕のサスケ君という言葉でだいたいの予想はついてるんじゃないかい。
 そして、なぜ自分だけ班から離したのはなんでだ・・とか考えてるんだろ。
 あいにくだけど、僕もその理由は知らないから、僕を引っかけようとしても無駄だよ」

「その割には、随分情報をくれるんですね。
 (やりづらいタイプだ。自分より上の存在を匂わせているけど、
 そのことに気づいた上で言ってるから、正直ウソかホントか判断がつかない)」

ユーリがそう考えていると、

「まあ、せっかくの機会だし、君の本当の戦闘力も見ておこうかな?」

仮面の男がそう告げ、殺気が飛んできたと同時にユーリも戦闘態勢に入り、
すぐさま煙玉を地面に投げた。

「疾ッ!」

煙の中から起爆札がついたクナイを両手の指の間に挟み込み、腕をクロスさせて、
放った。

「広範囲に攻撃かい?散らしすぎだね」

仮面の男は自身に当たるもの2本だけを避けた。

「だろうねっと!」

当たらないクナイにつけていたチャクラ糸をあやつり、背後から襲わせた。

仮面の男は前方に走りこみ、腕を振ると、クナイのチャクラ糸が切れた。

「チャクラ刀・・いや、もっと短い、ナイフか?」

「いいせん、いってるね。チャクラの解剖刀(メス)だよ」

そういいながら、仮面の男は、ユーリに接近していた。
振りおろされたチャクラメスをユーリはチャクラ刀で受け止めた。

「聞いてもいないことをしゃべってくれるんですね。グッ」

ユーリは歯を食いしばりながら喋った。

「どーせ、複写眼のある君に隠した所で意味ないだろ。
 それに君自身、僕に勝てると思ってるのかい」

「強い方が勝つとは限らないのが、戦闘ですよ・・」

「そうかい」

ユーリのチャクラ刀に亀裂が入り始めた。

「どうやら、密度の違いが出てきたみたいだね」

「クソッ」

その瞬間、ユーリのチャクラ刀を切り裂きながら、仮面の男のメスが
ユーリの肩に食い込んだと同時にユーリの体が音を出しながら、煙となった。

「影分身か!?」

仮面の男が気づくと同時に

「火遁・豪火球の術」

背後から、巨大な火の塊が飛んできた。
仮面の男は交わそうとしたが、

「散!!」

ユーリが叫び声と同時に巨大な塊は複数の塊に分裂し、さらに広範囲に広がった。
交わしきれずに仮面の男は左腕に塊の一つを喰らっていた。

「くっ、煙玉の時点で入れ替わってたのか。
 やっぱり、僕には君の方が優秀だというのが確信に変わったよ。
 たとえ、目の性能に違いがあったとしてもね。
 ある程度わかったし、時間ももう十分だろうし、引かせてもらうよ」

そういうと、仮面の男は木ノ葉を巻き上げて、姿を消した。

「行ったか・・・、あー、やばかったな。
 あっちが殺すつもりだったら、多分・・死んでたかもな」

ユーリは一息をついていた。


〜少し離れた場所にて〜

「ふー、やれやれ、こっちの術を見せたら複写されるから、
 あまり術を使えなかったとはいえ、これほどとはね。
 大蛇丸様に、報告しとかないと」

仮面を外しながら、カブトはつぶやき、火傷を負った左腕に
右手をかざすと見る見るうちに火傷は治っていった。

「くくくっ、あれ以上やりあうと、殺したくなっちゃうじゃないか」

カブトは不気味な笑みを浮かべていた。

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