小説『NARUTO〜複写眼を持ちし者〜』
作者:サムナ()

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第19話 見えるものと見えないもの





「では、第三回戦はじめてください」

ユーリは最後の言葉の「い」と同時に服の裾から、手裏剣を落として掴み、
言い終わりと同時に手裏剣を放ち、印を組んだ。

「手裏剣影分身の術」

一つだった手裏剣は無数とまではいかないが、約百以上の手裏剣に分身し、
カブトに向かっていった。

「チッ」

カブトにそのまま手裏剣が突き刺さったが、すぐに身代わりの用の木に
変わっていた。

音も立てずに土遁でユーリの背後に現れ、クナイで斬りつけた。

ユーリは前方に跳んで避けようとしたが、クナイが左腕に掠ってしまった。

その直後にカブトから距離を取り、自身のチャクラ刀を取りだし、
クナイが掠った部分をなぞる様に切り裂いた。

当然、傷口が深くなり、血がより多く出ていた。
上にいる者たちのほとんどは、その行動を理解できず、驚愕の表情をしていた。

「何をしてるんだい?君は」

カブトが不思議そうに訪ねた。

「毒付きだろ。そのクナイ。多分、速攻性が高い奴・・」

「そうじゃないかもしれないじゃないか?大体、根拠はあるのかい」

「さっき、あんたが選ばれた時に火影のじいさんがあんたのことを試験官に
 聞いていて、試験官が答えたのが、聞こえてね。
 あんたが医療上忍に拾われたって話が聞こえたのが根拠さ」

「地獄耳だね。君は」

「可能性が高いなら、早めに対処した方がいいだろ。
 後でやっておけばよかったと後悔するより、ましだ。
 やらない後悔よりやる後悔ってね」

「へえ、まあ、今回は正解だよ」

「そうかよ」

チャクラ刀を左手で逆手につかむと、傷口を右手でさわった後、
カブトに向かい接近していった。

カブトも迎え撃つように、クナイを構えてた。

接近中のユーリが右腕を振ると、何かが飛んできた。
カブトはそれをクナイで弾こうとしたが、それが着弾した瞬間、
カブトはそれが間違いだと気付いた。

それは、ただの血だった。
その一瞬の隙をついて、ユーリがチャクラ刀で斬りかかったが、
カブトの反応が早く、チャクラ刀を受け止めた。

「おしかっ、!!」

カブトの喋りが途中で中断された。
左肩の部分から斜めに切られていた。

「グッ!!」

カブトは切り裂かれた胸の部分を押さえている所を
左後ろ回し蹴りで腹部を蹴り飛ばされた。

「油断大敵ってね!」

ユーリの右手は何かが握られているような形になっていた。

「ぐっ、片方は見えるチャクラ刀に、もう片方は自身の忍術で
 作った見えないチャクラ刀か・・・」

カブトは立ちあがりながら、答えていた。

「まだ、やりますか?」

左手のチャクラ刀を順手に持ち変えて、突きつけた。

「ふぅー、ここまでかな。審判、ギブアップだ」

カブトはクナイを落としながら、両手を上にあげて審判に告げた。

「勝者、流戸ユーリ!」

ハヤテが告げた。

「では、次の試合ですね」



〜観戦Side〜

「あの術は親父の!?」

シカマル達の担当上忍アスマは驚愕していた。
手裏剣影分身の術はアスマの父の三代目火影猿飛ヒルゼンが
考案した忍術である。

たしかに流戸は木ノ葉創設の中心であった三つの一族の一つであり、猿飛一族とも
交流がある一族だ。
普通に考えれば、あの術を知る方法は限られている。
三代目に教えてもらうか、術が記されている巻物を見るか二つだろう。
流戸とうちはの場合は、もう一つ方法があるが。

「なぜあの術を・・・」

アスマが疑問に思っていると、答えが飛んできた。

「あー、火影様の孫と遊んでるとか言ってたから、
 火影様に教えてもらったんじゃないか?多分?
 (まあ、あいつの場合、巻物を勝手に見た可能性もあるけど・・)」

カカシが答えた。

「それにしても、さすが流戸の悪魔の再来と騒がれるだけはあるわね。
 あの術を使えるなんて」

ヒナタたちの担当上忍の紅が話に入ってきた。

上忍たちは上忍たちで話している横では、下忍たちが話していた。

「ユーリってば、開始と同時に仕掛けたってばよ」

「んなことより、なんだ?あの術?手裏剣が分身してんぞ」

「カブトさんが変わり身でかわしたわ」

下忍たちが騒いでいると、

「って、何してんのユーリ!?」

「自分でキズを深くしてるってばよ!?」

「幻術にでもかかったのか?」

「毒だってよ」

「毒だったら、同じことをおれもやったてばよ」

各々が観戦しながら、色んな事を言っていた。


-試合終了後-

「あれが、シカマルの言ってた。隠してたってやつか?」

「さあ?どうだろな。そうかも知れないし、そうじゃないかもしれない。
 どのみち、それを知ってるのは、あいつ本人しかいない」

「ユーリって、あんなに強かったの?」

「カブトさん残念だってばよ」

この後、消えたカブトが、変態にユーリをやたらと、
お勧めしていたが、変態はサスケご執心だったとか。
 

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