小説『NARUTO〜複写眼を持ちし者〜』
作者:サムナ()

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第24話 悪夢と忠告




ナルト-湿布伝-

わたしが、毎朝の日課となっている朝の鍛練から、戻ると、
その食卓には、ここにいるはずのない青年がいた。

「なっ!?」

「あっ、どうもお義父(とう)さん、先に頂いてます」

「お義父(とう)さん!?どういうことだ?」

「はい?どうしました?ボケるには、ちょっと早いかと思いますが・・・」

この男はあろうことか、わたしが何をいっているのか?わからないという表情をしていた。
そもそもこの男は誰だろうか?
私が知っている少年にすごく似ている・・・・、だが、見た目の年齢と身長が決定的に違う。
いくら、成長期といっても、1ヶ月近く、あっていないだけで、
そんなタケノコもびっくりな成長はしないであろう。
だが、あの少年が青年期まで成長したと言われれば、しっくり来る。
わたしがそんなことを考えていると、

「父様、そんな所に立って、どうしたんですか?」

この声はハナビか。

「ハナビか、この「あっ、兄(にい)様、おはようございます」・・・、何っ!?
 この男を知っているのかハナビ!」

「何言ってるんですか?父様?ついにボケましたか?」

ハナビも同じ様に何をいってるんだ?この人?という表情をしていた。
どういうことだ。私以外はこの男を知っているということか?
というか、ハナビもこころなしか、大きくなっているような?

「あっ、姉さま。おはようございます」

後ろを振り向くと、ヒナタが立っていた・・・お腹の大きな・・・。

「なっ!?どうしたんだヒナタ?」

こちらのヒナタも成長していた。
いったい!?どういうことだ?

「どうしたって、父様こそどうしたんですか?」

なぜだ?こちらもわたしがおかしいのか?
というか、妊娠か?妊婦なのか?
父親はだれだ?あそこの青年か?

「嘘だ・・・夢だ・・・幻術だ・・・、
 どうなってるんだーーーーー!!」

わたしが頭を抱え叫んでいると、

「ええ、夢ですよ」

青年から言葉が発せられた。

「ほんと「ウソです」う・・か・・」

「というのは、ウソです」

「どっちなんだーーーー!!」


わたしが再び叫んだ所で、その悪夢は終了した。
起きたら、知らない天、否、良く知る天井だった。

「夢だったのか・・・、なんて恐ろしい夢だ。
 正夢にならないことを祈るばかりだ」

頭を振り、完全に起きたわたしは、毎朝の日課となっている朝の鍛練をこなし、
食卓へと向かった。

そこには、夢と同じ様に少年が座っていった。

「やあ、おっさん。お邪魔してます」

少年が挨拶をしてきた。

「なぜ、ここにいる?」

一瞬、夢の再現かと思ったが、少年はわたしが知る姿そのままだった。

「通りかかったら、門の前にいたヒナタに朝食誘われたから、
 お呼ばれになろうと思ってね」

「娘はやらんぞ」

つい、夢のことを思い出して、思わず口に出てしまった。
それはそうだろう。あの夢の青年はおそらくこの少年が成長した姿だろう。
思わず、くぎをさしてしまった。わたしは悪く無いはずだ・・・。

「はあ?」

少年はあきらかに何いってんだこのオッサンという眼で見てきた。
それはそうだろう。会話の脈絡がなく、
いきなり、こんなことをいいだす人物を変な人と思わない人間はいないだろう。

「・・・・・・」

「・・・・・・・」

少年があきらかに警戒している表情でこちらを見ている。
殺気に気付いたのだろうか?
こちらもどう取りつくろうべきか・・・・それともあの悪夢が正夢にならない様に、
今、殺ってしまうべきか・・・・。
わたしがいろいろ頭の中で考えを巡らしていると、

ヒナタとハナビが朝食を運んできた。

「「あっ、父様、おはようございます」」

「ああ、おはよう」

その後、朝食を取りながら、世間話をした。
その少年が中忍試験本選に進んだことが主な話題だった。
現在、自来也様にくっ付いて、修行しているようだ。
というか、自来也様はいつ戻っていたのだろう?火影さまに知らせるべきか?
いや、すでに他の者が報告済みだろう。

そんなこんなで朝食が終わり、少年が食器を台所に持っていった。
ヒナタもほぼ同時に立ちあがり、二人で食器を洗い終わると、

「んじゃ、悪いんだけど、この後、付き合ってくれ」

「うん。いいよ」

と会話しながら、台所から出てきた。
まさか!?正夢にするつもりなのか?
やはり、今の内に殺ってしまうべきか?
いや、まだ早い。確定してからにしよう。
とりあえず、確認だ。

「うちの娘に何をするつもりだ?」

「何って、対ネジ戦のシュミレーションと白眼の透視がどこまで透視できるかの確認だよ。
 ネジは点穴まで見切れるらしいから、ヒナタが見えるものは、ネジにも見えるってことだろ。
 だから、考えてる戦術の内、視界を誤魔化すのもあるから、それの確認だよ。
 まあ、ヒナタに見えなくて、ネジに見える可能性もあるけど、やらないより、やった方がましだろ。
 紙の情報だけじゃなくて、百聞は一見にしかず、そして、百見は一試にしかずって言葉もあるしね」

「ならばよい」

「準備するから、先に外で待ってて」

そうヒナタは告げると部屋に向かっていった。
すると、少年は辺りを見回し、わたし以外に人がいないことを確認すると、

「人ん家の事情に首突っ込みたくないけどさ、あのネジって、確実にヒナタをいや、
 宗家を恨んでるよ。余計なお世話かもしれないけど、早めに手をうつことをすすめるよ」

「そうか・・・・、検討しておこう」

「事情は知らないけど、予選を見てれば、一目瞭然だよ。
 多分、予選を見てた奴は全員感じたね」

「そこまでか・・・」

まさか、娘と同い年の子に忠告を受けるとは、思わなかった。
そのことは、当然、気付いていた。わかっていて、ほうっておいた。
時間が解決してくれる・・・どこかでそう考えていたのかもしれない。
時間は憎しみを成長させ、眼に見える形で現れたというのに。
わかっていた。この問題は私にしか解決することが出来ないことも。

子供に忠告を受ける大人か・・・なんと恥ずかしいことか。
この問題は私の代で解決しなければ、ならない。
他ならぬ、あやつの兄としての私が・・・。

〜ヒアシSide out〜









「うん、全然見えるよ」

「マジか!?」

「マジ」

「あー、作戦ザブザはネジ戦では使えないな。
 まあ、元々対写輪眼用の戦術だから仕方ないか」

そういいながら、ユーリは霧隠れの術を解いた。
徐々に霧が薄まり、二人の姿が見えるようになっていた。

「土遁で潜ってもだめだしな。となると、やはり、作戦リー改が第一候補かな」

「リー改?ネジ兄さんと同じチームの人だっけ?」

「ああ、そういや、ヒナタはあの時、医務室に運ばれていたっけ。
 すごかったよ。スピードだけなら、確実に上忍レベルだった。
 まあ、相手との相性が悪かったな、ガアラ以外が相手だったら、
 多分リーは、本選いってたよ」

「以外って、ユーリくんやネジ兄さんでも?」

「そりゃ、やる以上、勝つつもりでやるけど。
 少なくとも、現状、あのスピードについていける下忍はいないと思う。
 ガアラみたく、防御技があれば別だと思うけど」

「あ・・・あ、あのね、じ、実は話し」

ヒナタはもじもじしながら、顔を赤くしていた。

「あっ!?今何時?」

「えっ、10時過ぎだと思うけど」

「やばい。先生に10時に来いって言われたんだった。
 すまん。ヒナタまたな」

「えっ!?」

そういうと、ユーリは木ノ葉を巻き上げて姿を消した。
残っているのは、木ノ葉と少女だけだった。

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