小説『NARUTO〜複写眼を持ちし者〜』
作者:サムナ()

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第26話 日向の分家と流戸の宗家




ネジとユーリは、開始とほぼ同時にクナイを投げた。
互いのクナイが二人の中央でぶつかり合い地面に落ちようとしていたが、
二つのクナイは浮き上がりネジの方に向かい飛んでいった。

「チッ!チャクラ糸で操ったか!」

ネジはすぐにその原因を看破した。
ネジの眼の周りは血管が浮かび上がりすでに白眼を発動していた。

ネジは二つのクナイが当たる瞬間、その場で回転して、クナイを弾いた。

「なっ!チャクラ放出しながらの回転力で弾いたのか?」

それを驚きの表情で見ていたユーリの眼には、五芒星が浮かんでおり、こちらも
複写眼を発動していた。

回転が止まると同時にネジが喋りはじめた。

「どうやら、その眼もチャクラを見ることは出来るみたいだな。
 これが、八卦掌回天。この技と白眼の視界があれば。
 言うなれば、砂のあいつの様な絶対防御みたいなものだ」

「良く言うぜ。防御って点は同じだが、性質自体は逆みたいなもんだろ。
 砂のやつのは、自動防御であんたのは、任意防御。
 まあ、砂の奴は更に任意の砂の鎧ってのが、あるらしいが・・・。
 防御力自体はあんたの方が上かもな!」

ユーリは両手を交差させ、ネジに不可視のチャクラ糸を巻き付けようとした。

「無駄だ。見えている」

ネジはそれを前方に滑る様に交わしながら、低く構えた。

「柔拳法 八卦六十四掌」

「チッ!」

ユーリはチャクラ糸を切り離したが、間に合わなかった。

「八卦二掌!四掌!八掌!十六掌!三十二掌!六十四掌!!」

「グハッ!」

ユーリは叫びながら吹き飛んだ。

「全身の64個の点穴を突いた。お前はもう立てはしない。」

ユーリは立ち上がりながら、口元から溢れた血を腕で拭った。

「バカな!なぜ立てる!?」

ネジが驚愕の表情を浮かべていた。
ユーリは指を1本立てながら、

「一、点穴を突く時のチャクラ量が足りなかった」

指を2本に増やし、

「二、俺が微妙に動きポイントを外した」

指を3本に増やした。

「三、俺が影分身体だから・・・・。
 さて、正解はどれでしょう」

「バカな!?手ごたえは確かにあった。一と二はあり得ない。
 三の影分身だというのか?」

ネジはすぐ様、印を組み、透視と遠視を強化した。
どうやら、近く潜んでいるであろうユーリを探しだそうとした。
その瞬間、ユーリは瞬身の術で目の前に移動し、顎を蹴りあげた。

「グッ!」

ネジの体が少し浮いた。

「正解は、四の点穴を突かれる時にこっちからもチャクラ放出して相殺したでした。
 まあ、2割ほど失敗してもらったけどな」

ユーリは身を低くして、構えた。

「自分の技がどれぐらい痛いか。くらっとけや。
 柔拳法 八卦六十四掌。
 八卦二掌!四掌!八掌!十六掌!三十二掌!六十四掌!!」

さきほどネジ同様に指二本で相手を突き始めた。
終わりと同時にネジは後方に突き飛ばされた。

「どれぐらい痛いか。わかったかこのやろう」

ネジは多少ダメージを喰らったようだが、問題なく立ちあがり、

「どうやら、その眼は点穴を見切ることは出来ないみたいだな。
 おそらく、オレが突いた場所から、推測してオレの点穴を突いた様だが、
 ほとんどが、点穴から外れていた。人によって点穴の位置は微妙に違う。
 そこを正確に突かなくては、この技は成り立たない。
 まあ、どの道、正確に点穴をつけていたとしても、問題はなかったがな」

「日向流は門外不出。よって、必然的に模擬戦などの相手は同じ日向流の使い手となる。
 ということは、同門相手の同門殺しの技も存在するって所だろ。どうせ」

「ほう!わかるか。伊達に流戸宗家ではないな」

「宗家だ。分家だ。いちいち、細かいやつだな」

「宗家である貴様に!分家の辛さがわかるか!!」

ネジは表情一片させ、怒りをあらわにして、怒鳴りつけた。

「いいだろう。貴様に教えてやる。日向の・・オレの憎しみを・・・」

ネジは語り始めた。
どうやら、日向には代々伝わる秘伝の呪印術が存在するらしい。
ネジは額当てを取り、額を見せた。そこには、卍の印が刻まれていた。

呪印の効果を説明し始めた。
どうやら、宗家が分家をコントロールするための呪印のようだ。
宗家が分家の命を握ることで反乱などを防止する。
呪印が消えるのは死んだ時のみ、しかも白眼の能力を封印して。

「そうゆうものが存在するということは、おそらく過去に一族内での反乱か
 それに近いことが起きたって、ことだろ。
 (空気を読まずに攻撃しちゃまずいかな?やっぱり)」

ユーリは返事をしながら、そんなことを考えいた。

「そうかも知れん。しかし、そんなことはどうでもいい。
 問題はそこではない。オレはヒナタ様の従兄にあたる。つまり、
 当主であるヒアシ様の甥にあたる。オレの父はヒアシ様の双子の弟だった」

ネジは再び語り始めた。
ヒナタは何者かに誘拐され、ヒアシはその誘拐犯を追って殺した。
そいつは木の葉に同盟条約を結びにきていた雲隠れの忍び頭だった。
始めから、白眼目当てに木ノ葉に来ていたことはあきらかだったが、
そんなことは関係なかった。

雲隠れは自国の忍びが殺されたことをいいことに木ノ葉の同盟違反として、
理不尽な条件を突き付け、そのせいで戦争寸前まで状況は押し迫っていた。
戦争を避けたい木ノ葉は、雲と裏取引をした。

雲側の要求は、忍び頭を殺した日向ヒアシの死体を渡せとのことだった。
木ノ葉はこの要求をのんだ。双子の弟で日向ヒザシ。
ヒザシならば、呪印の効果で、死ぬと同時に白眼の能力を封印する。
白眼の秘密を他里にもらさず、戦争も回避できるとことだった。
そして、戦争は回避された。ネジの父親の遺体を差し出して。


ネジは額を指差しながら、

「この忌まわしい呪印から、逃れる方法は死ぬ以外の方法はない。
 力もほぼ同じ双子なのに、先に生まれるか後に生まれるか。
 すでに運命は決まっていたのだ」

「ああ、そうかよ。たしかにお前の言うとおり、
 オレは宗家でお前は分家、まあ流戸と日向の違いはあるが。
 お前のことはわからないだろうさ。
 だけどな、だったら、なんでヒナタをあそこまで追い詰めた。
 分家は宗家に逆らえないと言ったのは、お前だぞ」

ユーリも声が大きくなっていった。

「日向宗家に恨みを持つなら、反乱でもなんでも起こせばいいじゃねえか。
 結果はどう考えても負けかもしれんが。
 命を天秤に掛けずに変えられねえことくらいわかるだろうが、
 それに自分だけが不幸だと思ってんじゃねえぞ。
 悲劇のヒロインかてめぇは!!」

「貴様!!」

「大体、てめえのやってることは全てずれてんだよ!
 恨むんなら、当主である日向ヒアシを恨め。
 その娘のヒナタには関係ねえだろうが、親の責任を子に押しつけるんじゃねえ!」

「ふっ、何をいっても無駄か。そろそろ決着といくか」

ネジは再び額当てを付け、言った。

「お前の負けでな」

「その言葉、そのままそっくり、バットで打ち返してやんよ」

二人の戦いは、再開された。



後書き
まあ、色々突っ込み所があると思いますが、独自解釈部分は気にしないください。
複写眼の能力も詳しく書いた方がいいのかな?
それは第一部の部分が終われば、まとめて書こうと思ってます。

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