小説『立ち上がるハッカー』
作者:arinko()

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3日後、俺はなんとか‘sweet love’の駆除ソフトを作り上げることができた。


「sweet loveのしでかすことは把握してあったんで、その動きをスキャンしてこいつを同定するようにしました。
同定できたら、架空のファイルにこいつを閉じ込めて消去します。」

「たった3日でそんなソフトが作れたなんてすごいな。」

ひとみ父は俺のことを随分と買ってくれているようだ。
これで、どっかの企業や個人が助かるのだろう。このsweet loveってやつは情報を盗む上にゾンビのように増殖するから恐ろしい。
きっとずいぶん知識の豊富なやつが作ったんだろう。

敵は手ごわいな。


「ちょっと休ませてもらってもいいですか?追跡ってかなりくたびれるんすよ。」

「そうだな、休んだ方がいいだろ。」

俺はひとみ父に許されて、久しぶりに自宅に戻った。

母の気遣いをよそに俺は自分の部屋に入るや否やベッドの上に倒れ込み、

そのまま眠りに入って行った。






♪♪♪

携帯の着信音で目が覚めた。

14時くらいに眠りに入って、起きた時は22時であった。

携帯の着信音はすぐに鳴りやんだ。どうやら俺の携帯に誰かがメールを送ってきたらしい。

携帯を開いてみると、ひとみからだった。

[今日、捜査本部に行ったよ。ウイルス駆除できるソフト作ったんだってね!すごいね。やったね!
次の捜査のためにもゆっくり休んでね!]

というメールだった。


俺は少し誇らしい気持ちになったが、これからが大変なのだ。あまり浮かれるわけにもいかない。

[ありがとう。ゆっくり休むよ。]

そうメールを書いて、ひとみに返信した。そしてどうにも腹が減って仕方がなく、リビングの方へ出て行った。

「あ、秀。BBCと戦ってるなんて大変ね。気をつけなさいよ。ごはん用意するからちょっと待っててね。」

ドラマをちょうど観終わった母さんが俺の気配に気が付いてキッチンに立った。

「ごめん、もうすぐ就寝時間なのに。BBCの考えることなんて分かりきってる。」

「大丈夫よ。秀が悪党に負けるわけないわ!母さん応援してるからね!」

「うん、ありがとう。」


俺は母さんが用意してくれた飯をかっ込み、部屋に戻って、追跡のイメージトレーニングをしていた。

(とにかく寝るか。)

俺は寝る準備をして、再び眠りについた。




-3-
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