小説『ローズヒップは事件の香り』
作者:狂ピエロ(カガク生活)

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―事件現場 花茂芽―
事件現場に着くと、あの状況がまだ維持されている。
死体がなくなったくらいだ。

私がそこに足を踏み入れた時、なにやら変な女性が私に話しかけてきた。
「あのぉ、ここ関係者以外立ち入り禁止なんですよぉ。だからぁ入っちゃダメですぅ〜。」
…なんだこの苛々する喋り方は。
まぁいい。下手に出ておくか。
「これは…失礼致しました。ですが私は夜烏警察のある警部に依頼されてここに来た染月 花茂芽と申します。どうかお通しいただけますか?」
「え〜私そんなこと言ってないですよぉ〜?」
「…あなたではなくてですね…え〜っとなんだっけ?」
私は横目で正治を見た。
「…森野 武雄(もりの たけお)警部です。」
正治が答えてくれた。どうやら通じたようだ。しかし、彼女の口から返ってきた言葉は意外なものだった。
「モーリーはもうここの担当警部じゃないですよぉ〜?今は私、井原 花蓮(いばら かれん)ですよぉ?」
…どうやら厄介なことになった。
「モ…モーリー?」
「…おそらく森野警部のことだろう。多分…」
正治が答えてくれた。
とにかくこの女性…井原を倒さないことには中に入れないようだ。
私は策を講じた。
「…では、秋桜さんを拘束したのもあなたですね?」
「はい〜私ですよぉ〜?」
「では、失礼ですがあなたでは力不足であることを証明いたしましょう。そうすれば私たちも捜査に協力させていただけますね?」
「えぇ〜彼女が犯人で決定なんですぅ〜これは完璧なんですぅ。私を侮辱した罪、重いですよぉ〜?」
「ええ、もちろん覚悟の上です。参りますよ?」
私は彼女に人差し指を突き立てた。

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